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テーブルの上にはスマートデバイスがあって、ヘッドフォンの音源になっていた。
天使が真新しい文明の利器を使っていたのは驚きだが、ただし部屋の全部が現代的というわけでもなく、むしろ古今東西が入り交じった内装になっていた。部屋の四方に目を向ければ、蓄音機とおびただしい量のレコード、CDラジカセとおびただしい量のCDとカセットテープ。どうやら俗な天使嬢のご趣味は音楽鑑賞のようだと分かった。
しばらく私は音漏れしてくるロック音楽をBGMに部屋を眺めた。
私の横にいた神父は見慣れた場景を前にした様子で諦めた視線を向けてから、飲んだくれた様子の肥満女性天使に近づき、床にかしずいて、声をかけた。
「天使様、起きてください」
すると、声が返ってきた。
「起きていますよ。目を閉じているだけです。何の用ですか」
その声は、その持ち主の不摂生な態度とは裏腹に、あるいは、かけ離れてと言っていいほどに、美声だった。
思わず聞き惚れてしまうほど。
神父が言った。「新しい掃除係を連れてきました。これからここに出入りしますので、ご挨拶のほどを」
天使は目を開けると、腫れぼったい視線でこちらを見た。
しばらく観察する視線を向けていた後、言った。
「あなた、音楽は何が好きです?」
私は突然の質問に意表を突かれたが、言った。
「賛美歌が好きです。
ここでの奉仕活動の間、いつも耳にしていますので」
「賛美歌しか聞かないの?
他の音楽は?」
「ほとんど聞きません」
すると。
天使はため息をついた。
「つまらない人間ね」
……賛美歌しか聞かないとつまらない人間なのか。
天使にそんなことを言われるとは思わなかった。
私がどう言葉を返したものか迷っていると、天使は言った。
「まあ、いいでしょう。
好きなときに入ってきて掃除をなさい。
ただ、私のコレクションは荒らさないように」部屋の四方に積み上げられたレコードやCDなどの品々を示した。
最初に出会った日の会話は、そんなだった。




