所持4枚 魔法少女になるために。
そしてイケメンが説明を始めた。結果わかったことは次の通り。
・カードは十三の精霊を封じたものであること。
・騎士とかの絵は封じた精霊を表しており、その裏の数字は精霊の名前を示しているらしいこと。
・カードは、魔力を溜めるために、支配結界なる領域を作ること。
・溜まった魔力が一定値を超えると、現実に影響を及ぼし始めること。
・封じた精霊は四つに分けて封印していること。(数字の書かれている面を裏面というらしい。)
・裏面の柄をトランプのスートになぞらえて、♠♣♦♥と言うらしい。
♠ 太陽な柄が書かれているカード
♣ 数字のみのカード
♦ 月と星が書かれているカード
♥ いろんな図形が書かれているカード
つまり、手持ちのカードは ♠の六 ♣の一 ♦の九 ♥の十三 ということだ。
「ここまで、大丈夫?」
「うん、多分。」
「じゃあ、続けるよ。♣と♥のカードを持ってくれる?」
机の上に置いた4枚から、私は言われたとおりに、表面に騎士の描かれ裏面が数字のみのカードと、表面に白虎、裏が月と星の描かれたカードを手元に寄せた。
「カードは、さっき渡したペンダントに触れながら使うんだ。」
「触れながら?」
「そう。握ってもいいし、そっと触るだけでも大丈夫だよ。まぁ、首にかけてれば触ってるから気にしなくていいよ。」
「へ~。」
私は、感心しながら渡されたペンダントを左手の上に載せながら、観察してみる。鎖に繋がれた赤い宝石は光の当て方で輝き方を変えるので、それだけでもきれいだ。
「それで、♣のカードは君の魔力を上昇させる能力がある。」
「へ~。」
「ちゃんと聞いてる?」
失礼な、聞いているとも。ただ、面白そうなものが目の前にあって、心が引かれてるだけです。
「聞いてますよ…。ほれ、次は?」
「はぁ…。次は♦のカードについてね。♦のカードは、魔法少女が魔法を使えるようになるカードだ。」
「まほう?!」
「食いつき良いね…。」
「そりゃ、魔法だもんね。ファンタジーが王道、魔法ですよ!」
そっか、“魔法”少女だから、魔法使えるのか…。
「そ、そっか…。続けるね。♥のカードは、魔法少女の防具、♠のカードは武器だね。」
「防具に武器…。」
「戦ってもらうことになるからね…。」
そっか、戦うのか…。
「それって、危険じゃない?」
「いや、そんなことはないよ。生命の危機があると判断したら、カードが発生させた結界から、君を脱出させることもできるしね。」
「そのまま、封印できないの?」
「ある程度、魔力を消費させないと無理かな。」
「ふむ。私、戦闘の素人なんだけど?」
「それはこちらも承知さ。そのためのカードなんだから。」
素人なのも承知…。その補助もしっかりしていると…。あれ?
「そう言えば、なんで私?」
「すごい今更だね。まぁ、ペンダントがある程度の魔力がないと起動しないんだよね。」
「ある程度?それってどれくらい?」
「僕の式神が見えるぐらいかな?」
おけ―。把握したよ…。そっかー、見えちゃったからか―。
「そうだ試しに、ペンダントを起動させて♣と♦のカードを使ってみたら?」
「まだ、起動方法とか聞いてないんだけど…。」
「そうだったね。ペンダントの起動方法は首にかけて、意思を込めて“起動”って言えばいいよ。」
へ~。ペンダントを首にかけてっと…。
「起動。」
言った瞬間。ペンダントの赤い宝石が光ったっと思ったら、青くなっていた。
「起動したの?」
「うん。今度はカードを両手に持ってもらって。」
私は、言われた通りに手元に寄せた♣のカードを左手、♥のカードを右手に持った。
「詠唱を唱える。」
「詠唱?」
「そう。ちなみに、魔法少女らしいものと、事務的なものがあるけどどっちがいい?」
「事務的で。」
「そ、即答…。」
だって、魔法少女らしいって、恥ずかしいセリフでしょ?(←偏見)
「じゃあ、先に♣ね。今から言うことを続けてね。」
「はーい。」
「一の名を持つ騎士の精霊。その力を分けし四つが一つ。そを…。」
「うん、ストップ。」
「え?」
「待て待て、事務的なものなんでしょ?」
「うん。」
「明らかに、患ってない?」
「え?!これ、まだ最初の部分だよ。」
「え?!ち、ちなみに、あとどれくらい続くの?」
「うーん。十節ぐらい?」
「節?」
「詠唱の切れ間のことだね。所謂句点ってやつ。」
つまり、長いってことね…。しかもさっきの感じだと、事務的なものであれだとすると…。ま、魔法少女らしいものって…。
「ちなみに、魔法少女らしい詠唱ってどんなものですか?」
「ん?えーとね。騎士の精霊よ、僕に力を貸して。『解放。』だよ。」
「は?」
明らかに、こっち一択でしょ。事務的って名前詐欺じゃん。
「あれ、聞こえてなかった?」
「いや聞こえてましたけど…。」
「ん?まぁいいか。で、どうする?事務的なのもう一回言おうか?」
あれ?ボケてるのかな?
「い、いや。大丈夫です。何とかの精霊ってのは表に書かれているのを言えばいいんですか?」
「うん。ただ、事務的なのは、詠唱が一つ一つ変わるから覚えるの大変なんだよね。」
「五十二枚がですか?」
「そうだよ。」
「騎士の精霊よ、私に力を貸して。『解放。』」
「え?」
私が、そう言うと左手の騎士のカードが光り始めて、一つの球体になったかと思ったら、ペンダントをめがけて、いや私の胸に向かって飛んできて、体に入る様に消えて行った。
「えーと、白虎の精霊かな?白虎の精霊よ、私に力を貸して。『解放。』」
「ええ…?」
詠唱が終わると、右手の白虎のカードは騎士のカード同様に私の体に入るように消えた。
「よし!」
「す、すごいな…。」
「へ?」
直後、ドーンという音と共に家が揺れた。
誤字報告、感想などお待ちしております。