試合の合間の休憩
順当に勝ち進んだ俺たちの手元には4枚の木の札がある。メウロバルトに聞いたところ、この木の札1枚でマルンまでの船賃1人分の銀貨3枚の価値があるらしい。そういう意味では既にここで戦う意味無い様だが、海の魔王は斬っておきたいので決勝まではやるつもりでいた。
1戦目と2戦目の賞金はどちらも木の札1枚だが、3戦目と決勝は違う札を貰うらしい。それら4枚の札を合わせて銀貨15枚と換金出来るという事だ。メウロバルトの話では俺とロンダは決勝まで行かないと当たらない様に手配済みだと言う。こいつにそんな事が出来るだけの力があるとは思っていなかったので、少しだけ俺はメウロバルトの事を見直した。
2戦目までの間にしばらく時間があるという事で俺たちは闘技場内の屋台でちゃんとした夕食を取ることにした。
「あの、これからまだ試合があるのに腹一杯になって大丈夫なんですかい?」
メウロバルトが俺とロンダに真剣な顔で聞いてくる。
「大丈夫だ」
「大丈夫だ」
俺とロンダはそれだけ言うと運ばれた料理に手を伸ばす。
「ワン!」
ピヨールが鋭く吠えた。
「毒か」
俺の中に流れ込んでくるピヨールの意識から、その警告が毒である事が分かった。俺は立ち上がり皿を持って厨房へと向かう。ロンダは匂いを嗅いでから毒の入っていない料理だけを選び出し1人で食べ始めた。
「ロンダ殿! 毒があるのでは!?」
アンが止めようとする。
「毒があるのは、このスープと水だけだ。肉と葉っぱは大丈夫。修行すればお前にも分かる様になるぞ」
ロンダニヤリと笑う。
いや、ならんぞ。それはお前だけの能力だ。騙されるなよアン。
「はい! 鼻も鍛えます!」
アンは直ぐに騙された。アンとアンジェリカは恐る恐る自分達の前にあるきざみ野菜に手をつけている様だ。俺が様子を見ている間にメウロバルトが厨房から出て来た。先程、俺たちに料理を運んだ男を後ろ手に捕まえている。
「旦那、こいつが金を貰ってやったらしい。毒を入れたのはスープと水だけだと言ってます。こいつの処分は我々、海運協会に任せて貰っていいですかい? きっちり責任取らせますんで」
「ああ、分かった」
俺はメウロバルトと海運協会の面子を考えて、後のことは任せる事にした。その後、お詫びという事で酒と料理が次々と運ばれて来た。俺は適度なところで抑えていたが、ロンダは来たものを全て食べて飲んでいた。更にアンとアンジェリカにも残さず食う様に言いつけたせいで、2人は泣きながら食べ続けていた。
「無理するなよ」
「は、はい……うぐっ」
「も、もう……無理ですぅ……」
アンとアンジェ0リカが残した分は俺が食べて処理をした。お腹が苦しくて動けない2人を抱えて俺たちが控え室に戻ると俺の名が再び呼ばれた。
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