動き出す影
夕飯を食べた俺とクーアはエリーの家の前に着いた。
「ここがお兄ちゃんの家なの?」
「ううん、違うよ。確かにここに住んでるんだけど俺の家ってわけじゃないんだ。」
俺はクーアに〈ソラス〉の街でのことについて話した。
「つまり、ここにそのエリーって人と一緒にすんでるの?」
「そういうこと。」
ひととおり説明した俺はクーアを連れて家の中に入った。
「コータさん!おかえりなさ…い?」
エリーは元気よく現れたがクーアの方をみて固まってしまった。
「ただいま、エリー。クーア、このお姉さんがエリーだよ。エリー、この子はクーアっていうんだ。詳しくは後で説明するよ。」
俺はそれだけ言うと風呂場へと向かった。
風呂から上がるとエリーとクーアが椅子に座って話していた。
「あ、コータさん。」
「お兄ちゃん。」
「何の話をしてたの?」
「お兄ちゃんが魔族を追い払った時のはなしをしてたの。」
クーアは俺の近くまで来て手を引っ張って自分の隣に座るよう勧めてきた。俺はそのままその椅子に座った。
「あ……」
「ん?エリー、どうかした?」
「いえ、何でもないです。」
エリーの態度が少し変に感じたが特に気にせず頼みごとをした。
「エリー、クーアのことなんだけどこの家に泊まらせてあげてくれないかな?聞いてるかもしれないけどクーアは家に帰れない状態なんだ。」
「お願いなの。」
俺がエリーに頭をさげるとそれに続いてクーアも頭を下げた。
「もちろん、構いませんよ。クーアちゃんから話は聞きました。この家は大きいですしクーアちゃんが増えても問題ないですし。」
エリーはそう言ってクーアの方を見た。
「クーアちゃん、これからよろしくね。」
「はいなの、エリーお姉ちゃん。」
「コータさん、私はクーアちゃんをお風呂に入れてきますね。」
「ありがとう、エリー。俺は疲れたから先に休ませてもらうよ。」
「はい、お休みなさいコータさん。」
「お休みなの、お兄ちゃん。」
2人に挨拶を済ませた俺は自室に入りベッドに横になった。
光田が寝たころクーアとエリーは湯船に浸かっていた。
「クーアちゃん、お風呂気持ちいい?」
「はいなの。」
2人の様子はまるで本当の姉妹のようであった。
「エリーお姉ちゃん?」
「どうしたの、クーアちゃん?」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんのこと好きなの?」
「えええっ⁉︎ど、どうして?」
「? なんとなくそんな気がしたの。違ったの?」
顔を赤くしたエリーは一度深呼吸をしてどうにかきを落ち着かせた。
「クーアちゃんはコータさんのこと好き?」
「もちろん、大好きなの。」
クーアは弾けんばかりの笑顔で言った。
その笑顔を見たエリーは自分の想いを告げる決心をした。
「私もね、コータさんのこと好きなんだ。」
それを聞いたエリーは先程のような笑顔を浮かべた。
「お姉ちゃんもクーアと一緒なの。」
「うん、そうだよ。あ、で、でもコータさんには内緒だよ⁉︎これは2人のヒミツだからね。」
こうして2人は打ち解けていくのであった。
冒険者ギルド本部
「例の話は本当か?」
「わからん。だが、その可能性は高いだろうな。」
「しかし、魔族とはな…」
「奴らは最近ほとんど活動していなかった。もしかするとそれは力を蓄えていたんじゃないのか?」
「わからん。もしかすると今後奴らは再び人間とことを起こそうと考えてるのかもしれん。」
「このことを知ってるのは?」
「まだ冒険者ギルドのみだ。」
「他の奴らに知らせるか?」
「いや、不確かな情報で混乱させたくはないな。とりあえず今は様子見だ。」
???
ある部屋に8人の男女が集まっていた。全員翼が生えており、髪は銀色に輝いている。
「あのガキ人間に負けたんだって。」
「…らしいな。」
「全く魔族の面汚しめ。」
「しかし、彼も弱いわけではないはずですがね〜」
「それは貴様が弱いからそう思っているだけだろう。」
「そうそう、上位魔族の中じゃあいつ、下から2、3番くらいじゃない。」
「だが上位魔族であることに変わりない。それを1人で倒したとなると危険ではないか?」
「そうですわ。その人を私達の仲間に加えるというのはいかが?」
「はっ、相変わらずお嬢様の頭はお花畑か。なぜ人間如きを我ら偉大なる魔族の仲間に加える必要がある。殺しちまえばいいだろう。」
「じゃ、その人間はお前に任せて良いのだな、赤眼のファイ?」
「ああ、任せとけ。」
そう言うと、その男の体が一瞬で燃え上がりその場から消えた。
「人間か…」




