帰還
クーアが俺の旅仲間になってから数日、〈ソラス〉の街に報告に行っていた男達が帰ってきた。
「おーい、帰ってきたぞ。」
男達の声が聞こえてきたので俺とクーアは宿から出た。すでに村の人々が男達の近くに集まっていた。俺もそこへ向かって歩きだすと男達の中から見覚えのあるおっさんが見えた。おっさんもこっちに気づいたのかこっちを向いて手を振ってきた。
「お、コータじゃねぇか。どうやら無事だったみてぇだ……」
おっさんは笑顔で声をかけてきたが、俺の服を握っているクーアを見て固まった。
「グランのおっさん、どうしたの?」
「お、お、おま、おまえどうしたもこうしたもねぇよ。その女の子はなんだ!おまえロリコンだったのかよ⁉︎」
「いや、落ち着いてよ。」
「落ち着け⁉︎お前まさかもう手を……」
「出してないよ‼︎」
いつのまにか周囲の人たちはこちらに耳を傾けており、ちらほらとコータ=ロリコン説が浸透しつつあった。
俺はこのままじゃマズイと思いグランのおっさんを宿の自室へと連れてきた。
「で、なんでおっさんがこの村に来たの?」
俺は一番疑問に思っていたことを聞いた。
「は?そりゃ当然だろ。〈ラッサ〉の村から来たとかいう連中が自分達の村が石化させられていただの上位魔族がどうとか。しかも、それを解決したのが依頼を受けた冒険者だったなんて聞いたらギルドとしても調査しないわけにはいかないだろ。」
おっさんは勢いよくそう言った。そして俺の方を見ると再び話し始めた。
「だいたいな、上位魔族なんて人間が1人で倒せるような相手じゃねぇよ。…まぁ、それはおいといて一体何があったんだ?」
俺はこの村で起きていたことやクーアのことなどを話した。
全部話し終えるとおっさんは真剣な顔つきのまま話し始めた。
「まさか、そんなことになっていたとはな…コータ、お前はすぐにでも〈ソラス〉に帰ってギルドマスターに話してこい。俺はここで調査しねぇといけねぇからな。ああ、それとクーアちゃんがドラゴンだとかいうこともちゃんと言っとけよ。」
「うん、わかったよ。」
そう言うと俺は部屋の片づけをして〈ソラス〉に帰るとマーサに伝えた。もともと〈無限収納箱〉もあるうえに持ってきたものもほとんどない俺はすぐにでも帰ることはできる。
「なんだい、もうちょっとゆっくりしていってもいいじゃないか。」
「俺もそうしたかったんですけどギルドマスターに報告しないといけないらしいので。」
「クーアちゃんはどうするんだい?」
「ん、お兄ちゃんといっしょに行くの。」
「そうかい。コータ、くれぐれもクーアちゃんに手を出すんじゃないよ。」
「わかってますよ。それじゃ、俺たちはこれで。」
宿を出るとそこには村の人々が集まっていた。
「「「「「コータさんありがとうございました。」」」」」
しばらく呆然としていた俺だったが、クーアに袖を引っ張られて我にかえると笑顔で応えた。
「どういたしまして。」
そうして俺は大勢の人に見送られながら〈ソラス〉に向けて歩みを進めた。
「お兄ちゃん、嬉しそうなの。」
「そうかな。」
自分のために生きると決めていた俺だが、やはり感謝されるのは嬉しく感じるのだった。
「あっ。」
「どうしたの?お兄ちゃん?」
「〈空間魔法〉で帰れるじゃん。」
俺はクーアの手を握って〈ソラス〉の近くに転移したのだった。




