1話・・・レイテンシ
肌寒い風が吹く、季節は秋後半。
1人の少年が、目的の場所に向かって、いつもより小股で歩く。
ベージュのダッフルコートにブレザーのズボン。
少年は学校へ通うため、アスファルトの上で舞う落ち葉を見ながら歩いていた。
すると、ポケットに入れていた携帯の振動が寒さの如く、脇腹に伝わった。
外気に、せっかく暖まった手をポケットから出すことを躊躇しながらも、ポケットに手を伸ばした。
取り出して、携帯も、それを持っている手も一気に冷えた。
仕方ないと思いながら、通知を確認した。
通話アプリtimeからの通知だった。
メッセージの送信相手を見て、その場で立ち止まった。
そして、先程までの気怠さは吹っ飛んで、少年は笑顔になった。
「ハヤトくん、ごめんね。明日提出する宿題わからないところがあるから教えて!急でごめんね。」
「え?」
唐突すぎるメッセージをみて、つい思っていることを声に出してしまう。
「いま、登校中なんだ、学校着いてからでも大丈夫かな?」
「ごめん!そっちは朝だったね。学校着いたら連絡ちょうだい。」
メッセージを素早く打ち、送信ボタンを押した。
とりあえず寒いので室内に入りたかった。
すると、返信が返ってきた。
こんな何気ないやり取りが今も平然と続く。
これが当たり前だった。
でも、会おうと言ったら、うんと返してくれる、当然の事が永遠に叶わない事以外は…。
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生まれた時から当たり前だった風景、匂い、感覚。
同じ人間なのに、同じ交わりなのに、違う唯一のこと。
とても不思議で、いつか夢が叶ったら、感じてみたい、その地の体験を。
この狭い惑星で私は1人じゃないけど、1人だ。
あの星の、あの人も同じ感覚、感じなのだろうか。
空を見上げて、星を見る。
唯一抜きん出て、他の星からも劣らない輝きがあった彼の輝き。
見えるのに、届きそうなのに、手を伸ばしても届かない。
そのまま、課題のことも忘れてミラは寝た。
このように、両惑星の人類は、決して1つの願いが叶うことはないと、諦めていた。
ただ残ったのが通信のみ。
中途半端に繋がった2つは、最も簡単に切れてしまうものなのだから。とても呆気ない。脆いものだった。




