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犬勇者  作者: 吉行 ヤマト
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ロンダの初戦

 ロンダが名を呼ばれて控え室を出て行くのに俺たちも途中まで同行した。控え室の様子は観客席から見えない様に隠されており幕と幕の間の通路を進んで試合会場に入る事が出来る。観戦目的の俺たちはその少し手前にある幕の隙間から会場に入る。自分の試合の時にはちゃんと見ていなかったが、観客たちは試合が始まる直前まで結果に金を賭けていた。


 ロンダの倍率が高い様なので俺も参加する事にした。メウロバルトにそれを告げると俺が持っている木の札で賭ける事ができるらしく、それを頼む事にした。戻ってきたメウロバルトにロンダの倍率を聞くと3倍ほどだそうだ。相手の倍率は1.2倍ほどらしいので相手の方が人気があるらしい。


 既に会場にいるロンダの相手は普通の剣を持っているよく見る装備の男だ。革と鎖で出来た動きやすそうな鎧を着ている。女であるロンダを見ても全く侮る様子が無いことを見ると、戦い慣れている様だ。


 何かをロンダが話している様だが、その声は聞こえない。そんな中、試合開始の鐘がなった。


 相手の男は剣を両手で持ち正面に構える。ロンダは短刀を右手に持ち、左手を相手に見えない位置に忍ばせた。先に動いたのは男の方だ。剣を少しだけ上に引き上げると、斬るというよりは突く様に真っ直ぐロンダに向かって行く。


 「ぐあっ!」


 ロンダの少し手前で男の突進が止まる。踏み出した足の甲に深々ともう一本の短刀が刺さっている。


 その瞬間、男の首にロンダの短刀が突き刺さる。必要な場所に必要な深さで。男は声も出ずに絶命した。


 うおぉおおおおぉおぉぉお!!


 返り血を浴びたロンダが男の足と首から短刀を引き抜くと俺の時と同じ様に試合終了の鐘が鳴り、屈強な男が現れて木の札を渡して行った。


 「まあまあだ」


 控え室に戻ったロンダはそれだけ言うと短刀の手入れをする。試合終了と共に姿を消したメウロバルトが駆け足で戻ってくる。


 「旦那、こちらを」


 俺に木の札を3枚渡すと俺の前に腰をおろした。


 「姐さんは凄いですね。次は俺も賭けさせてもらいますよ」


 ロンダの強さを目の当たりにして、スッカリ魅了された様で帰ってきてからずっとロンダばかりを見ていた。

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