36話 幸せの青い鳥 ⑧
いちおう第一部のラストまで話は考えてるんですが、何話になることやら。
第二部とかどうするつもりなのやら。
「アンジェ! 嘘でしょ・・・?」
「キトゥン、ヒューゴ、まさか・・・!」
雪崩から生き残り・・・いや、取り残された私とアデルは呆然と雪崩が去った跡を眺め続けた。
事が起こった今でも信じられない。
アンジェ・・・みんな・・・。
もしかして、死・・・。
「地味子、助けに行くぞ!」
「えっ・・・う、うん!」
アデルの言葉で我に返った私は巻き込まれていったみんなの捜索を始めた。吹雪のせいで膝付近まで積もった雪を掻き分けながら走る。
でも、なぜかクライスは動こうとしない。
「何をしている? お前の隊の副団長も巻き込まれたんだぞ。捜さなくていいのか?」
「目の前の相手に集中しろ。青い鳥はまだ俺たちを捕捉しているぞ。」
私には、クライスのその発言が信じられなかった。
「何言ってるの・・・?」
「今は動きを止めている。倒すチャンスだろう。これを逃せば次いつ青い鳥が隙を見せるかわから・・・。」
「ふざけないで!」
気付けば私はクライスの胸ぐらを掴んでいた。
「自分の仲間が死んじゃったかもしれないんだよ? どうしてそんなに平気な顔していられるの・・・?」
「・・・・・・。」
「私の友達も・・・初めてできた大切な友達も・・・。」
我ながら似合わないことをしているのは自覚がある。それでも、言わずにはいられなかった。
「エミリエットも団員たちも国王様に直々に任命された誇り高き聖騎士だ。任務1つ1つに死を覚悟して臨んでいる。ここで俺が任務を放棄したらそれこそあいつらに対する冒涜だ。」
「でも・・・彼女はまだ助かるかもしれないよ。」
「・・・・・・そうだな。不本意だが、3人共闘してすぐにでもあのバケモノを倒す。捜すのはそれからだ。」
クライスの言うことは理解はできたけど、納得はできなかった。
それでもここで青い鳥に背を向けて4人の捜索に集中したら、またさっきのような攻撃を受けるかもしれない。私は渋々クライスの意見に同意した。
「ところで、メガネ娘はどんな戦闘スタイルだ? アデルは有名な戦士だから知っているが、君のことは聞いたことがない。共闘する上で覚えておかないと不便だからな。」
「・・・・・・。」
「どうした? 武器は使わないスタイルか?」
「・・・これとか?」
痛い所を突かれた私は拳銃を取り出した。そこそこ高かったけど全然活躍してくれない、ただ腰に差しているだけの。
「それだけか・・・?」
「あ、あと・・・護身用のナイフとか?」
「なるほどな。あの、ほら・・・そこの木の陰とか安全だから。」
私は速攻で戦力外通告を受けた。
「では行くぞアデル。正義執行だ。」
「む、私に指図するな・・・。」
あの2人大丈夫かな。
木の陰から見守ってるけど、なんかあんまり相性良くなさそう。
「地味子、お前にも役割はあるぞ。」
「え、何? 私にできることなら何でもするよ!」
「青い鳥の弱点を探してくれ。」
「・・・はい?」
弱点?
「理由はわからないが、お前はあのバケモノを見てすぐ青い鳥だとわかった。それがお前の不思議な力によるものだとしたら、もしかしたら何か糸口を掴めるかもしれない。頼んだぞ。」
「え、ちょっ・・・!」
アデルはそう言い残すとティルウィング片手に青い鳥へと向かっていった。
何でもやるとは言ったけど、大役すぎない?! 私なんかに一体何を期待してるの・・・。
「弱点とか言われても・・・そもそもあるの? あんなデカブツに。」
無駄だと思うけどとりあえず観察してみる。
青い鳥は上空で止まったまま動かず、相変わらず甲高い鳴き声を発し続けている。さっきの強力な攻撃が嘘のよう。
「それにしてもうるさい鳴き声・・・。」
・・・・・・鳴き声?
動物の鳴き声って、求愛とか威嚇とか動物同士の会話とか、そういうコミュニケーションに使われるものじゃなかったっけ?
でもこの青い鳥が発してるのは鳴き声じゃなくて、まるで・・・。
「泣き声・・・。」
ふと呟いた瞬間、顔のすぐ横を熱いものが高速で通り過ぎる。青い鳥の放ったレーザービームが私の横髪の一部を焼き切り、雪の積もった地面にぶつかって爆発を起こす。
もしかして私、今死にかけた・・・?
「地味子! 攻撃がそっちに行ったが大丈夫か?!」
「うーん、あんまり大丈夫じゃないかも。特に私の横髪が。」
そうだった、ぼーっと考え事してる場合じゃない。今戦闘の真っ最中だった。アデルとクライスがこんなに激しい戦いを繰り広げる中弱点を探すとか、私には難易度高すぎ! 無理ゲーだよ!
「雷霆の鉄槌!!」
雲の隙間から強い光が差し込み、極太の雷が青い鳥に向かって落とされる。熱と衝撃が青い鳥の全身を駆け抜け、大きく揺さぶる。爆音が響き渡り突風と衝撃波が辺りの積もった雪を吹き飛ばす。
なんて攻撃・・・威力も範囲も私が今まで見た魔法とはレベルが違う。
「それでも、ダメージ1つ与えられないか。」
「さっきからティルウィングの斬撃も通らない。こんなやつがいるとはな。」
「そんな・・・。」
ギルド最強の戦士と聖騎士団団長、私が今まで出会った中で1番と言っていいほど強い人たち。この2人の攻撃が効かないなんて反則でしょ・・・!
助けて・・・!
「・・・?」
今の声・・・私の心の声じゃない。
でも、私の中から聞こえてくる。私の中にもう1人別の誰かがいるような、不思議な感覚・・・。
苦しい・・・痛い・・・!
また聞こえた。アデルもクライスも表情1つ変えず青い鳥に向き合っている。
私にしか聞こえてない?
「誰・・・?」
今この場にいるのは私とアデルとクライス、そして青い鳥だけ。まさか・・・。
「青い鳥・・・あなたなの?」
私はじっと青い鳥を見つめ、そう問いかけた。
もう誰も傷つけたくない・・・誰か・・・!
「間違いない・・・!」
どういうわけかは分からないけど、青い鳥の嘆きの声が私にだけ届いてる。自分の意志ではなく、まるで誰かに操られているかのように私たちを襲ってるらしい。そう確信した途端、激痛とともに頭の中にとあるイメージが飛び込んできた。
「痛っ! 何これ・・・魔力の解放、集中、操作・・・神通?」
たくさんの聞き慣れない単語と見慣れない映像が頭の中をぐるぐるとまわる。
これってもしかして・・・。
「地味子、どうしたんだ? もしかしてどこか怪我を?」
「ううん大丈夫。それより2人とも、ちょっといい?」
いつになく真剣なトーンにアデルは首を傾げクライスも私の方を振り向く。
「たぶんだけど、青い鳥を倒せるかもしれない。」
これはかなり危険な賭け。でも倒すにはやるしかないよね。
正直言って死ぬほどやりたくないんだけど、私は決意を固めた。
今回も読んでいただきありがとうございます。
相変わらず文章力などいろいろ成長しない私ですが、これからもどうかよしなに。




