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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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1262/1852

1262 巌窟王

 肉じゃ肉じゃ肉祭りじゃー!


 と、叫びたいくらい一本角の猪(死体)が山積みである。


「種の根絶やしですか?」


 違うと言えないこの惨状。動物保護団体に見られたら逆にこちらが根絶やしにされそうである。


「まあ、自然の回復力に期待するさ」


 さすがに大陸中の一本角の猪を狩って来たわけじゃなかろうし、猪なら繁殖力は高いはず。ほっといても勝手に増えるさ。


「さて。どうするかな?」


 オレの予定では五十頭くらいで、メイドさんズで解体しようと思ってたんだが、軽く見て三百頭はあるだろう数を解体するのは無茶であろうよ。


「しゃーない。ジャッド村に頼むか」


 解体や燻製作業を手伝ってもらおう。村には燻製小屋があった。ってことはその技術があるってことなんだ。


 ……とは言え、この湿気では収納箱か収納壷を創らんとダメだよな~……。


 地球と同じくこの世界、北半球が冬のときは南半球は夏っぽい。まあ、細かくはわからんが、燻製にしたところで長期保存するには魔法的処置をしないとダメだろうよ。


「保存法もあるところにはあるんですけど、ジャッド村にはありませんでしたね」


「まあ、命に溢れたところだからな。そう保存しなくてもイイんだろうよ」


 それはそれで大変だろうが、そこで生きる者にはそれが当たり前。環境に合わせて生きるしかねーか。


「ミタさん。場所をジャッド村に移す。メイドさんズに猪を持たせて村のもんに解体させてくれ」


「畏まりました」


 ミタさんに任せた。オレはシープリット族に報奨を渡さんといかんのでな。


「そんで、一番デカいのを狩ったのは誰だい?」


 完全無欠にシープリット族任せ。誇り高そうだし、誤魔化しはそんだろうと思ってルールも決めませんでした。


「おれです!」


 と、副司令官と同じくらいガタイのイイのが腕を上げた。


「名前は?」


 ガタイが副司令官と被る。毛の色も同じだし。


「ルダールです!」


「じゃあ、こっちに」


 なんか誇らしくこちらへと向かって来る。ってか、デカいな。踏み潰されそうだわ。


 土魔法でルダールと同じ目線まで盛り上げる。


「シープリット族の勇者、ルダールにハルバードを渡す」


 最初からノープランなのでなんの用意もしてないので、無限鞄からハルバードを出してルダールに渡した。


「ベー様。これに名前はあるんですか?」


 名前? ネタ武器だからつけてねーわ。


「ルダールに渡したものだ、好きに決めな」


 自分の好みでつけろや。


「ベー様に命名してもらえる名誉をお願いします!」


 オレが名付けてどんな名誉があるかわからんが、それを否定するのも野暮。つけて欲しいと言うなら叶えてやるまで。そこまで手間でもないしな。


「じゃあ、巌窟王と命名する」


 特に意味はなし。響きがイイと思ったまでです。


「……ガンクツオー……」


 やはり漢字の発音は難しいか。まあ、呼びやすいように呼べばイイさ。


「どんな意味があるんですか?」


「その昔、無実の罪で投獄され、不屈の精神で耐え抜き、王まで登り詰めた男につけられた名だ」


 即席のウソです。巌窟王とはなんら関係ありません。


「プロージと叫んで巌窟王を掲げてみな」


「プロージ!」


 なんの躊躇いもなくルダールが巌窟王を高々と掲げた──瞬間、黄金の旗がはためいた。


 はためく旗にはシープリット族が駆ける姿が描かれている。


 最初は獅子だったが、それじゃ不味いと思ってシープリット族に変えたのだ。


「それをどんな意味にするかはルダールが決めな」


 そこまでは面倒見切れんわ。勝手にやれ、だ。


 んじゃ、これにて終了と土魔法で盛り上がりを戻し、ジャッド村へ──。


「──ベー様!」


 と思ったら、副司令官さんが現れた。三十人の部下を連れて。あ、そう言やいなかったね。どこいってたの?


「ズルいです! 我々を除け者にするなんて!」


 いや、そう言われても知らんがな。お前らがなにしてるか知らねーんだからよ。


「別に武器が欲しいならカイナーズホームで買えよ。巌窟王よりスゲーの売ってんだろうが」


 巌窟王は見た目重視のネタ武器だ。まあ、結界を纏わせてるから並みの武器より強力だとは思うが、魔剣や魔槍のような機能はねーぞ。


「ベー様から賜るから意味があるんです!」


 どんな意味だよ? 村人から賜ってもありがみないだろうが。


 なんて説得するのもメンドクセー。


「なら、ジャッド村まで走れ。五位まで賞品を出してやるからよ」


 ここからジャッド村まで何キロあるかわからんが、シープリット族の脚でもかなり大変なはず。熱血バカ野郎どもにはちょうどイイだろうよ。


「あ、途中で食べれる果物を見つけて持って来たら特別賞を出してやるよ」


  肉の他にも果物があると助かるし、末端のヤツにもチャンスを与えてやればハリキリもすんだろう。


「ルダールは審判な。さすがに二つもらったら顰蹙もんだからよ」


「それは残念です」


 とは言いつつも納得はしてくれた。


「明日の日の出とともにスタートだ。ルダール。頼むぞ」


 そこまでは面倒見切れんわ。


「お任せを」


 完全無欠に任せて猪を無限鞄に放り込み、転移バッチを発動。ジャッド村へと転移した。

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