冒険者ギルドに登録しよう
ようやくヒロインがでます。
俺が盗賊を撃退してから1日が過ぎた。HPが無駄に高いせいかいくら歩いていても全く疲れないのだ。
この世界も地球にいた頃と同じように太陽と月があり(同じ太陽や月かどうかはわからない)昼夜があった。
俺は盗賊を撃退してから日が昇るまでひたすら自分の身体能力を調べ続け、ある程度は調整できるようになった。無論完全に掌握したとは言えないが…
そして日が昇ってからは近くに街道がないか探していると商人のお兄さんに出会った。
「近くに街がないかっスか?そっスね〜向こうの方に〈ソラス〉っていう街があるっスよ。君は旅をしてるんスか?」
「は、はい、俺は光田って言います。小さな村の出身で大きな街に憧れてるんですよ〜。」
俺は別の世界から転生したなんて言っても信じられなさそうだから適当に思いついたことを言った。
「そうなんスか。おいらの名前はアランっス。みてのとおり商人をやってるっス。さてそれじゃ、おいらも仕事の途中っスからこれで。」
「ありがとうございました。それではお気をつけて。」
「コータ君も気をつけるっスよー」
そう言ってアランは去って行った。
俺はアランが教えてくれた〈ソラス〉のある方へと歩きだした。
そして歩くこと2、3時間してようやく街が見えてきた。
「やっと、街に着いた。」
俺はまともなものを食べていなかったうえ風呂に1日以上入っていなかったのでようやく街について嬉しくなった。
街の入り口のところには門番が2人立っていた。
「そこの少年、冒険者かい?」
門番の1人が俺に話しかけてきた。
「いえ、違います。」
「ってことは〈ギルドカード〉は持ってないのか。少年、何か身分を証明できるものはあるかい?」
「〈ステータスプレート〉でいいですか?」
「〈ステータスプレート〉ってなんだい?流石に僕の知らない物じゃなぁ〜。ちょっと待ってて。」
そう言うとその門番はもう1人の門番に話しかけに行った。
しばらくするとさっきの門番が戻ってきた。
「やっぱり駄目だって。となると街に入るには銀貨を1枚払わないといけないんだけど。」
俺は袋から銀貨を1枚取り出して門番に渡した。
「よし、これで街に入っていいよ。君は戦うことは出来るかい?」
「はい、一応。」
「それなら冒険者ギルドに登録するといいよ。冒険者になれば〈ギルドカード〉が貰えるし、依頼をこなせばお金も手に入るし。」
(確かにお金を手に入れる手段に困ってたしそれもいいかも)
「そうですね〜。とりあえず冒険者ギルドに行ってみます。」
「冒険者ギルドはここから真っ直ぐ進めば見える大きな建物だからすぐわかると思うよ。」
俺は門番にお礼を言うと冒険者ギルドに行くことにした。
〈ソラス〉の街は中世のヨーロッパのような感じの石造りの美しい街並みだった。
そのまま真っ直ぐ進んでいると途中に変わった施設を見つけた。そこは〈洗場〉と呼ばれる場所らしく冒険者達が〈依頼〉で汚れた体を洗うための場所で1回使うのに銀貨1枚とのことだ。
盗賊の持っていた銀貨は20枚以上あったので1回くらいいいだろうと俺は〈洗場〉を使った。
〈洗場〉の中は銭湯のようにシャワーらしきものが並んでいた。浴槽がないのは残念だったが体が洗えるだけマシだな。うん。
シャワーらしきものの真ん中にボタンがありそれを押すと水がでるらしい。
〈洗場〉を出てスッキリした俺は再び歩き始めた。すると門番の言っていたとおりすぐに大きな建物が見えてきた。
建物の中には大量の紙が貼られた板と受け付けがあり、奥は酒場になっているらしく男達が酒を飲んでいた。
俺は入り口に最も近い受け付けに向かった。
受け付けには15歳くらいの少女がいた。
茶髪の髪をポニーテールにまとめていて目は黒くキラキラと輝かせている。鼻は高くて唇はふっくらとしている。そして彼女のスレンダーな体型と合わさってどこかイタズラ好きそうな印象を思わせる。彼女を見れば誰もが可愛いと思ってしまうだろう。
「すいません。冒険者になりたいんですけど〜。」
「はい、冒険者登録ですね。この紙に必要事項を記入してください。もし文字が書けないなら銅貨2枚で代筆しますが。」
そういえば、普通に会話できていたから気にならなかったが俺はこの世界の文字やら貨幣の価値などを知らないな。う〜ん冒険者登録が終わったらどうにかしないとな。
「じゃあお願いしてもいいですか?」
「はい。あとそんなにかしこまらなくてもいいですよ。もっと気楽な感じでお願いします。」
「分かったよ。はい、これ。」
俺は銀貨を受け付け嬢に渡した。
「はい、これがお釣りです。」
そう言って銅貨を8枚渡してくれた。どうやら銀貨1枚は銅貨10枚分らしい。
「まず、名前を教えてください。」
「光田だよ。」
「コータさんですね〜。あっ、そういえば私まだ名乗ってませんでした。私エリーって言います。」
「エリーさんね。改めてよろしく。」
「エリーでいいですよ。えっと次は年齢ですね。」
「たぶん17歳だと思う。」
「たぶんってなんですか。私より1歳年上ですね。」
「ってことはエリーさ「エリー」ごほん、エリーは16歳なんだ。」
「はい、そうです。あとは一応前衛タイプか後衛タイプ、使う武器などを教えてくれると相性のいい冒険者やパーティーを紹介出来ますが…」
「それならいいや。当分ソロで活動しようと思っているから。」
「そうですか。それなら大丈夫ですね。ああでも、ソロは危険ですから〈依頼〉を受けるときは気をつけてくださいね。ギルドカードは明日にはできてると思うので明日またギルドに来て下さい。はい、これが仮のギルドカードです。」
エリーはそう言うと木でできた小さな板をくれた。
「いろいろとありがとう、エリー。」
「ふふっ、明日も私のところに来て下さいよ。」
そう言って俺は受け付けから離れギルドを出ようとしたところでー
「兄ちゃん、ちょいっと付き合えよ」
変なのに絡まれました。