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「では、ラミア殿、話しの続きを。貴殿らは、どうやって情報を得たのだ?」
ゴドニスの問いを受け、ラミアは説明した。
「私たち共石の村の民は、宰相様のご存知の通り、魔石と共鳴する力を持っています。その力が悪しき者に狙われぬよう、我々は姿を隠して参りました。力は今でも村で受け継がれております。」
ラミアは話し続ける。
「中でも村の巫女は、共鳴力を強く持ち、常にこの国の魔石の状態を観察しています。
・・・近年、魔石は減少する一方。そして、魔石が完全に採取し尽くされた場所から、魔物の増加と狂暴化が始まっています。」
「それは本当か?魔石と、魔物が関係すると?」
トアーズは、思わず口を開いた。それは、王太子と、そしてカーディラスと、突き止めたかった事実である。
「はい。また、村に伝わる文献よると、魔石には魔物を沈静化させる効果があるとわかりました。
各地に存在する魔石が、魔物を押さえていたのです。しかしこのところ、新たな魔石は生み出されず、魔石が掘られるため、減少する一方なのです。」
「新たな魔石が生み出されていないのか?」
「はい。我々の共鳴力で感じたところ、その気配がありません。」
ラミアの話しを受け、ゴドニスは再び口を開く。
「もしや、魔石がどのように生み出されるのかも、ご存知か?」
「はい。」
「ううむ。」
ゴドニスは、片手を顎にやって、再び考え込んだ。
「・・・共石の村の民は、皆それを知っておるのか?」
「いいえ。これは、長巫女にだけ伝わる内容です。私は共鳴力の高さから、長巫女に次ぐ立場。そのため、教えられました。」
「・・・なるほど。」
ゴドニスは、それだけ言って、また押し黙った。
「ゴドニス様、どういう事です?魔石がいかにして生み出されるのか、ご存知なのですか?」
ゴドニスの様子を見て、ファルドは思わず尋ねた。
「ああ。」
ゴドニスは徐に答えた。
「これも、王家と宰相とで、これまで秘匿してきたこと。」
ゴドニスはそこで溜息をついた。
「これ以上は、陛下を差し置いてお前達に話す権限は私には無い。
明日、陛下の御前で改めてご報告願おう。
ファルドとトアーズ、お前達の同席に関しては、陛下に口添えしておく。
ラミア殿とウルベ殿だったな。話の途中で申し訳ないが、続きは明日に頼む。」
「「はい。」」
ゴドニスは、ラミアとウルベの返事を聞くと、部屋を出て行った。
残された部屋の中で、ファルドがラミアとウルベに告げる。
「貴方方は客人だ。客間を用意するので、そちらに滞在するように。」
ラミアとウルベは、城に滞在することに戸惑ったが、今は言われる通りにした方が良いだろう。
ファルドに街の宿屋から荷物をとってくる許可を得て、頷いた。
ファルドと二人の話が終わったところで、今度はトアーズがラミアに話しかける。
「貴方は、カーディラス殿下と共にいたラミアさん?」
「はい。その節は、殿下には、大変お世話になりました。」
トアーズとラミアの会話を聞いて、ファルドとウルベは驚いた顔をしていた。
「トアーズ、ラミアさんと面識があるのか?カーディラス殿下も?」
ファルドが尋ねる。
「はい。一年程前、旅から帰った後にカーディラス殿下が会いに行った方です。旅の途中であった、殿下にとって、妹のような存在、だとおっしゃっておりました。」
妹、という言葉に、ラミアは苦笑した。しかし、カーディラスと面識があるというのは、この場では信用度が上がるだろう。
「カーディラス殿下には、以前、北の森にて命を救われました。その際、私がアルド商会に追われていることを話しましたので、旅を終えた後に、心配して会いに来てくださったのです。」
「アルド商会に追われていたのか?」
「はい。アルド商会は共石の村の存在を突き止め、狙っているのです。私は3年前に村を出た後にアルド商会に捕らわれ、2年の間、監禁されて働かされていました。そこから逃げ出した際、川に落ち、意識を失った私を殿下が北の森で助けてくださったのです。」
「アルド商会は、共石の村の情報まで得て民を捕らえていたのか。まったく、危険な組織だ。」
トアーズは思わず言い、
「だが、なるほど。それで殿下はアルド商会を警戒していたのかもしれんな・・・。」
と、誰にも聞こえない声で呟いた。
「カーディは、カーディラス殿下はご息災でいらっしゃいますか?」
ラミアの問いにトアーズは答える。
「ああ、もちろん。我々の調査でもアルド商会に気になる点があってな。現在殿下はその調査で城を離れておられる。」
「!アルド商会の・・・大丈夫なんですか?」
「ああ。殿下はお強い。多少調査に時間はかかるかも知れないが、1ヶ月ほどで戻ってくるだろう。」
(一ヶ月・・・その頃、私は・・・きっとお城にはいないわね。)
会って恋心が再び再燃してしまうことを多少懸念するものの、やはりカーディラスに会いたい気持ちも大きかったラミアは、少し落胆するのであった。
投稿に時間がかかり、申し訳ありません。




