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3.「十八の夏」「十九歳の……」「二十歳によせて」
「十八の夏」
愛しています
けれど
忘れなければならない人……
想いは千々に揺れに揺れ
そして
一歩また大人に近づいている
十八の夏─────
「十九歳の……」
燃える炎のような赤ではない
動けないほどの闇のような黒でもない
私の心を揺さぶるものはなく
わたしは誰をも愛していない
静かに
ただじっと前を見つめるその瞳は
どこまでも透きとおるような水色
───────涙色
開かれた 十九歳の扉
「二十歳によせて」
楽しかった
恋をしていた
答えが出ていなかった
だから……
───────そう涙していたのは
いつの頃だろう
想い出に縋るより
身近な現実をいつしか
受け入れ始め
これからも生きていく
今、二十歳