所持4枚 魔法少女始動! 私いっきまーす!
ドーンという、音とともに家が揺れた。
「は、なななな何?!」
「嘘だろ?!近くにカードがいるだと…。」
「は?」
「つまり、僕らはもう、カードの支配結界の中だってこと。」
何、つまり早速実践ってこと?チュートリアルを所望しますよ!
「幸い、魔力自体はあまり溜まってないみたいだ。」
「つまり?」
「今の君でも、十分対応可能ってことだ。」
「やらなきゃ、ダメ?」
「今やらないと、後々強化されたやつが、現実世界に干渉を始めるよ?」
「脅し?」
「僕のミスではあるし、申し訳ないけれど君にしかできないことだ。お願いだ。」
そう言って里中さんは頭を下げた。私の自由な生活もとい、美少女観察のために現実に干渉されてほしくないから、元々やるつもりだったからいいか。
「頭を上げなさい!」
「へ?」
「ええ、やってやりますよ!魔法少女始動です!」
そうして、私は左手を腰に、右手の人差し指のみ伸ばした状態で天井を指すポーズをとって、椅子に立ってみる。
「急にキャラ変わるのなんなの?」
「なんとなく?」
「とりあえず行こう。この支配結界を作ったカードを封印しに行こう。」
そして、私たちは家を出た。
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外に出ると、青くなっていたペンダントの宝石が、赤く光り始めた。カードがいる方向により強く光るらしい。
そうして、私たちが到着したのは、近所の公園だ。
それなりに大きな公園だが、今日に限って人がいない。
「ここはカードの支配結界内だから、普通の人はいないよ。」
なるほど、そりゃそうか。
「あれ?そういえば、今回支配結界に勝手に入ったけど、普通の人からしたら、私は急に消えたみたいに見えるの?」
「今回は、ペンダントが仮契約中だから、仮契約中の人に許可を取らずに、支配結界に侵入したんだ。」
「え?それって?」
「うん。そのための機能だ。君みたいに乗り気な子でよかったよ。」
今のことを考えると、無理やりペンダントに仮契約させれば、後は半強制的にカード収集に協力させられるってことか…。思わず、里中さんをジト目で見る。
私の近所の公園は、遊具があるようなタイプの公園ではなく、所謂自然公園と呼ばれるものだ。それ故に、公園内は人口の舗装された道が存在するが、そう言った人工物よりも、樹木などの自然物が多く、視界を遮るものがある。
私たちがこんな緩い会話をしているのは、公園の地形上、この支配結界の主であるカードが見当たらないからだ。
私たちが、侵入したことはばれているらしいので、どうやらさっきの揺れ以降、姿を隠しているようだ。
「そういえば、あとの二つのカードで変身するんですよね?」
「そうだね。あ、変身の詠唱はさっきのとは違うんだ。」
「え?じゃ、じゃあ一応事務的な詠唱を教えてもらっていいですか?」
「事務的なやつね。えと、♠の六と♥の十三だったよね?」
「はい。」
そう返事をして、私は家から出る際にそのまま持って来ていた、表が囚人で裏が太陽のカードと、表が白馬と少女で裏がごちゃごちゃしたカードを、里中さんにも見えるようにした。
「魔装展開。だよ。」
「は?じ、事務的な詠唱ですよね?」
あれ?さっきの奴よりまともだよ…。ん?まともなのかな?
「そうだよ~。正確には、君が“手に持ったと認識している”♠と♥の一組を魔装として、展開及び変身を行うんだ。」
「じゃ、じゃあ魔法少女っぽい詠唱はちなみに?」
「え?あ~、うん。」
あれ~?なんで目を逸らすのかな?微妙に不安を煽る動作ですよそれ。
「こ、こほん。じゃあ、言うね。」
ま、前置きだと!さっきの長文の詠唱よりためらいがあるって何?!
「そこまでだよ、意思を持ったカード達。あなたが、支配結界に閉じ込めた、その人を解放しなさい!あなたが貯めた魔力は、私が根こそぎ奪ってあげる!行くよ!魔法少女サトナリナ、イケない子にお灸を添えてあげる!」
呆然である。え?なにこれ?唐突の裏声で反応できなかったけど、地味にポーズもとってたし…。
うむ、批評を始めようか。
まず、恥ずかしさを醸し出しつつも、最後のポージングまでやりきったその胆力、ポイント高いです。
次に、詠唱中におけるポージング。あたかもそこに相手がいるような指さしや、“解放しなさい”時における両手の指を組み、自らの胸の前に持って来て聖職者の方が祈る様なポーズ、う~んグッドポイントです!
さらに最後、右手で所謂ピースサインの形にして、目元に持ってくるだと…。更にウィンクを併用し星を飛ばすという一連の動作を滞りなく行った!これは相当、日々の練習に力を入れたのが分かりますね。
おっと!そのポーズで固まり、恥かしさで顔を赤く染めているのもポイント高いです。
ただ惜しむべきは、男性であったことでしょうか。少女であれば、なお高得点でしたね。性別や年齢により差を設けるのは、正しくないでしょうが、今回は、挑んだジャンルが悪かったですね~。
顔は悪くないので、一部の方には好評でしょうか?ただ審査員の私としては~マイナスなので、遠慮なく減点ですけどね!ドヤッ。
「ほ、放置しないで…。」
私は何も見てないので。さぁ、変身しちゃうよ!確か、変身するカードに意識して。
「魔装展開。」
「む、無視しないで~。」
詠唱を唱えた瞬間、手に持っていた二枚のカードが光り輝いた。
その光が収まった時、私は魔法少女になっていた。
誤字報告、感想などお待ちしております。




