第四章 1
第四章
「・・・感じたか?ラミア。」
「はい、ソフィア様。南の森でも最後の魔石が採取されました。いずれここも魔物の増加が始まるでしょう。」
「ああ。西の森に次いで、南の森もか。」
ラミアが共石の村に帰郷して一年。ラミアは村の長巫女ソフィアの元で、巫女として魔石との共鳴力を高める修行をしていた。共鳴力とは、魔石の存在を感じとり、また、魔石に自らの心の声を届けることによって、その力を高めたり、弱めたりする力である。
ソフィアは現在28歳。切れ長の黒い瞳に整った顔立ち。白磁色の長い真っ直ぐな長髪を、後ろで一つに束ねている。処女性の求められないこの村の巫女は結婚も認められているため、ソフィアは村の民と結婚をしている。
共石の村は、もともとこの共鳴力を持つ者が多い。その中でも15歳以下で一番高いの能力者が5年ごとに、巫女として選ばれる。そして選ばれた時点から石との共鳴力を高める修行を始めるのだ。巫女は特に性別は問われないのだが、不思議と能力の高い者には女性が多かった。これは、家での家事手伝いをする際に、魔石を用いた魔道具を利用しているからだろうと考えられてる。
もともとラミアは共鳴力が高く、巫女候補とされてきた。それが、アルド商会で仕事をさせられた際に自らの能力を追求し、帰郷後に巫女として修行を積んだ結果、巫女長にも引けをとらないほどの能力を身に付け、国内であれば、おおよその場所の魔石まで存在を感じとることが出来るようになった。
現在では、巫女長に次ぐ巫女である。
また、魔結晶が魔物を落ち着かせる効果があることに気が付いたラミアは、帰郷の後、ソフィアにその事を打ち明けた。そして修行の傍ら、魔石の秘密を探るために、巫女のみに昔から伝わっていた文献を読みあさり、伝承を紐解いていったのだった。
驚くことに、文献には竜に関する逸話も多く記載されていた。
この国は昔、人と竜はより沿って暮らしていたこと。人間から伝わった病気で多くの竜が死んだこと。
そして、欲に駆られた人間から離れるために、竜は人間の元を離れ、竜の里にうつりすんだこと。
そして何より、これまで聞いたことも無い竜の秘密についても文献に記載があった。
竜の中に、特別な『導きの竜』が存在したこと。
その竜の持つ魔力に影響されて、魔石が生まれること。
(魔石はこうやって生まれるのね。)
また、魔石が魔物の増加や凶暴化を食い止めているという記載もあった。
魔石一つでは魔結晶ほどの効果はないものの、国中に散らばることにより、国を安定化させているのだ。
よって、魔石が採り尽くされたエリアでは、増加や狂暴化が始まってしまう。
「ラミア」
ラミアの様子を見ていた、ソフィアがラミアを呼んだ。
「何でしょう、ソフィア様。」
「お前は、魔石の成り立ちや役割を理解したな?」
「はい。しかしソフィア様、なぜこんなに重要な文献がここにあるのですか?」
「お前はこの先、村の、この国の行く末に何らかの役割を持つやもしれぬ。・・・長巫女に伝わるこの村の秘密を、お前に話しておこう。」
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第四章は短いです。3話のみで終了です。




