1231 青鬼ウーマンミカホシ
「……つまり、ここをカイナーズで占拠しろってこと?」
「お前の表現、暴力的だな。もっと平和的な表現で表せよ」
言葉はイイよう物はイイようって言葉を知らんのか?
「同じことじゃん」
うん。こいつは絶対政治家になっちゃダメなタイプだ。いや、やれと言ってもならないだろうけどよ……。
「……お前の参謀、ちょっと呼んで来い。そいつと話すから……」
こいつは実務にも不向きな男だ。エリナと同じで君臨すれど統治せず、なタイプだ。
「わ、わかった。ミカホシを呼んで来て」
カイナーズの一人に指示を出した。
「すぐ来ると思うよ。一応、ここまで連れて来たからさ」
「ミカホシって、あの青鬼族の女か?」
「うん。おれの代理でカイナーズの情報戦略局の局長を任せてあるよ。怒らせたら怖いから穏便に、ね」
ハルメランであった氷のように冷たい目をした青鬼ウーマンさんか。確かに怒らせたらダメなタイプだったな。
「しかし、二度目になると新鮮味もないね」
「まあ、岩さんと衝撃的出会いをしたからな」
オレとしては出会ったあとのことが衝撃だったけどな。魔大陸に連れていかれたりマスドライバーだったり爆発だったりな!
「宇宙、か。おれ、あんまりSFとか詳しくないんだよね。宇宙の戦士は好きだったけど」
「オレだって詳しくねーよ。宇宙戦艦は観てたけどよ」
ジュール・ヴェルヌの作品は読んだことあるが、SF的なもんは読んだことはなかった。
「この宇宙にはこれだけの技術を持ったミチコさんたちでも逃げる存在がいる」
「バグズだったら燃える!」
バグズって、虫、だっけ? 虫と戦いたいのか? だったら魔大陸でやって来いよ。いや、暴虐さんと魔王ちゃんが燃やしたっけ。つーか、この世界の生き物のほうが余程強いと思うのはオレだけか?
「うむ。腐女さんに出してもらおうかな?」
腐女ってエリナのことだよな? お前らどんな関係なんだよ? 気にはなるけど、かかわり合いたくねーから訊かないけど!
カイナが妄想に耽っている間に青鬼ウーマンなミカホシさんとやらがやって来た。息を切らして。ご苦労さまです。
「……お、お待たせしました……」
「まあ、これを飲みな」
と、エクルセプルを渡した。栄養剤も兼ねたものだから疲労も回復するぜ。
「ありがとうございます」
エクルセプルを飲み、完全回復した青鬼ウーマンさん。冷たい表情がステキです。
「それで、どのようなご用意でしょうか?」
話が早いウーマンってオレ好きよ。この方とは仲良くできそうだ。あくまでも協力者としてな。
……イイかい、皆。こう言うタイプは身内にいたら絶対、上の手綱をつかむタイプだから協力者って位置にいさせるんだせ……。
「ここを国にしてカイナーズに守ってもらいたい」
「カイナーズに利点はあるのですか?」
「将来、カイナのためになるし、魔族に仕事を与えられる。なにより淡水人魚を仲間にできる」
オレの上げた利点を考える青鬼ウーマンさん。
鬼族は人と同じ寿命だと聞いた。まあ、身体能力は人の数倍上だが、中身はそう違いはないはず。
前世のように教育を受けたわけでもないのに、利点を考える思考力は生まれ持った才能だろう。知性的で理性的。冷徹で現実主義者。カイナがカイナーズを仕切れてるのはこのウーマンのお陰なんだろうな……。
「カイナ様のためになるのは承諾しますし、魔族に仕事を与えられるのは助かります。ですが、人魚を仲間にする利点がわかりません。具体的にはどう利点なのですか?」
「人魚は水を操れる。ってことは海水を真水に変えれることを意味する。そうなれば海がある限り、日照り問題に苦しむことはねーさ」
水がある、いや、飲めるありがたさを知っていたら淡水人魚の存在がどれほどのものかわかるはずだ。
「ゼルフィング家ではもう雇っているぜ。海の人魚も淡水人魚も、な」
ニヤリと笑ってみせる。
「……本当にべー様は恐ろしい方です……」
無限鞄から手鏡出して青鬼ウーマンに向けたい衝動に出るが、もしやったらオレは死ぬ。物理的にも精神的にも。オレにはわかる……。
「未来をつかもうとするのは大事だが、なにもかも自分一人で背負うもんじゃねーぜ」
この青鬼ウーマンから気負いを感じる。あれもこれもとつかもうとし、なに一つ捨てれないで沈みそうなそんな感じをな。
「任せるものは任せるってことを覚えたほうがイイぜ」
「べー様は丸投げしすぎですけど」
幽霊さん。大事なお話してるんだからシャラップです。
「カイナーズも他種族多民族の集まりだ。種族差による苦労を知っているはずだ。なら、種族に合わせた仕事場を用意したほうがイイ。ここなら野蛮人には住みやすいだろう?」
魔族だって誰も彼も環境や状況について来れるヤツばかりじゃない。古いヤツもいるはずだ。
ここなら野蛮人の法も通用するはず。そんなヤツらに任せたらイイさ。
「……わかりました。カイナーズで仕切らせていただきます……」
「ああ。オレも力を貸すよ」
おそらく、ラーシュの国とも関係あるはず。争わないようにしなくちゃな。




