銀狼はそこに静かに佇む。
更新です。お昼に間に合いませんでした、すいません!
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さて、今日も今日とてお仕事がありまする。
次回の更新もそんなにスパン空けずにやりたいものです。
白銀の毛を風が優しく撫でていく。森の開けた場所にあるこの緑癒草の群生地にどっかりと横になっているのが、まだ名も無き銀狼である。
前足を交差して組み、そこに顔を乗せてまったりとしている。銀狼はこの時間が大好きなので、正直うるさい事が嫌いであった。
つい先日も、複数の人間たちが自分を見て騒ぎ立てたのを覚えている。
(あの時は最悪だった。煩いし臭いし、男だし。本当に最低…。)
そう、この銀狼はなんと雌なのである。草の匂いと、風に混じって血の臭いが漂ってきたのを銀狼の鼻は感じとっていた。そして銀狼は思う、また厄介なのがきたと。
暫くして姿を見せたのは、これまた巷を騒がせている魔物のギガントベアーだった。
(ウルフか。ちょっと休ませて貰うぞ、その間はどっかに行ってろ。)
(あんた、血の臭いが凄いんだけど…。)
(ふん、人間が居たんでな、喰い殺してやったわ。)
銀狼は鼻が曲がりそうなほどの濃い血の臭いを纏ったギガントベアーから距離をとる。
(臭い、臭すぎる。信じられない…。)
(ふん、初めからそうしておれば良いのだ…。)
銀狼は深い溜息をつき、その場を後にしたのだった。
リーンが酒場を後にし、暫くして森の入り口へと辿り着いた。近くの森だが、それなりに大きな森で山の方まで続いている位の大きさがある。
「結構、距離、あるよ、ねぇ…。」
『息きれまくってるじゃないの…。』
「イン、ドア派、だし、勘弁して、欲しい、かな…。」
『インドア派、ねぇ〜。』
「何か、おかしい、かな?。ふぅ〜〜。」
それにしても、近くですけどこの森大きいですよね…。
そう思いつつ、四次元巾着から水筒を出して中のお茶を飲みます。冷たいお茶が、喉を潤しながら胃へと広がっていく感覚を少し楽しみを感じていました。
「冷たいお茶は最高ですね!。」
そう言って一服したあと、ボクは森へと足を踏み入れました。森なので多少暗いですが、そこは我慢ですね。ふと思ったのですが、ボクは緑癒草の群生地の場所を知りませんでした。
そこで秘密道具おしゃべりイヤーカフスの出番です。このイヤーカフスは、動物たちや樹木と会話が出来る錬金アイテムなんです。調整が難しかったですが、頼もしい一品です!。
おしゃべりイヤーカフスを装備して、近くの樹木に話しかけてみます。
「あの〜、すみません。」
「…。」
おかしいですね、反応してくれません。もしかして、自分が話しかけられているのに気付いてないのでしょうか?。では、今度は少し触れながら話しかけてみましょう。
「あの〜、樹木さん、すみません。」
「んあ?なんじゃ、わしか?」
「あ、はい。少しお聞きしたい事が…」
「ほお〜、人間に話しかけられるとは、何とも不思議な事じゃの〜。」
「お話、良いですか?」
「おぉ、おぉ、すまんの。初めての体験でわし、ドキドキじゃわい!。それで、なんぞや?」
「えぇっと、緑癒草の群生地ってどこにあります?」
「それなら、この道を真っ直ぐ行って突き当たりを……」
結論、分かりません!。この道ってどの道!?突き当たりって何と突き当るの?って感じだったので、樹木さんには申し訳なかったのですが話を切り上げさせて貰って他の動物たちに聞いてみる事にします。
そう思っていたのですが、なんと動物に出会わないではないですか…。これはマズイですね、どこに行ったら良いかわかりません。
『それで、どうするの?』
「うーん、どうしようか…。帰る時ってイヴは道分かる?」
『そりゃあ分かるわよ?。』
「じゃあ、もう少し探検してもいいかな〜。」
そんな会話をしながら、かれこれ三十分程歩いたら開けた場所に出ました。そこには、大きめの湖があり動物たちの憩いの場とも呼べる場所に銀の毛並みの犬っぽいけれども凛々しい感じの動物が佇んでいました。
ボクの足音に気付いたのか、首をこちらに向けて見ていました。
「イヴ、あのわんちゃん大きいよ?」
『はぁ、あなたね、アレは噂の銀狼でしよ?』
「でもモフモフで可愛い感じだよ?」
『それは、まあ、否定は出来ないわね。』
そうこうしていると、身体ごとこちらを向いて様子を伺っているようでした。
(人間がここに来るなんて珍しい。そこの人間、ここにはいったい何の用で来たの?)
あ、声は可愛い感じの声なんですね。女の子、なんですよね、たぶん。モフモフ、したいなぁ…。
(ちょっと、聞いているの?)
「あ、えっと、すいません…。」
(はぁ、それで?。この森には何の用で来たの?)
「緑癒草が欲しくて来たんですよ。丁度切らしちゃったんで…。」
(リョクユソウ?)
「そうです、そうです。こんな感じの草なんですけど。」
そう言って、残り少ない緑癒草を見せる。
(ああ、その草ね。そんなのが欲しいなんて、お前も変わった人間ね。)
「錬金術の素材なんですよ。」
(ふぅ〜ん、まぁいいわ。その草なら生えまくってる場所知ってるから、付いてきなさい。)
「あ、はぁい。」
そんな訳で、ボクたちは銀のモフモフわんちゃんに連れられて緑癒草の群生地に行くのでした。
ミニ四駆ってまた流行ってたりするのかな?
うちの近所では全く流行ってないけど…。