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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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749 失敬だよ

 朝食を済ませ、空になった食器を出して、追加をもらったりしてたら九時を過ぎてしまった。


「ちょっと出かけてくる。魔王ちゃん。外で待ってろな」


 どこに、とは言わないし、どこへ? とも聞かないゼルフィング家。これで家族関係が良好なんだから謎だよな。


 一度部屋に戻って着替え、ポケットの中身を入れ替える。


「ん? ベー、どこにいくの?」


 メルヘン専用のドアからプリッつあんが入って来た。ん? 朝食のときいなかったっけ?


「ああ、エリナのところにな。プリッつあんはどこいってたんだ?」


 別に気になる訳じゃねーが、たまに興味を示さねーと大家としての立場が危ぶまれるんでな。


「トアラの家で朝食をご馳走になってた」


 ず、随分と遠くまで散歩してますね。つーか、いつの間にか朝食をご馳走される立場になってんのよ? うちの村、本当に他種族に寛容だよな。


「そ、そうか。トアラたち休みにして帰省でもさせるか?」


 いろいろ押しつけたし、ご褒美でもやってご機嫌取っておくかな。またいろいろお願いするしよ。


「そうね。おじさんたちも寂しそうにしてたし、いいんじゃない」


 んじゃ、王都に行ったときでもコーリンに相談してみるか。


「そう言や、ミタさんもいなかったけど、どうしたんだ?」


 多分、いなかったはず。記憶が曖昧ですんません。


「ミタレッティーなら配下の子たちの教育するって言ってたわよ。領主城も落ち着いたから何人か回すみたい」


 がんばるミタさんに感謝の敬礼を。あなたの働きに助けられてます。


「そっか。ミタさんにも休みをやらんとな」


 まあ、休めと言っても休まなそうだけどよ。


 入れ替えが終わり、部屋を出ようとしたらプリッつあんがパ〇ルダーオンして来た。


「プリッつあんも好きなことして来てイイんだぞ」


 別に付き合う必要はねー。場所が場所だしな。


「ううん。ベーと行く。前からエリナって人のところにいってみたかったし」


 あれ? プリッつあん、エリナのとこいったときいなかったっけ? なんかもう何度もいってるような気がしてならないんだが……。


「喪服姿は何度も見てるけど、そのエリナって人のところにはいったことないわ」


 そうなんか? まあ、プリッつあんの存在、たまに忘れるし、結界でいなくするときもある。プリッつあんがそう言うならそうなんだろうよ。


「つーか、レイコさん、いるよね?」


 後ろを振り返ると、レイコさんはちゃんといた。


「……レイコさんの存在を完璧に忘れられるって、それもどうなの……?」


 オレは前を向いて生きてる男。後ろなど気にせんわ!


「別に構いませんよ。幽霊ですから」


 その返しもどうなのよ? とは思いはしたが、言ったら自分に返って来そうなので黙っておきましょう。


 あ、ちなみにドレミ(オリジナル)はいますよ。ミタさんがいないのかメイド型になってます。


 それ以上、なにも語らず外に出る。


「ワリー。待たせたな」


 ぼんやりと突っ立てた魔王ちゃんに謝るが、こちらに振り返ったりはしない。どうした?


「寝不足なんじゃない? 昨日、どこで寝たのよ?」


「家畜小屋で寝た」


 藁を敷いて二人並んで寝たよ。まあ、魔王ちゃんの腹の虫が鳴いたのでいつもより早く起きたがな。


「……よくそんなところで寝れるわよね……」


「昔はよく寝たしな、気にはならんよ」


 山羊の出産やら家の建て替えで家畜小屋で何回も寝泊まりした。それに、家畜小屋で寝れてこそ一流の村人ってものよ。ハイ、突っ込みはノーサンキューね。


「魔王ちゃん、眠いなら館にいてもイイんだぞ」


 今回は報告と承諾をもらいにいくだけ。魔王ちゃんからの覚悟は聞いてるしな。


「……行く。ベーからもっと学びたいから……」


「ベーから学ぶとか、人生台無しにしたいのかしら、この子?」


 なに失礼なこと言っちゃってくれますかね、このメルヘンは? オレ、これでも人生経験は豊富なんですけど。


「そうですよ。ベー様から学ぶなんて自殺行為です。碌な大人になれませんよ」


 レイコさんからのキツい一言。オレ、泣くよ……。


「まあ、ベーから学べるヤツもそうはいないさね。いたらベー以上の非常識な存在よ」


 と、現れるなり毒を吐くご隠居さん。オレの周り全て敵だな、こん畜生がっ!


「ベーの言葉は勉強になる」


 畜生! なんて可愛いこと言ってくれんのよ魔王ちゃんは! おいちゃん、涙で溺れそうだよ。君のためなら全世界を敵にしたって構わないよ!


「いたさね、同類が」


「哀れな子……」


「わたしは今、最悪の魔王が生まれた瞬間を見てるんですね……」


 心痛な顔を見せる人外ども。ほんと、君たち失敬だよ! 

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