1232 飼い主に似る
「淡水人魚を雇い入れて部隊でも設立しろ。オレから公爵どのに話を通してバイブラストにある湖を借りる。そこで訓練すればイイ」
ダーティーさんたちの淡水人魚と仲良くするためにも武力はあったほうがイイし、淡水人魚に働く場を与えてもやれる。
「お、それおもしろそう!」
おもろしくねーよ。必死に生きてる淡水人魚に殴られるぞ。
「魔大陸にも派遣したほうがよさそうですね。大河が二つありますから」
へ~。魔大陸には大河があるんだ。初めて知ったよ。
「人魚の武器か。フフ。なにがいいんだろう?」
ほんと、このミリタリー脳にも困ったもんだ。まずは生活を考えろよ。
「わかりました。カイナーズで仕切ります」
「頼むよ。食い物で懐柔すれば反抗はせんと思うしな」
人魚にも三大欲はある。腹を満たしてやれば言うことを聞くだろうよ。
「ミチコさん。聞いての通りだ。カイナーズがここを守る。礼はカイナーズにやってくれ」
「感謝します」
丸投げミッションコンプリート。お疲れさまでした!
「あ、トカゲさんたちとも上手くやってくれや。あっちも食料をやって国に取りこんじまえ」
ジャウラガル族も纏めて引き込むのがイイだろう。環境丸ごととなるとジャウラガル族は必要だし、戦いとなったらメンドクセーからな。
「あの種族もですか?」
「カイナーズだけでこの湖をカバーするのは大変だろうし、環境に適した進化したジャウラガル族のほうが守りやすいだろう。自然は金を出したからって守れるもんじゃねーからな」
自然保護教(狂か?)じゃないが、自然の大切さは知っている。なら、汚される前に支配したらイイ。こっち有利で進められるんだからな。
「カイナ様とべー様がいることを幸いと思います」
深々と頭を下げる青鬼ウーマンさん。そんなもんいらんと言おうとして止めた。感謝するのは青鬼ウーマンさんの自由だからな。
「オレはサプルとレニスのところにいくよ」
これからはカイナーズの管轄。イイようにやっちゃってくださいな。
「あ、おれも!」
「お前、いつかこのねーさんに刺されるぞ」
「なら、べーはとっくにフィアラに刺されてるよ」
「よし。二人でいこうぜ!」
刺されるときは一緒だ、親友!
「……類は友を呼ぶ、ですね……」
さあ友よ、どこまでも一緒だぜ!
「ちょっ、おれを巻き込まないでよ! おれ、べーみたいに丸投げしないよ!」
「うるせー! 死なばもろともじゃー! 一緒に刺されろや!」
丈夫で言えばお前が勝ってんだ、オレの盾になりやがれ!
「刺されるならべー一人で刺されてよ! おれ、関係ないじゃん!」
なんて親友同士の和気藹々。皆さまの視線が痛いが、死なばもろとも。二人なら痛みも和らぐってものさ!
「まあ、がんばってください。では──」
颯爽と去っていく青鬼ウーマン。ステキー。
「もー! カホに嫌われたらどうしてくれんのさ!」
「大丈夫。そんなことでお前を捨てるタイプじゃねーだろう」
「そ、そうだけど、おれだってカイナーズでの立場を築くのに苦労してんだからね」
まったく同意できる要素が思いつかねーが、カイナーズの内部なんて知らねーのだから余計なことは言わないでおく。
「まあ、自由を認めてくれる心優しき淑女たちに応えるべくサプルたちのとこいくぞ」
「……もしかして、レニスのところにいきやすくしてくれたの……?」
「別に。そんなつもりはねーよ」
まったく、変に勘が鋭いヤツだよ。んなこと察しなくてイイのに。
「そっ。そう言うことにしとくよ」
苦笑するカイナに肩を竦めてみせた。照れたら余計に恥ずかしくなるからな。
「いくぞ」
わざと素っ気なく言い放ち、フュワール・レワロをくっつけたイルカ──ウルグのところへ向かった。
「ってか、自由に泳ぎ回ってんな!」
クソ! 捕まんねーよ!
結界を施してあるから居場所はわかるんだが、一ヵ所にいてくれねーから捕まえられねーよ!
「飼い主に似る、だね」
うっさいよ! 飼ってもねーし、似てもいねーよ! つーか、お前も手伝え! 孫に会えねーんだぞ!
「はいはい。あらよっと」
で、ウルグを魔力であっさり捕まえ、手元へと引きよせた。
「……お前、結構便利なのな……」
魔力の便利さを今知ったよ。
「べーを捕まえるのは大変だけどね」
さあ、フュワール・レワロへとレッツらゴー!
カイナの非難の目から逃れてフュワール・レワロの天辺へと手を置き、中へと入った。




