1280 パラリラパラリラ
出発の準備ができた。
「自分が準備したわけでもないのに、よくそこまで自信満々に言えますね」
皆の仕事はオレのため。オレの仕事はオレのため。世界はオレのために回っているのだよ。
「どこの悪役ですか」
そこはどこのガキ大将でしょうが。これだからファンタジーの住人は困るぜ。
「……この理不尽の非常識村人は……」
怒りの鉄拳が襲って来るが、幽霊なのでまったくこれっぽっちも効きませ~ん。
無害な幽霊はいないも同じと、荷車に積まれたものを見る。って言っても木箱が積まれているのが見えるだけなのだがな。
荷車は全部で十二台。ん? あれ? もっと作ったような気がするんだが、十二台だけだったっけ?
なにか遠い昔のようで思い出せん。覚えてる人、オレに記憶をわけてくれ!
「何台か先行させた」
と、エース的オネーサマ。あれ? なんか着るもの変わってね?
初対面のときは革のビキニアーマーの類似品を着ていたはず。なのに今はビキニ(水着か?)になっていた。
「──なんでやねん!?」
思わず突っ込んでしまった。
「な、なんなのだ?」
「なに防御力下げてんだよ! 意味わからんわ!」
ビキニアーマーにも突っ込みどころはあるが、まだ革なだけに布(水着の材質など知らんわ)よりは防御力はあるはずだ。いや、知らんけど!
「誰だ、ザイライヤーに余計な知恵を授けたヤツは!!」
「べー様も大概余計な知恵を授けてますよね」
うぐっ。そ、そう言われたなんも言えません……。
はぁ~。もういいよ。ビキニアーマーがビキニになってもオレには関係ねー。見て楽し──いや、なんでもありませぬ。
「そんで、先行ってどう言うことだい?」
「こんな意味のわからない集団がいきなり町にいっても追い出されるだけだ。だから、村の者と我らが先行して根回しをするのだ」
へ~。アマゾネスな集団なのに根回しとか知ってるんだ。
「我らはあまり町から歓迎されてないからな。入るときは付き合いのある者に頼んでいる」
オレの表情を読んでか説明を付け足してくれた。サンキューです。
「それは手間をかけさせたな」
「構わない。我らはべーに助けられているからな」
「行動してるのは周りなんですけどね」
幽霊さん、ちょっとお黙んなさいな。まあ、レイコさんの姿と声はオレが選んだ者にしか見えないようにしてるがな。今さらな説明で申し訳ございませんです。
「オレに得があるからやってるまでだ、気にすんな」
すべては将来、ゆったりまったりスローライフするための布石。この弱肉強食なワールドを住みやすくするためのことだ。
「ところで、この……隊商? の、頭って誰よ?」
と、訊いたら周りにいるヤツらが一斉にオレを見た。
「え? オレ?」
「他に誰がいるのだ?」
「いや、村のヤツから選べばイイだろうが」
オレはそのつもりでいたぞ。
「あの集団を仕切って──いや、頭はべーだろう」
なぜ言い変えた? いや、仕切ってないからイイんだけどさ!
「あ、いや、そうだな。説明不足だった」
「いつものことですがね」
黙らっしゃい! ゴースト・オブ・ザ・レイコ!
「まあ、頭はオレでイイや。副頭として村とザイライヤーから一名ずつ出せ。ルダール。奇異の目を向けられても平然としてられるヤツを四名選べ。援護部隊はルダールに任せる。カイナーズはカイナーズで勝手に決めろ」
隊商? の数は言ってるのだからその中から選べや。
「わかった」
「了解です!」
エース的オネーサマとルダールが代表して答え、それぞれが動いた。
「ミタさん。メイドからも何人か出してくれ。なるべく人の姿をしたヤツをな。細かい部分はオレの力で変えるからよ」
「畏まりました」
「ってか、魔女さんたちどうした?」
何人かの魔女さんはいるが、委員長さんら性格の濃いのが見当たらなかった。
「先行隊でいきました。町を見たいと言うので」
一足先に見たいと思う町だったか? まあ、外国の町なら珍しいかもしれんがよ。
「あいよ。じゃあ、出発は明日の朝とする。出発する者は早めに寝ておけよ」
そう言ってオレはハヤテに跨がり、夜眠れるように遠出に出た。のんびりまったりしすぎてまったく眠くねーんだよ。
「べー様。我々もお供します」
シープリット族のヤツらが三十人ほどついて来た。
「なんか暴走族になった気分だな」
まあ、ジャングルで生きてる者からしたら暴走以外の何物でもねーんだがな。
パラリラパラリラグォングォングォ~ン!
「なんですか、それ?」
若き血潮の自己主張さ。




