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弟だからいいよね?

弟は姉の焦らしプレイに待てなくなりました。

「じゃあ、早速仲良くしたいなっ」

私の首に腕を回して、正面から抱きついてきて…。

むにゅ…

うむぐっ?!私の口に彼の唇が押し付けられてる!?

驚愕に固まっていると唇が離れた。超至近距離で「えへへ」とほころぶ笑顔は、無邪気そのもの。


「あねうえ、だいすき…」

ちっちゃい子みたいな言い方するなぁと思っていたら、唇がまた戻ってきた。

うおっ、なんで?!!

彼の柔らかな唇は、長くは留まらず、ちゅっ、ちゅっ、ちゅちゅっと愉しそうに当たってくる。


なにしてんの?!なんの遊び?!え?あ、これって私で遊ばれてる?!


そんなことしちゃダメ!やめなさい!ババッチいでしょ!それ私の口だから!


早く押し避けなきゃ!と頭の中は焦りまくる。

でも、私の頭は手足を動かそうとしない。


なぜなら、イェゼ君にチュウされるのは全然嫌じゃないから。

ううん、嫌どころか、スゴいよ自分!初キスも次もイェゼ君だなんて…。グッジョ…、って私は何もしとらんが!勝手にあっちが…。

あー、ハイハイ。みんなそう言うんだよねー。

ちっがーう!私やってません!

これってさぁ図らずも焦らしプレイが効を奏した?

だから焦らしてません!いや…やったかな??


混乱して、脳内に自分が沢山出てきてしまった…。こんな時こそ深呼吸…口、開けられませんがな!!


ところで。これって、講談本で読んで、きゃあ~ってなった強奪キスじゃないの?きゃー!きゃー!

うっさいわ!イケメンといえど合意なくキスするのは犯罪、女の敵だよ!


落ち着け私、だいじょーぶ!イェゼ君は弟だから。


コレは、ちっちゃい子の『おねーたん、好き好き、ちゅう』って、友達が弟ちゃんにされてたアレだと見なしていいだろう。


私は弟妹が無かったから、初体験。しかも!もっかい言う、相手はイェゼ君だ。(ここ重要)

あの時「可愛い弟いーなー、わたしも欲しかったな」って羨んだ、アレが、我が身に起こってる。

一生懸命?(かどうか判らないけど)ひたすら、ちゅっちゅしてくる弟君。


よしよし、こんな平凡な姉でいいんなら、好きなだけ甘えるがよろしい。


あぁ、ちっちゃい頃は、お祖父様に会いに行くと頬っぺたに、ちゅってしたり、してもらったりしてたな~と思いだしたり。

なんて考えてたら、ちょっと余裕出てきた。


だけど、姉と弟で唇はダメでしょ。後で言おう。


………と、ここまでを光の早さで考えてました。

人は死を目前にすると一生分の記憶を一瞬で走馬灯の様に振り返れるというが、それに匹敵する思考速度で、惑乱してました。


実際、あっちの世界に渡りかけてたのかも…。

非モテ奥手の蚤の心臓ナメんな。

きっと魂が外れる程の驚きだったんだ、そろそろ魂帰ってこーぃ。


正気に戻るとさすがに、知らずに止めていた息がそろそろ限界で。

ぐるじい~と眉を寄せたら、鼻先に口づけが移ってきた。

ちょっとホッとして、そっと息をする。

はぁ、苦しかった…。あ、さっきまでだって、鼻で息したらよかったんじゃ?…テンパってて、鼻の存在忘れてた。

イェゼ君が私の鼻に唇を当てながら「姉上…可愛い」と呟いた。

何をぅっ?!と顔を上げたところで、再びむっちりと唇を塞がれた。


今度の口づけは、すぐには離れなかった。


目を閉じそびれた焦点の合わない視界に、切なげに目を閉じて震える睫毛が映る。

むいむいと押し付けてくる唇は柔らかくて、イヤらしさなんか全然ない。

こんなに好きに思ってくれてるんだと、ちょっときゅんとなった。


唇は角度を変えて、はむはむした後、また長めに押し付けられ、ようやく名残惜しげにそっと離れていった。


そのまま彼はあまり離れず、鼻先を擦りあわせてきた。犬猫の挨拶ですか!?なんか動物性が開放されちゃった?!


と、また何かが私の唇に触れた。視線をやると彼が指先で押さえている。

視線を前に戻すと、歳に合わない妖しげな色気を湛えた瞳とぶつかった。

先程まで私を捕まえていた唇が開かれる。


「もうこれで姉上の口は、俺のだからね」


そっちから、ぶつかってきといて、強請り取るとな?!

弟!君は当たり屋か?!

書き終わって、自分の事、ほんまのアホや…と思った。すみませんでした。これが賢者タイムってやつですね。

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