第27話 試練の終わり
木龍の死を見届けた俺は、久しぶりに洞窟へと戻ってきていた。
木龍の死体はアトラクトドレインで魔力にすることで全て吸収し、俺の力にした。この森には埋葬という概念は存在しない。
しっかりと土に返したところで動物や少しばかり残っている鉱魔獣に掘り起こされるだけだ。
村で過ごしていた時の俺であったら、何も考えずに森に死体を捨てていただろう。それが村の常識であり、魂を弔うための作法だと教えられていたから。
だが、今の俺は違う。鎮魂の森と呼ばれていた理由も知り、魂の存在も知覚した。
であれば、木龍の全てを吸収して俺と共に生きていくことこそ最高の埋葬方法だと考えるのだ。
「ふう......これで俺の試練も終わりか。やるべきことは全てやった。森の鉱魔獣を粗方刈り取り、森の主とも呼べる木龍の最期を見送った」
もう俺にはこの森でやれることは無いだろう。
最初は何も力を持たない捨てられた子供だった。そこから、洞窟に転がり込み、シャーマ様に出会った。
そして、シャーマ様から力を授かり、生きる可能性を貰い、ここまで来れた。
「頑張ったよな、俺」
ここまでやったんだ、シャーマ様も認めてくれるはずだ。
「今日はもう寝よう......明日が試練の終わる日だ」
壁に刻まれた爪痕を数えたあとに地面へと転がり目を閉じた。
これまでの狩りと苦しみを思い出しながら、意識は落ちていく。
◇◆◇◆
洞窟に爽やかな風が流れ込んでくる。
俺はすぐに意識を覚醒させてから、立ち上がり身体に付いた汚れを魔法で取り除く。
緊張しながら、深く息を吐いてステータスを開いた。
名前:ゼノヴェル
年齢:13歳
種族:夢月の鉱魔人
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【神導武器】
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【特殊】試練の大鎌
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【スキル】
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【通常】農作業Ⅰ【通常】毒耐性Ⅹ【通常】痛覚耐性Ⅹ【通常】気絶耐性Ⅹ
【種族・特殊】混沌魔力操作
【得意・特殊】外法の大鎌術Ⅸ
アーツ〈総合大鎌術・魔光斬・メメントモリ・トラディメントサイス・ソウルブレイク・マルスピリオド・デスサイス・ハーベストワルツ・血纏い〉
【特殊】キメラボディ
〈マジックタンク+無知の血+魔力の解放+即時回復+悪食の気狂い〉
・どんなものも吸収分解し、即座に抗体を作り出すことで己の糧とする。
・際限なく魔力を貯蔵できる
・魔力を消費し、欠損した部位を再生可能になる
【特殊】アトラクトドレイン
・殺した獲物を魔力へと変換して吸収する
【特殊】龍鉱混合
・龍の魂から力を引き出し身体を強化する。
・龍型鉱魔獣を吸収することにより成長する。〈木龍〉
【特殊】魔力創造〈鉱魔力・死魔力・混血魔力(鉱魔力+死+水)〉
【固有】殺した貴方は夢を魅る
【外器】狂魂の魔鉱鎧++〈進化可能〉
〈進化先〉
【激情の純魔鉱鎧】
・感情が高ぶれば高ぶるほど内に魔力熱を蓄積していく
・魔力熱を魔蒸気に変換し身体能力を大幅に強化する
【不明】鉱魔獣発熱器官操作 鉱魔獣吸魂
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【魔法】
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【特殊】聖樹魔法
魔法〈聖樹植生〉
【特殊】泥濘魔法Ⅲ (土+水の特殊進化)
魔法〈総合土魔法・総合水魔法・罪人土葬・魂の墓場・泥人形は鎌を持つ〉
【得意・特殊】聖光魔法Ⅴ
魔法〈総合光魔法・神の裁き・ホーリーサイス・断罪の光・ホーリーヒール〉
【種族】夢魔法Ⅷ
魔法〈仮初の夜空・夢は幻想・幻惑夢・白昼夢・ヘルドリーム・夢の保管庫〉
【特殊】限界魔法
【種族・特殊】月光魔法Ⅶ
魔法〈月からの夜明け・ハーベストルナ・満月堕落・月の下には影がある〉
アーツ〈満月の首落とし・月下影舞・ムーンサイスサルト〉
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【称号】
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【初期】試練を受ける者
【特殊】心からの慈悲を与える者
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改めて見ると、メタルスチームウルフを狩ってから一年で随分と変わったな。
まあ、狩りで使う機会の無かったものも多かったから全ての効果を把握しきれているわけでは無いが、それでも成長が形になるのはいつになっても嬉しい。
それと、木龍を吸収したあとに増えたのは龍鉱混合と聖樹魔法かな。
木龍の持つ存在感を考えれば、その魂を吸収した俺にスキルが発現したのも納得は出来る。
木龍から貰った力だ。大切に使わせて貰おう。
「――でも、一番大切なのは13歳になったことだ」
正確な時間が分からないこの森で頼りになったのは洞窟に刻んだ印だけ。
今までそんな不確定なものを支えにして頑張ってきたことが報われたように感じる。
「ここまで俺は生き残ったぞ......人の姿を捨てて、ずっと命のやりとりをして。それでもシャーマ様を信じる続けることで、遂にここまで来ることが出来たんだ」
洞窟を出て、もう鉱魔獣がほぼいない森で空を見上げる。
俺は試練の大鎌を出して周囲の木を綺麗に真っ二つに刈り取る。何本もの木が倒れ、土埃が舞い上がって視界を塞ぐ。
少し待つと風が吹き、土埃が晴れた空には快晴が広がっていた。
晴れ晴れとした太陽が俺を照らし、暖かな光が降り注ぐ。
「見ていますかシャーマ様。森の暗闇に怯えていた俺は消えました。今は自分から道を開き、進めるようになりましたよ」
『ああ、ずっと見ていたぞ。よくここまで成長したのじゃ』
俺の背後から声が聞こえてくる。
この二年間、ひと時も忘れたことはない。再び聞けるのをずっと待っていた声。
人がひとりもいないこの森で、聞こえるはずがない女性の声。
だけど俺はこの声の主を知っている。
俺は......貴女に認められるために。貴女に見せるために。貴女に心から祝福してもらうためにこの試練を乗り越えたんだ。
堪えきれない涙が溢れて止まらない。こんな姿を見せたいわけじゃないんだ。また会う時には笑顔でいようと思っていたのに......!
声の主は肩を震わせて後ろを向けないでいる俺の手を引いて、ゆっくりと自分の方へ振り向かせた。
俺は未だに止まらない涙を何度も拭い、声の主を見るために顔を上げ前を向く。
目の前には二年前に見たときと変わらない特殊な衣服を羽織った麗しい黒髪の美女が立っていた。
「ああ......!!貴女は!!」
『よくここまで頑張ったな。妾、暗影の神シャーマが再び会う約束を果たしに来たぞ、ゼノヴェルよ』
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