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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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657 今日も疲れた

 夕食が終わり、場所を暖炉の前に移した。


 二人の食は余りよくないようで、鶏肉一品と野菜スープしかたべない──いや、食べられなかったので、酒のツマミにフライドポテトを出してやった。


「お前のところに来ると、こうして旨いものが食えるから最高だぜ」


 エルフの料理を一度食ったことがあるが、悪く言えば薄い。よく言えば素材の味が出ているだろうか。精進料理が豪華に思えるくらい味気ねーものだった。


「渦巻きねーちゃんはまだ料理を覚えねーのかい?」


 リュケルトの幼なじみで、エルフにしては美食家なねーちゃんだ。


「あいつは食う専門だからな。フフ。最近、肥えてきてな、ダイエットとか叫んでるぜ、クッキーを食いながらな」


 乙女に種族はねーか。どこも同じだな。


「まあ、肥えエルフがいてもイイだろうさ。ただでさえ細いんだからよ」


 乙女の心理はわからんが、あれで太ってるなら大抵の乙女は憤死するわ。一部を除いてスタイルがイイんだからよ。


「だな。おれも肉づきがいい方が好きだぜ。痩せてるのは見てて萎えるぜ」


 なにがとは聞いちゃダメだぜ。エルフにもそう言うタイプはいるってことだ。


「だったら里を出ればイイだろうに。世界はおもしろいんだからよ」


 陽気で社交的なクセになぜか里に留まるリュケルト。まあ、たまにこうして里から出るけどよ。


「おれの才ではすぐに死んじまうよ。弓も剣もぱっとしねぇんだからよ」


 A級冒険者だったカーチェと比べるのもなんだが、リュケルトの腕はそれほどイイとは言えねー。まあ、狩人としてやって行くなら申し分はねー程度。冒険者としてはやってけねーな。


「だったらうちで働けよ。馬、気に入ったんだろう?」


 エリナからもらった十頭は賢いからそれほど手間はかからんが、子が生まれたら手は欲しくなる。繁殖が目的だから世話できるヤツは早目に確保しておきてーんだよな。


「ああ、気に入った。だが、里からは出れんよ。あそこがおれの居場所だからな」


 その郷土愛が強いからこそ、里を救うために外へと出てオレと出会った。オレがリュケルトを気に入った一番の理由である。


「そうか。それは残念。子が生まれたらやるから里で繁殖させてくれや」


 繁殖させるなら分散させた方がいろんな個体が生まれ、万が一のとき種を残すことができる。ましてやリュケルトのところは馬を扱い慣れている。きっと素晴らしい馬に育ててくれるだろうさ。


「まったく、お前は先を見通すよな。聞いたぜ、他種族多民族国家を創ってるってよ。村人のやることじゃねぇだろう、それ」


「なにかをするのに村人も貴族も関係ねーよ。創る意志のあるヤツが創る。ただそれだけだ」


 建国や革命なんて名の知れぬ者が強い意志で成し遂げる。最初から英雄なんていねーよ。


「で、あんたらにはその意志があるかい?」


 閉鎖的なエルフが外に出るなんて住み家を失ったか、病気で滅びそうなときぐらい。今回は住み家を失った方だろうよ。


「意志はある。どうか我々に居場所をくだされ!」


 自己紹介のときのように床に両拳をつけて頭を下げた。


 居場所を得るためならエルフの矜持を殴り捨てる覚悟なんだろうが、オレ的には不愉快でしかねーな。


「だったらその強い意志で居場所を創ればイイじゃねーか。なぜオレに頼む? 迷惑でしかねーよ」


 リュケルトも頭を下げたが、それは里を救うためならなんでもやる覚悟があった。自分が救うんだと強い意志があった。だが、こいつらから感じるのは他人任せ。自分らがどうこうしようとする気概が感じねーのだ。


 女のエルフがリュケルトを見るが、リュケルトはなにも言わない。オレがなにに気に入らねーのかを知っているから。


「……確かに都合のよいことを言っている。我々は閉鎖的で他と交わることを拒んで来た。だが、里を失い、否応でも外に出て、己らがどれだけ傲慢かを知った。我々は未熟だ。ただ長生きしただけの無知な種族。まだ、同胞たちは気がついてない。わかってもいない。でもどうか我々に機会をくだされ。我々はもっと生きたい。子に未来を与えてやりたい。我々はまだ死ぬわけにはいかないのだ!」


 叫ぶ……なんだっけ、このエルフさん? まあ、今は聞ける空気ではないのでポニテさんと名称しよう。ポニーテールしてるし。


「なら、居場所をくれてやる。だが、閉じ籠ることは許さねーし、害になるようなら追い出すからな」


 閉鎖的なエルフほど厄介なものはねーが、社交的なエルフならこちらが、頭を下げても来てもらいてー。住人が増えれば環境は破壊され、森は枯れ、水は腐る。


 環境を守るためには森に詳しく、森に住んでもらえる種族がイイ。とはわかっていてもそんな種族、エルフしかいねーから後回しにしていたのだ。


「はい。明日を得るのならどんな苦労も厭いません!」


 まあ、苦難苦闘の道程だろうが、まだ形もできてねー他種族多民族国家。徐々に慣れて行けばイイさ。そう簡単にいくわけでもねーんだからよ。


「ミタさん。ワリー。親父殿やサプルにしばらく人魚の国で観光しててくれと伝えてくれ。なるべく早く戻るようにすっからよ」


 エリナにも聞きたいこともあるし、二、三日は戻れんだろうな。


「畏まりました。そう伝えます」


 そちらはミタさんに任せ、今日は解散することにした。


 今日は、いや、今日もいろいろあって疲れた。明日だ明日。今日はもう寝る。お休みなさい!


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