表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~  作者: 一色孝太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

181/182

第181話 追放幼女、紋章のデザインを作る

「マリー!」


 あたしは出来上がった図案を持って執務室の扉を開けた。


「お嬢様、どうなさいましたか?」

「ねぇ! 見て! これ!」


 図案を見せると、マリーは驚いたような表情を浮かべた。


「これは……素晴らしいですね。もしや初めからイメージがあったのですか? これほど早く出来上がるなんて」

「うん。なんとなくはあったんだけど、絵にしてみたら思ったよりもいい感じになったの」

「そうでしたか」


 そう言いつつ、マリーはまじまじと図案を見ている。


「どうしたの? 何か気になることとかある?」

「いえ。ただ、このようにひし形を盾の中に大きく配置するデザインは見たことがなかったものですから……」

「あ、うん。でも、ルールには違反してないでしょ?」

「そうですね。それに、中央の鳥すけも良いアクセントになっていて良いと思います」

「うん!」

「ではこの図案を王妃陛下にお見せして、画家の者に仕上げをさせると良いでしょう」

「あれ? このまま出しちゃダメ?」

「できればやめたほうがよろしいかと」

「どうして?」

「画家の者は王妃陛下に手配いただいた者ですから」

「あっ! そっか。王妃陛下の顔に泥を塗っちゃうのか」

「はい。それに、お嬢様が自ら手を動かしたと知られるのもあまりよろしくありません」

「あー……うん、そうだったね」


 貴族は働かないのが偉いんだっけ。


「分かった」

「あと、ローレッタ様にもお見せしたほうが良いと思います」

「ああ。ローレッタが王妃陛下にお願いしてくれたんだっけね。うん。分かった」


 それにしてもマリーはやっぱりさすがだなぁ。あたしだったら絶対、そのまま王都のジェフにこれで登録しておいてって伝えてたもん。


 ……そういえば王都の状況ってどうなってるのかな? 一度も連絡がないけど……って、ああ。あたし、何かあったら連絡しろとしか命じてないんだっけ。


 うーん? でも誓約している以上、ちゃんと仕事はしてると思うんだけど……。


 コンコン。


 そんなことを思っていると、ちょうどいいタイミングで窓がノックされた。外には鳥のスケルトンがおり、足には小さな手紙が括りつけられている。


「お嬢様、失礼します」


 マリーが席を立ち、窓を開けて鳥のスケルトンを招き入れた。


「これは……王都のジェフ卿に預けた鳥すけです。もしや、何かあったのではないでしょうか?」


 マリーはそう言って手紙を外し、あたしに差し出してきた。


 ……なんだかすごいタイミングだね。まさかこんな偶然があるなんて。


 あたしは差し出された手紙を確認する。


 ……どうやら定期報告のようだ。ジェフに接触してきた相手の一覧のほか、誰と誰が会談したなどといった話がまとめて書かれている。


 すごいね。なんだかスパイみたい。


 でもこれをどうしたらいいんだろう?


 分かんないし、これはジェイクが帰ってきたら相談しようかな。


 って、えっ!? ミュリエルがお城に行った!? しかも会った相手が不明ってどういうこと?


 ……もしかして、王様が何かしようとしたとか?


 でも、ミュリエルはラズロー伯爵の孫娘なんだし、あんまり好き勝手はできないはずだよね?


 だとすると、いい嫁ぎ先を紹介するから、みたいな感じであたしの情報を……ってことはさすがにないか。


 もしそんなことをしてるなら、それはジェイクたちが裏切ったってバレてるってことだもん。そうならもっと何かあるはずだし……。


「お嬢様、いかがなさいましたか?」


 気付けばマリーが心配そうにあたしのほうを見ていた。


「あ、うん。なんかね。ミュリエルがお城に行ったんだって。しかも、誰と会ったか分かんないんだって」

「そうでしたか……」

「もしかして王様に何かされたんじゃないかって思って……」

「……ミュリエルお嬢様は今年、魔法学園に入学されるのではなかったでしょうか」

「あれ? そうだっけ?」

「はい。ですから、ラズロー伯爵の孫娘であるミュリエルお嬢様が登城し、挨拶するのはさほどおかしなことではないと思います」

「そっかぁ。何か意地悪されてないといいけど……」

「ラズロー伯爵の手前、あまり無茶な要求はされないかと」

「だといいけどなぁ」


 あたしは王様のあのニヤニヤした表情を思い出し、思わずイラっとしてしまう。


 はぁ。


「お嬢様、いかがなさいますか?」

「え? うーん、そうだねぇ。とりあえず、何かひどい目にあっていないかだけ確認してもらおうかな」

「それで、どうなさるおつもりですか?」

「そりゃあ、困っているなら助けてあげたいかな」

「そうですか……」


 あれ? なんだかマリー、あたしにこれ以上首を突っ込んで欲しくないのかな?


「マリー、もしかしてやめたほうがいい?」

「はい。もし国王陛下に無理難題を押し付けられていたとして、お嬢様にできることはありません」

「あ……」


 それはたしかにそうだ。ここでラズロー伯爵に手を回され、物流を止められたらあたしたちは干上がってしまう。


 それにこちらが動けばミュリエルのことをあたしが気にしていると知られてしまい、逆に付け入る隙を与えてしまいかねない。


「うん。そうだね。マリーの言うとおりだね」

「はい」


 マリーはそう言うと、穏やかな笑みを浮かべるのだった。


◆◇◆


 一方その頃、メレディスたちはスカーレットフォードの北西に小さな陣地を構えていた。その周囲には凄まじい数のスケルトンたちが整然と並んでいる。


 そんな陣地の中ほどにいるメレディスのところに一匹の鳥のスケルトンがやってきた。スケルトンはメレディスの差し出した指に止まる。


 カタカタカタカタ。


 鳥のスケルトンはメレディスの指先で何やら奇妙なダンスを踊っている。それを見たメレディスはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


「へぇ。そうか。ならいいだろう。戻れ」


 メレディスがそう言うと、鳥のスケルトンは東の空へと羽ばたいていった。すると今度はロイドがやってくる。


「団長、大規模なゴブリンの巣を発見しました」

「へぇ。どのくらいだ?」

「少なくとも百以上のようです」

「百か。なら上位種がいてもおかしくねぇな」


 その言葉にロイドは緊張した面持ちとなる。


「上位種……大丈夫なのでしょうか?」

「さあな」

「えっ?」


 まさかの発言にロイドは思わず面食らった表情を浮かべる。


「ま、ジタバタすんな。アタシたちはやるべきことをやるだけだ。我らが主のためにも」

「……」


 ロイドは明らかに気乗りしない様子だが、小さく(うなず)くのだった。


 次回更新は通常どおり、2026/04/05 (日) 18:00 を予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
レアなゴブすけ各種取り揃えられてそうですねえ…
メイジ祭りかな?笑
ゴブリンキングスケルトン、ゴブリンクイーンスケルトン、 近日入荷予約、入りました!(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ