第90話 新生スターハーツ出動
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スターハーツの公式な窓口ができてから、アライさんのマナリンクには、ひっきりなしに連絡が届くようになったらしい。
「今朝も番組出演のオファーが3件あったよ」
フェアリーテールで会った時、アライさんは困ったように笑っていた。
「そんなに来てるんだ」
「公式窓口ができた途端、急にだよ。取材だけじゃなくて、グッズ展開の話も来てる」
グッズ、と聞いて僕は首を傾げた。
「グッズって、僕たちの?」
「そう。変身した君たちのぬいぐるみやフィギュアを作って売りたいんだって」
自分の姿をしたぬいぐるみ。机の上に置くような小さなフィギュア。想像すると、なんだか落ち着かない。
「最初は全部断ろうとしたよ。君たちの姿を勝手に商品にするのは、どうかと思ったからね」
アライさんの言葉に、アメリアも頷いた。
「私たちの許可を取ってから話を進める、という約束はしてもらったわ。それで、売り上げの半分をD因子の後遺症で苦しむ人たちへの救済金として寄付するっていう話だったの」
「それなら、話し合う価値はあるね」
売り上げの半分が、D因子の後遺症で苦しんでいる人たちのために使われる。
自分たちの姿が商品になることには、まだ少し抵抗がある。でも、それで助かる人がいるなら、受け入れられる気がした。
「それに、ラグナロクからも返事があったのよ」
アメリアが続ける。
「長いこと沈黙していたけど、プロテウスの使用を公認してくれたわ。宣伝にもなるし、国のためならいい、ですって」
「急に話が大きくなってきたね……」
「もう秘密のヒーローではいられない、ということね」
アメリアの言葉に、僕はうなずいた。
番組に出るかもしれない。ぬいぐるみやフィギュアが作られるかもしれない。僕たちの名前や姿は、これからもっと多くの人に知られていく。
怖くないわけじゃない。
そもそも、僕はヒーローになりたかったわけじゃなかった。新作ゲームを買いに行こうとして、事故に巻き込まれて、心臓にプロテウスが刺さった。それがすべての始まりだった。
だけど、今ははっきりと心にある。
困っている人を助けたい。
僕の心臓にあるプロテウス。体内に定着したD因子。どちらも望んで手に入れた力じゃない。いつの間にか僕の身体に宿り、簡単には切り離せなくなっていた。
嘆いていても仕方ないよね。
思えば、最初はアメリアに「プロテウスを返して」と迫られていたんだ。
それが今では、ソフィーも加わって3人でヒーローをしている。
ピピッ!
マナリンクから短い通知音が鳴った。
治安維持部隊の無線だ。
『市内にてドレッド関連と思われる事件が発生。現場へ応援を要請する』
僕は立ち上がった。
「行かなきゃ!」
怖さはまだ残っている。それでも、もう迷わない。
「スターハーツ出動!」
〜〜 第一章 完 〜〜




