一番の手柄
王城に戻ると入口にいた兵達が迎えてくれた。俺が連れ帰ったアソフォンは縛られたまま城の地下にある牢に入れられ玉座の間に居た男はその隣に入れられた。
「手柄だな」
ロンダが俺を褒めた。
「こいつのおかげだ」
俺がピヨールの腹をなでる。
「ワン!」
ピヨールが胸をはる。これはもっと腹をかいてくれという催促だ。
俺が王都の人々や他の兵はどこに行ったのか尋ねると、兵達はアソフォンの兵に奇襲を受けほとんどがやられてしまい、生き残った兵達は人々とともに王都から避難したらしい。その後、城に籠城されて攻めあぐねていたのだと言う。
1万の兵がそんなに簡単にやられるのか? ロンダが俺が思った事と同じことを聞くと、兵は悔しそうに毒を盛られたと答えた。新王の誕生会と言う偽りの宴で兵達にもご馳走が振る舞われたが、その中に毒が仕込まれていたらしい。
苦しみだす兵達に追い打ちをかけるようにアソフォンの傭兵が斬り込み、1万の兵は混乱し翌朝までにその殆どが生命を落としたと言う。その宴の会場は館ごと焼き払われていた。
宴から逃げ延び、王都の人々と共に避難していた兵は再び集結する。集まった700人程の兵は、アソフォン討伐に王都に戻ったが指揮官を宴で失っており常に劣勢であったと言う。
何とか城まで追い詰めた時にはその数は50まで減っていた。
「弱すぎる」
ロンダが俺が思った事と同じ感想を述べる。兵は唇を噛み締めてロンダを睨んだ。事実である為、言い返せないのだろう。
「マリアと将軍が戻るまでに城を綺麗にしておくんだな」
ロンダがそう言ったので俺はピヨールの消臭効果を思い出した。
「匂いを消せるか?」
「ワン!」
俺の肩にいたピヨールがロンダに飛びついて輝いた。するとロンダから匂いが消える。そしてそのままピヨールは玉座の間に向かった。しばらく待っているとピヨールが元気に帰って来る。
「匂いは消えたか?」
「ワン!」
ピヨールが返事をする。一番の手柄はやはりピヨールだな。
「これで玉座の間にも入れるだろう。死体を片付けて綺麗にするんだ」
兵達は重い足取りで城に入ったが王女マリアの為にと真面目に働いた。俺とロンダは食料を確保するために王都の裏にある森に向かい狩りを続けた。
数日後、マリアを連れてビラボア将軍とアンと3000の兵が王都に帰ってきた。人気のない王都に困惑する兵達であったが王城は綺麗に片付けられ城壁に前国王の旗が掲げられて居るのを見て歓声をあげる。
そして、マリアは城に戻った。
次回の投稿は12/14(月)の予定です。




