1272 どうした!?
熱狂するシープリット族を十二分に騒がせてから黙らせる。
「五名の勇者よ、前に出よ!」
スタンバっていた五名が闘技台に上がって来る。
シープリット族の顔を識別できんが、体毛や体つきは五名とも違った。
人の髪の毛と同様、地域や環境で異なるのかね? なら、魔大陸全土に広がっていたと見るべきか。結構、数が多い種族なのかもな。
五名がオレの前に順番(旗を持ってます)通りに並ぶ。行儀がよろしいこと。
「よく戦った。感動した!」
どこかの大臣のパクりだが、見てない者からしたら便利な言葉である。
「……口が達者なんだから……」
オレは口下手ですよ。
「一番の旗を持った者、オレの前に」
オレから見て右が一番だ。
前に来たのは灰色の毛を持つ、筋肉ムキムキの男だ。
「高らかに名を告げろ」
「おれは、バンドラー! ジャルジーの生まれ。シャルザーの息子なり!」
エルフのような名乗りだな。
「勇者バンドラーに我れが作りし鉄拳ガイザーを与える」
ネタ武器、白銀鋼製の鉄拳(左右)を出してバンドラーに渡す。
「嵌めてみな」
もちろん、人用に作ったのでバンドラーの手には合わないが、我にはプリッつあんの伸縮能力があるので問題ナッシング。ピッタリと合わせた。
「シープリット族に近接戦闘術があるかわからんが、竜に噛まれても傷はつかんし、岩を殴っても体に負担はかからない。鉄拳を使った戦いを考えてみろ」
「はっ! 鉄拳ガイザーに誓って」
そう言って元の位置に下がった。
「二番の旗を持った者、前に」
黒い毛を持つ片目の男だ。
「高らかに名を告げろ!」
「イップスなり!」
ん? それだけか?
「勇者イップスに我が作りし雷撃の槍、雷電を与える」
イップスに雷電を渡す。
「轟天の言葉で雷が溜まり、投げ放つと竜ですら焼き尽くす一撃必殺の槍となる。強敵と対峙したとき使うがよい」
「はっ!」
短めに返事して下がった。
「三番の旗を持った者、前に」
五名の中で一番体格のイイ男だな。ゾウでも吹き飛ばせそうだ。
「高らかに名を告げろ!」
「我はガオウ。バンバドアの生まれ。ババードの長なり!」
長? なんか民族の集まりって感じっぽいな。纏めるの大変そうだわ。
「勇者ガオウ。当たりを引いたな。オレの最高傑作、黄金の鎧、サジタリウスを与える」
聖衣と書いてク○スと読ませるアレなヤツだ。デザインはオレオリジナルだけど。
金色に輝く箱をガオウの前に出す。
「サジタリウス装着と叫んでみろ」
「サジタリウス装着!」
箱が開き、黄金色の鎧が現れてガオウに装着される。
これ、カーチェ用に作ったのだが、派手すぎると断られたものなんだよな。カッコイイのに……。
弓と胸当ては白銀鋼を使っているが、他は結界で創ったもの。なので、ガオウの体に合わせてデザインを変えました。
「近接、遠距離に対応したものだ。派手に暴れろ」
「はっ! サジタリウスの名に恥じぬ戦いをします!」
サジタリウスを纏ったまま下がった。ちょっと眩しいです。
「四番の旗を持った者、前に」
茶色い毛をした、なにかカミソリのような目をした男だな。なんか、剣客さんに似てんな。
「高らかに名を告げろ!」
「ラドリー」
こいつも短めかい! ってか、高らかにって言ってんだからもっと声を張れよ!
「勇者ラドリーに斬剣、月読を与える」
ラドリーの体格に合わせて月読をデカくする。
「折れず曲がらず砕けぬを極めたものだ。極めたら竜の鱗すら斬れる。それは妹のサプルがそれを証明した。極めよ」
うちのスーパーガールが最強すぎる。
「はっ。必ずや」
そう静かに、だけど強い決意を感じさせる目をして下がった。
「五番の旗を持った者、前に」
上半身が黒く、下半身は灰色と言う珍しい毛色の……女? が前に来た。
「高らかに名を告げろ!」
「わたしはミザーニ。マダルの生まれ。ダイドの娘です」
やはり女か。胸が──ゲフンゲフン。なんでもございません。
「勇者ミザーニに魔闘衣、百式を与える」
盾ではなく、ネックレスを渡す。
「マジカルチェンジで魔闘衣を纏える。百式は所謂強化服だ。ギア1からギア5まである。ギア1から力を確かめろ。防御力はサジタリウスよりは劣るが、衝撃吸収は百式が上だ。百式に合った戦いを極めろ」
これはダリエラ(赤き迅雷の獣人だよ。覚えてる?)に創ったものだが、元々バカ力なので不採用になったのだ。
「はい! 極めてみせます!」
マジカルチェンジはしないで下がった。
「勇者たちに栄光あれ! さあ、万雷の拍手で勇者たちを讃えるがよい!」
闘技場が爆発したように歓声が上がり、勇者たちを讃える拍手が鳴り響いた。
オレの仕事、終わり。とホッとしたところで思い出した。バルナドがいないことに。ど、どうした!?




