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前世の過ちを今世で活かす。そして君の存在を次元を超えて証明する。  作者: 茉莉レイ


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第1話 失われる日常

 ぼんやりとした夢を見た。ここがどこかは分からない。

 だけどなんだか懐かしい。

 向こうに綺麗な顔をした女の子が悲しい顔をして俯いている。


 目から1滴の滴が落ちると同時に天井が見えた。

 支度を済ませ学校に向かう。


 

 私は東京の高校に通う17歳の風山(かざやま)紫伊香(しいか)

 そしていつも一緒にいる右隣の子が(あお)()(りん)()で幼馴染だ。

 私達は得意な事が対極で私がスポーツが得意なのに対し、琳寧は勉強が得意でお互いこの道では負けなしだ。

 今日はお互い放課後はオフだったのでショッピングをしに渋谷に来た。

 天気予報を裏切るように空は灰色に染まり、今にも雨が降り出しそうである。

 急いで近くの建物に入ったがその瞬間雷の音とともに停電が起きた。

 

「手を離さないでね」

 

 琳寧は怯えながら紫伊香の手を握り、明かりがつくのをただ待っていた。

 

 しばらくするとぼんやりと明かりがついたが、周りには誰もいなかった。

 2人は恐怖心や不安などよりも好奇心が押し勝ち誰もいない建物の中を歩き進んだ。

 

「ねえ琳寧、何が起きてると思う?」

 

 紫伊香は琳寧の天才的頭脳の分析を知りたかった。

 

「異世界にでも飛んだのかもね」

 

 冗談半分に琳寧は笑いながら返した。

 琳寧の頭の中は平日のこんな時間に誰もいないなんてありえないという現実的考えが頭の半分を埋め、もう半分はSF的な考えで埋まっていた。

 そんなことを考えていた時、聞いたことない音がした。

 

——キィィ、ギギャアギィィン——

 

 赤子の叫び声に変声機を使ったような聞くに耐えない音。

 2人は背筋が凍るのを感じる前に音が聞こえた方向と逆に走り出した。

 

「ねえ琳寧、さっきのは何?」

 

「分からない。けど今すぐここから出るべきだよ」

 

 2人は震える手をお互い握りながら周囲を確認して、入ってきたところに戻ろうと息を潜めながら早歩きした。出口がやっと見えた。


——グゥルォォンン、ガガ、ジィィ——

 

 安堵したと同時にさっきよりも怒りを感じる叫び声が聞こえ、振り返る間もなく外に出た。

 あたりは入った時と反対に空は雲1つ無く晴れていた。

 

「あぁ〜! 怖かったね琳寧!」

 

 安堵しながら聞いたが返事が返ってこない。

 

「あれ? どこ行ったのかな?」


 本当はもう入りたくないが中に入ってみるとさっきとは違い、人々で賑わっており不穏な空気感を感じる余地すらなかった。

 スマホで電話をかけようとしたが充電が切れていたので仕方なく家に帰った。

 

 

「ただいま〜」


 私は今日のことを話そうと急いでお母さんの元へ向かった。


「お母さん〜今日めっちゃ変なことがあったの! 聞いてよ! 琳寧と一緒に出かけてたらさ〜、周りに誰も人がいなくなって!! それで——」

 

 非現実的な出来事を話すのを遮るように母親は尋ねた。

 

「琳寧? 新しいお友達?」

 

 私は頭が真っ白になった。

 昔から家族ぐるみでの付き合いがあり正真正銘の幼馴染なのだから知らないはずがない。

 様々な考えが浮かぶが全て非現実的で、何も信じられなかった。

 今日のこと全てがドサッと覆い被さり、感情を留めていた底が崩れ、目を腫らした。

 

 

 次の日学校に行くと、したくもなかった想像通り琳寧の席も、覚えてる人もいなくその日は味がしないガムを1日中噛んでる気分で、色のない景色だけがそこにあった。


 

 家に帰りポケットに手を入れると覚えのない紙が一枚折りたたんで入っていた。

 開くと見覚えのある筆跡で、安堵と嬉しさで手に力が入り、紙に涙が落ちた。

 それは琳寧のであった。琳寧は生きてる。この世界から消えてはいない。

 そう確信し、琳寧が残した意味のわからない文章を読み上げた。

 

「もうすぐ始まってしまう。これで伝えることはできないけど、必ず全部うまくいくから。また会うのを楽しみにしてるね」

 

 昨日の今日で何が始まるのかも分からなく、何がうまくいくかもわからなかった。

 けど、また会うことができる。それだけで無色に染まった景色が色づき始めた。

 琳寧はどこかにいる事は分かった。

 けどそれ以外はさっぱりで何もできない現状に嫌気がさした。

 

 

 気晴らしに走りに行こうと準備をし、ランニングコースを思い浮かべながら玄関に向かいドアを開けると、空は見た事ないほどに黒みがかった濃紫で所々螺旋状に光っている。

 そんな恐ろしい光景をかき消すような悲鳴と悍ましい笑い声が混ざり合っており、阿鼻叫喚と化していた。


 怖いもの見たさで周りを見渡すと耳からの情報に比べて些細に感じてしまった。というのも、人々が叫びながら逃げ回ってはいたものの、追いかけていたのは小動物のような人型の何かだった。

 全長40cmほどの薄紫で少し角張った見たことない生物を目の前にする恐怖はあったが上空の様子と音として聞いたほどの不安感はなく逆に安堵した。


 この状況を前にして安堵してしまう自分に違和感を感じていた。

 ただ、今はそれよりも早くニュース速報を見たく、部屋に戻りテレビをつけた。

 

「緊急速報です。現在全世界を中心に上空の異常状態と、市街地における全長40〜50cmほどの未確認生物が確認されています。現在人的被害や環境の変化などは見られておらず、各国で協力すべく首脳会議が開かれるとの事です。国民の皆様は落ち着いて行動し、室内にて新たな情報をお待ちください」

 

 世界規模で起きているという事に驚きが隠せず、不安もありながらも何か非日常的で好奇心も芽生えていた。

 

「もしかして、琳寧が言ってた始まるというのはこれの事なのかな」


 急な出来事にパニックにならず対処できているのは琳寧からのメッセージのおかげだと確信した。

 

 

 ランニングする予定を諦めベッドに横になりsnsを開いた。

 もちろん話題のトレンドとしてはあの空のことと謎の生物についてで満たされていた。

 あることないこと様々な情報が飛び交い、情報を得る事はできそうにないと感じ手放した。


 喪失感や無力感は当然あるが、胸にある確かな暖かさが私を勇気づけた。

 これはまた琳寧に会えるということに対してのものだと思い込んだ。

 琳寧は私に嘘をつかない。

 ずっと昔から1つを除いて心のバリケードは取っ払われていたため考えていることが何でもわかる関係だった。


「この非常事態が何なのかはわからないけど、必ず全てうまくやって、琳寧との日常を取り戻してやる」

これから完結まで投稿していこうと思ってます!

どうぞよろしくお願いします!

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