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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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584/1852

584 名プロデューサー

「ヘイ! ちょっとそこ行く未来の歌姫さん。オレとテッペン目指そうぜ!」


 目の前にいる人魚さんを指をさし、キランと白い歯を光らせる。


「はぁ? なに言ってんの?」


 一番欲しくない突っ込みが頭の上から襲い来る。ゲボッ!


 くっ、その抉るような突っ込み、マジ効くぜ……。


「……あ、あの、いったいこれは、なんなんでしょうか……?」


「気にしないで。たんなる茶番だから」


「え? 茶番、ですか?」


「そうよ。ベーによるベーだけの茶番よ。軽く流しておきなさい。相手するだけ疲れるからさ」


 前略、初めて会った頃のプリッつあんさま。あの頃のあなたは今どこにいるのでしょう。とても会いたいと願う今日この頃です。


 初めて会った頃のプリッつあん、カムバーック!


 で、戻って来るわけもなし。もうメルヘンに夢も希望も持ってねーよ。


 今は人魚に夢と希望を見る時間だぜい!


 あんたらなにやってんの? との天の突っ込みに答えましょう。


 店を出たオレたちは、町へと出たのだ。


「随分と活気があんだな?」


 アホ皇子が来た頃は、まだちらほらと見えた程度だったのに、今はいたるところに人魚がいた。


「たぶん、まだここに来て日の浅い人たちが着いたことに喜んでいるだけです。もうしばらくしたら仕事がないことに落胆します」


 経験者は語る、のようで、人魚さんが暗い顔を見せていた。


「まあ、楽園なんてこの世にはないしね」


 頭の上でメルヘンさんも経験者は語る的なことを口にした。


「そんで、魚を売るところってどこだい?」


「冒険者ギルドです」


 あるとは聞いているし、地上の冒険者ギルドとはまったく関係ねーとはわかっているが、なんか複雑な気分になるよな。変なところで地上と海中がシンクロするんだもん。


 人魚さんに案内されて冒険者ギルドに来ると、魚を持つ人魚が結構な数並んでいた。


 人魚の食文化に文句を言うつもりはないが、そんだけ簡単に魚を捕まえられるんなら魚を食う文化を開花させろよ。ハルヤール将軍が来たとき、焼いたものや煮たものは体に異常なく食えたんだからよ。


 なんてことは人魚に任せるとして、なるほど。確かに列には女子供が多いな。


「選り取り見取りだな」


 とは言え、どう選ぶよ。オーディションするか? いや、やり方知らねーよ。なら、考えるな、感じろだ!


 で、並ぶ人魚さんに言ったのが冒頭のセリフです。


「え、あ、なに?」


「ったく。ベーの唐突についてこれる変態は世界で十人もいないわよ」


 それでも十人はいるんだ~とか、自分を貶めることは脇にポイして、先に進みましょう。あ、えーと、なんだっけ、この人魚さんの名前?


「タルマダルよ」


 痒いところに手が届くようなナイスなアシストに感謝です。


「タルマダル。今日から君の芸名は、アルタ・マリーンだ!」


「通訳すると、あなたの名前が覚え難いから簡単な名前にするってことよ。まあ、ベーにしてはセンスのある名前をつけたわね」


 そんな心の通訳なんてノーサンキュー。あと、アルタ・マリーンさん。そんな冷たい目でオレを見ないでください。なんか変なものが目覚めてしまいそうです。


「おほん。まあ、芸名をつけてた方がなにかと便利なもんだぜ」


 なにかは聞かないで。テキトーに言ったまでなんで。


「は、はあ。わかりました。そう名乗ります」


 そんな素直な君に乾杯。あ、特に意味はありませぬ。


「アルタ・マリーン……長いな。短くしてマリーンでイイか。で、マリーンよ。あの中に知り合いとかいるか?」


「……はい。ベーさまが声をかけたのはわたしの一族の子です」


 おっ、一族の子とは都合がイイ。ゲットさせて頂きます。


「よし、マリーン。この調子で、歌うのが好きなヤツや踊りが得意なのを連れてこい!」


「いつものように丸投げね」


 ハイ、それがなにか?


「まあ、いいわ。ベーが出ると下らない茶番劇になりそうだし、わたしがついて行くわ。タルマダル──じゃなく、マリーン。いくわよ」


 なにやらプリッつあんが頼もしい。そして、なんかムカつく。


 が、メンドクセーので任せます。


「さあ、未来のアイドルを発掘してくるのだ!」


 この名プロデューサーがテッペンに連れてってやるぜ! って、あれ? お二人さん、なんかあなたたちと距離が遠いと感じるのはなぜ?


「あ、あの、いったいどうすれば?」


「まずは見た目。あと声と動き。そして、やる気があるかを見るわ。まあ、わたしに任せなさい。ベーのやりたいことはなんとなくわかるからさ」


「…………」


 前略、あの頃のプリッつあん、カムバーック!

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