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導きの竜と魔石の国  作者: キャスパー
28/39

10

3日後の朝。ラミアとソラは各々数日渓谷で泊まり込む準備をして、宿屋の入り口で落ち合った。


「おはよう。ラミア姉ちゃん。・・・なんだか、荷物、多くないか?」

「ええ。どうせ渓谷へ行くなら、そのまま渓谷を超えて村に帰ろうと思って。宿の部屋を引き払ってきたの。・・・渓谷からの帰り道、ソラには一人で帰ってきてもらわなきゃならないから、申し訳ないんだけど・・・。」

ラミアは少しばつの悪そうな顔でソラを見る。


予想外のラミアの言葉に、ソラはショックを受けた。

(そのまま出発か・・・。ラミア姉ちゃんと一緒にいられるのが、もう少しだけってことか?)


3年前は手が届かず、背も自分の方がずっと低くて、見上げることしか出来なかった憧れの姉。それが、今では背丈の変わらない、目の前の女の子として数日過ごし、ソラの心はラミアに奪われていたのだ。

そんなラミアとの別れを意識したことで、ソラは心が暗くなった。


「ソラ?出発しましょう?」

「あ、ああ。」

(ラミア姉ちゃんは・・・俺との別れのこと、何とも思ってないんだな・・・。)

微笑むラミアに、心を沈ませながらソラは返事をし、出発した。


渓谷では、ラミアの力で順調に魔石を見つけることが出来た。また、ラミアの希望していたとおり、鋼も見つけることが出来た。

(これが、鋼ね。・・・良い子。ちょっと、貴方の中を見せてね。)

ラミアは、鋼に共鳴力を集中させ、理解する。

ラミアの共鳴力が使え、変化を与えられるのは魔石のみだが、他の鉱石の性質を知ることは出来る。

性質を理解しておけばおくほど、いつか魔石をその鉱石に変化させる際、純度が高まるのだ。


さらにその後、ラミアは魔石を、ソラも仕事として魔石と鋼を探して川を上り、夕方になると各自のテントを張って、お互いのテントの間に点けた火を囲む。


「魔物に襲われないってわかってると、安心して休めて良いな。」

「でしょう?村へ帰ったら、魔結晶について巫女様の話を聞いてみるわ。魔物との関連についても。

魔結晶を研究できそうだったら、やってみる。巫女様の許可が出たら、ソラにも作ってプレゼントするわね。」

「ホントか?ありがとう。楽しみにしてる!」

ラミアと再開の約束が出来たため、ソラの心は少し浮上した。だけど、もっと男として、意識して欲しい。

ソラは、深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、ラミアに言った。


「ラミア姉ちゃん、俺、ラミア姉ちゃんのこと、好きだ。」

「私もソラのこと好きよ?」


軽いラミアの返答に、ソラは、(やっぱり、男としてちっとも認識されてない、弟としか思われてない)と感じ取る。

「そうじゃないって!俺、男として、ラミアのこと好きだから。」

「え?」

「俺のこと、弟としか思ってないだろう?わかってる。でも、これから、男として見て欲しい。まだラミアの方が出来ることたくさんあるけど。でも、頼ってもらえるように頑張るから。」

思わぬソラの告白に、ラミアは驚いて呆然とした後、段々顔に熱が上がってくる。


(ええっ?!ソラが、私のこと・・・?)

「ソラ・・・私・・・」

「返事は今すぐじゃ無くて良いよ。今すぐは、悪い返事しか来ないってわかってる。全く意識してなかったもんな。でも、これからちゃんと男として俺のこと、見て。」

「・・・ソラ・・・・。」



「じゃあ、ホラ、晩飯にしようぜ。明日は作るとして、今日は宿屋で作ってもらった弁当だ。」

宿屋で、昼食と晩食の弁当を作ってくれていたのだ。ソラは火で湯を沸かし、珈琲を入れた。

「はい、どうぞ、ラミア。」

ソラはいつの間にかラミアを呼び捨てにしていた。自分のことを弟としてでなく、見てもらいたいという気持ちから、改めたのだ。


返事を求められず、これからの自分を見て欲しいというソラに、大事な弟分とすぐに関係を変えなくて良いと少し安堵して、ラミアはソラから珈琲の入ったカップを受け取った。

「ありがとう、ソラ。うわぁ、良い香り。こんなところで珈琲が飲めるなんて。」

「シュルフトにあるカフェで、豆を譲ってもらったんだ。今度来たときは、一緒に行こうぜ?」

「・・・ええ。」

「うなずいたな?じゃぁ、デートだな?」

ソラは、冗談めかして言う。

「っもう!」

ソラは押しては来るが、ラミアに逃げ場も用意してくれる。


いつの間に、こんなに気遣いが出来る子になっていたのだろう。

(年下の、可愛い弟だと思っていたけど・・・もう立派な男の子、なんだな。)


だが、ラミアが恋しくなって、思い浮かべてしまうのはやはりカーディラスのことだった。

シュルフトでも、渓谷でも、何度カーディラスを思い浮かべただろう。大事と言われて変化の魔道具をもらったことを思い出してにやけたり。妹と言われたことを思い出して、暗く沈んだり。そしてやはり、半竜の第二王子という手の届かない立場を思い出して、思わず目にじわっと涙が浮かびそうになるのだ。

(手の届かないカーディを忘れて、ソラのことを想えたら良いのに。まだ心がカーディから離れてくれない・・・。)

やはりまだ、ソラの気持ちには応えられそうに無かった。

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