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モフモフと異国の剣士。

やっと書けたよ。

難産だった。

 ボクたちは銀狼さんに案内されて、緑癒草の群生地まで向かっているところです。ボクの前を歩く銀狼さんのふわふわな尻尾が左右にフリフリと揺れていました。

 物凄く触りたい衝動をボクは抑えつつ銀狼さんに一つ質問しました。


「あの、一つ質問いいですか?」

(……、なに?。答えられる範囲だったら答えることを考えてもいいわ。)

「名前を教えてください。」

(…はい?)

「名前を教えてください。」

(いや、聞こえてないわけじゃないから!)


 そんなに変な事だったでしょうか…。


(それにしても、あんな所に行くなんて物好きだわね。)

「必要ですからね〜。」

(あんた、さ。怖くないの?)

「うん?何がですか?。」

(こっちは魔物な訳だけど…。)

「とは言っても、こうしてお喋りしてますし?」

(それもそうね……。って、何で!?)


 気付いてなかったのでしょうか、すごい驚きようです。


「これのおかげですよ。」


 そう言ってボクは自分の耳にしているイヤーカフスを触る。金と銀、それに蝶の羽の装飾されたイヤーカフスはボクの秘密錬金道具の一つ。勿論、四次元巾着の中に入っています。

 本の虫をしていた時期に読んだ、異世界冒険物の小説に出てくるマジックバッグやアイテムボックスをモチーフにしたモノです。

 まぁ、ボクがその小説の主人公みたいになるとは思いませんでしたけど……。


 それはさておきどちらも力作ですし、それにまつわる話もあるのですがそれはまた今度お話します。


(あんた、何者?)


 銀狼さんは、立ち止まり見上げていました。少しだけ先に進んでいたボクは銀狼さんに振り返りながら答えました。


「ボクはリーン。錬金術士ですよ。」

(錬金術士……ってなに?)


 不思議そうな表情をし首を傾げた銀狼さんは凄く綺麗でした。銀の毛並みが、光を反射してキラキラと輝きを放っていました。非常にモフモフしたい衝動に駆られてしましますね…。


「えっと、錬金術士っていうのはいろいろな素材を混ぜて別のものを作ったりする人、かな?」

(ふぅ~ん。)

「このイヤーカフス、耳につけてるのもボクが作った物だよ。」

(あんたって、見かけによらず凄いのねぇ。)


 そう言って、スタスタと進み始めた銀狼さんでした。触りたいです、あのモフモフした尻尾…。

 結論、欲求には勝てませんでした。フリフリと左右に揺れるモフモフ感がたまらなさそうな尻尾をついふわり触ってしまいました。


「キャン!?」

(ひゃあ!?)


 一鳴きしたあとにジト目で睨まれました。


「えっと、ごめんなさい。つい手が…。」

(尻尾と耳は敏感なんだからやめなさい!)

「でも、気持ちよかった。ふわふわで毛並みも柔らかくて。」

(ふ、ふん。そんなこと言っても誤魔化されないんだからね!)


 そうは言いつつも、尻尾が左右にブンブン揺れていました。むしろ、あれは回ってないですか?。可愛いです、ウチに来てくれないですかね…。


 それから少し歩いたところで、一面に広がる緑癒草の絨毯の上に赤いモノ。おっきい、赤いモノがいました。


(なんだ、戻ってきたのか犬っころ。)

(うっさい、この子があんたが下敷きにしている草を欲しがってんのよ。とっととどっかに行きなさいよ。)

(ん?、そこに居るのは人間か…。)


 赤い熊に思いっきり睨まれています。迫力が物凄いですね、これは。それにしても、この赤い熊が件の熊でしょうか。


「少しだけ、緑癒草をいただきに来ました。」

(自然物だが、人間に採らせるのは癪に触るな。よって断る。)


 クワッと目を見開き、そんな事を言ってのけた。もちろん、ボクも銀狼さんもジト目になってしまいました。


「ねぇねぇ、この熊さんはいっつもこんな感じなの?」

(そうね、こんな最低な性格だから人間にいっつも攻撃されてんのよ。)


 二人でひそひそと話します。なんでしょうか、この銀狼さんとは気が合いますねやはり。

 なるほど、と納得してしまうボクとイヴ。こう、昭和の頑固者!っていう感じが滲み出ている気がしてなりません。


「とりあえず…」

「其奴から離れろ!?」


 放置して貰おっかって言おうとしたところで、別の所から女性の声が聞こえました。そちらを見やると、ザ・和風な人が刀を構えて居ました。

 刀は見事な業物であろう品に、持ち主である女性は黒髪に桜色の甲冑で (エンチャントまでしてある) し彼女にピッタリです。


「ここにおったか、化け熊!」


 和風女性は臨戦態勢に入りました。刀身には桜の花びらがうっすらと模様としてあり、色は薄い桃色です。


「一刀で決める!」

「って、おぉーい!。ちょっと待てよ!」


 後ろから少し頼りない感じの男性が息を切らしながら走っていきました。それにしても、体力なさそうで心配ですね。ボクが言えたことではありませんが・・・。


「そん、なに、あせ、らなく、ても、いい、じゃないか、はぁはぁ。」

「そんな時間はないぞ、マルク。そこの可憐な少女が化け熊に襲われそうになっていたのだ!」

「えっ!?、それは本当かい??」

「えっと、襲われてはないですけど・・・。」

「無論だ、私が見間違うことなどない!」


 だめだ、この人。人の話を聞かないで暴走するタイプの人だ・・・。少々雲行きの怪しくなるのをボクは黙って迎えることしかできないのでした。

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