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サッカーでしか繋がれない  作者: 月田きいろ
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 結論から言おう。ヨユーでこいつらに勝てる。

 でもだからと言ってそれを口に出してはいけない。ここは穏便に、さりげな~く終わらすのだ。

「何か聞きたいことがあったら何でも言って」

「え、それじゃあ……どのくらいのペースで活動してるんですか?」

「うーん。週五くらいかな」

 少ないな、前の学校は週七でやってたよ。

「俺たち人数が少なくて試合すらできないんだ。山吹さんが入ってくれたらすごく助かるんだけど」

「おい大和、無理して入ることねぇぞ。週五なんて地獄以外も何者でもないぞ」

「サッカーで週五は優しい方なんだけど……」

 いや待てよ、そもそも私がサッカーを辞めたがっていたのは周りに比べて私の実力が劣っていたからだ。でもここだったら私がナンバーワン。


「おい舜! 本当にその女子入れんのか?」


 突然、サッカー部の一人が割って入ってきた。

「女子がサッカーなんてできるわけないだろ。おい、お前怪我するから早く帰んな」

 おっと、ずいぶんないいようですね。今の時代にこの発言できるのはなかなか肝が据わっているな。

「おいシンジ、お前さっきの見てなかったのか。それに今のは失礼だろ。ちゃんと山吹さんに謝れ」

「事実を言ったまでだろ。女子がいると俺らもいろいろ気を使わなくちゃいけなくてめんどくさいんだよ」

 なるほど確かに男子の中に女子が一人混ざるのもきつそうだ。やはりここは断った方が。

「わかった。そこまで言うなら今山吹さんと勝負いてみろ。お前が勝ったら意見は通してやる」

「……えっ?」

「大丈夫。山吹さんだったら勝てるって信じてるから」

 いやそうじゃない。なんで私が入る前提で話を進めてんの? 確かに自分よりも弱い人たちとやるのも魅力的だけどここはシンジって人の意見を通してくれた方がありがたいんですけど。

「い、いや私は……」

「ふん、ま、いいか。やってやるよ」

「よし、頑張って山吹さん!」

 私の声はもう届いていなかった。

「なぁ、大和」

 二人がすっかり乗り気な中、ずっと大人しくしていた柿原が寄ってきた。

「か、柿原君、助け」

「やるからには思いっきりやれよ。あのやろぉぶっ飛ばしてやれ」

「…………」

 お前もか。

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