表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅の末裔  作者: みるく
27/27

【1章】カゴの中のトリ

悲しいかな、ここまできてまさか霖が隣にいないときに遭遇してしまうとはあたしの悪運も底をついたのかもしれない。



今まさに目の前に佇んでいる渦中の人・レスターブラックフォードは、何も言わず鬼の形相で距離を縮めてきていて、早くも身に迫る危険度はマックスになろうとしていた。



「よくもまぁ、五体満足でいられたな」



第一声といい、今のセリフといい、かなりアブナイ感じがするのは気のせいじゃないらしい。



禍々しいオーラを放ちながらあと数歩で手が届く、という距離で足を止め見下すように軽く顔をのけぞらせた彼はなかなかの迫力だ。



「さぁて……ノコノコ俺のテリトリーに戻ってきたってことぁ、」



キリ、と整った眉が器用にも片方だけつり上がる。



「大人し」


「わおナイスタイミング!!おーいカモが来たよカモがー!!」


「「マジか!!」」



彼の格言を盛大にスルーし、ついでと言わんばかりにバン!!と扉が吹っ飛ぶ勢いで開け放たれ中から手が伸びたかと思えば、それは迷うことなくレスターブラックフォードのシャツをひっつかんだ。



『カ〜モさーんこーちらー手ぇ〜のなーるほーうへー』



幸い開かれた扉はあたしの方とは反対側で事なきを得たものの、あの今にも犯罪を犯しそうなほど憤慨していたレスターブラックフォードは見事な流れ作業で部屋の中に連れ込まれてしまっていた。



『っしゃー今日はカモのカネでスシパけってーい!!』



いやっほーい!!と叫ぶ声にというか余りにも恐れ多い行動に床のどこか一点を見つめたまま唖然としていると、今度は照明で明るい筈のそこになぜか影が差した。



「(?)」



ハテナ、と若干脱力しつつ顔を上げた瞬間、早急にここから逃げた方がいいかもとかこの際裏の世界の謎なんてどうでもいいとか云々、あたしの思考回路は驚きの回転を見せた。



「……あ?」



確実に数秒前、麻雀ができないだのなんだのと愚痴を言っていたその声が、目の前のやたらイカツイいかにもその道の人っぽい男の人から発せられている。



「(ああそうだここは敵のテリトリー……だった)」



そう思ったのも束の間。



「お前か?紅姫組の末裔ってのは」


「……はい?」



あたしの腕をがっしりと掴んで離さない、というか離してくれなさそうなその人は、あろうことかそのまま踵を返した。



――そう、つまり。



「(待ってあたしこのまま連れ込まれるパターン!?)」



そういうことなのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ