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心臓に星辰を  作者: 伊藤
星宿者
1/4

1.裏路地

 入学式が始まる。

 この学校――頼円高校(らいえんこうこう)は、開校

 100年を超える伝統校だ。

 その歴史の長さゆえか、校舎はところどころ古びていて 

 廊下を歩くたびに軋むような音が鳴る。

 そんなことをぼんやり考えながら、俺は自分の名前が

 呼ばれるのを待っていた。

 ―昨日は、大変だった。

 最寄り駅からの帰り道。

 少しでも早く帰ろうと、普段は通らない裏路地に入っ

 たのが間違いだった。

 奥の方から、誰かの話し声が聞こえた。

 無視して通り過ぎようとした、そのとき。

「おい今の話聞いてたか?」

 背後から、低い声が響く。

 振り返る間もなかった。

 危険だと直感して、俺は全力で走り出した。

 だが――

 次の瞬間、背中に鋭い衝撃が走る。

 刺された。

 息が詰まり、足がもつれる。

 それでも倒れるわけにはいかなかった。

 星宿者だってバレてもいいと思い、

 咄嗟に、地面の石が浮き上がらせた。

 それらを高速で回転させ、一気に解き放った。

 石は弾丸のように飛び、不審者ごとナイフを弾き飛ば

 す。

「……ほう」

 男は軽く身を引き、口元を歪めた。

「お前、星宿者か?」

「これで3個目だ。」

 その笑みは、明らかに普通じゃなかった。

 俺は迷わず、力をさらに引き出す。

 全身の感覚が軋むのも構わず、ただ“逃げる”ことだけを

 考えた。

 気づいたときには、路地を抜けていた。

 ――あれは、何だったんだ。

 その記憶は、今も鮮明に焼きついている。

「……星橋渡(ほしはしわたる)

  名前を呼ばれ、我に返る。

 俺は顔を上げ、何事もなかったかのように返事をし

 た。

(忘れろ)

(あんなこと、もう関係ない)

 そうだ。俺はただの高校生だ。

 だか星宿者ということは忘れずに気をつけて生活しな

 ければ。

 そのつもりでこの学校では、普通の生活を送る。

 ――そのつもりだった。

 そのとき、教室の窓の外。

 黒いフードをかぶった男と目が合った。

新作です。1話目なので文章量は少なくしました。2話目から遥かに多くします。しかし実生活も忙しいので更新は遅れるかもしれません。

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