1051 発現&発見
「ベー様。波が荒く接岸できません」
海底の岩が原因か、海流が原因かはわからないが、ミタさんがそう言うのならそうなのだろう。
まあ、島の概観からここに船をつける必要はないんだが、せっかく魔力を得たことだし、港造りに挑戦してみるか。
魔力の指輪と錬金の指輪を嵌める。
自動調整でぴったりと嵌まるが、二つはちょっと違和感があるな。右と左にわけるか。
魔力の概要は右手の中指。錬金の指輪は左手の中指にした。
「さて。ちょっと試してみるか」
錬金の指輪は何度も使ったが、満タンの魔力の指輪は使ったことはない。はてさて、どんな威力かね?
「ミタさん。ちょっと待機しててな」
空飛ぶ結界を創り出して海へと出る。
海面から少し上を飛んでいるので波の影響はないものの、波が荒いので波しぶきがかかる。
「ベー。ちょっと結界張ってよ」
いつの間にかパイル○ーオンしていたメルヘンが抗議の声を上げた。ったく、我が儘なやっちゃ。
まあ、オレも波しぶきがかかるのは嫌なので、結界を張ってかからないようにする。
「で、なにするの?」
「波を殺す」
崖まで飛ばし、錬金の指輪を発動。岩のテトラポットを創った。
「そんなんで波を殺せるの?」
「う、うぅん……」
テトラポットのサイズなんて知らんので、テキトーにしたが、どう見ても十トンはない。これでは百個創っても波なんて殺せないだろうよ。
「土魔法のほうが使い勝手がイイな、これ」
つーか、魔力があっても波を殺す魔術なんて知らねーよ。テトラポットが精々だわ。
だが、せっかくの錬金の指輪と魔力の指輪だ、使わないのももったいない。なにかイイ方法はないもんかね?
「大きくすればいいんじゃない」
あ、なるほど。プリッつあんにしてはナイスな提案をするじゃねーか。レッツ、採用!
「プリッつあん、放り投げるからデカくしてくれ。最大で」
「ゆっくり投げてよ」
いつもならそんな泥臭いことイヤ! とか言いそうなのに今日は素直なこと。まあ、変なこと言ってへそを曲げられるのも面倒なのでお口にチャックだ。
三トンくらいのテトラポットを錬金の指輪で創る。
「プリッつあん、いくぞ」
「うん」
ゆっくりと、ふわんと空に放り投げた。
これと言ったかけ声もなくテトラポットが三十メートルほどにデカくなり、大量の水しぶき……ってか、津波を起こして海の中へと消えていった。
「……結構深いんだな……」
まあ、よくあることと、テトラポットを創っては巨大化させて海に沈めるを繰り返す。
もう二百は沈めたが、プリッつあんが文句を言うことはない。飽きないの?
「わたしも自分の能力を使いこなしたいしね」
「デカくしたり小さくしたりするだけだろう?」
他になにかあるのか?
「それがね、硬くしたり柔らかくしたりすることもできるのがわかったのよ」
まさかの能力発現!? あなた、本当にメルヘン? ファンタジーじゃなく異能力バトルな世界の住人なんじゃないの!?
「なんでも硬くしたり柔らかくしたりできるのか?」
「岩とかなら簡単かな? 木とかもできたよ」
と言うので、試しに岩を柔らかくしてもらうと、粘土かと思うくらい柔らかくなっていた。マジか!?
「……ま、まあ、スゴいとは思うが、この力、必要か……?」
いやまあ、力は使い様だから無駄とは言わないが、硬くしたり柔らかくしたり、これ、どんな場面で役に立つんだろう……。
「知らない。ベーが考えてよ」
自分の能力なんだから自分で考えろよ。まだ、伸縮能力も使いこなせてないんだからさ~。
「まあ、それは後々。今はテトラポットを創るほうが先だ」
別に急を要する案件ではねー。思い出したらでイイわ。
気持ちを切り替えてテトラポットを創り、プリッつあんにデカくしてもらって海へと沈める。
三百回と繰り返していると、なんか崖が崩れた。
ちゃんと上から平均に使い、港にしようと考えてやってたんだがな。地盤が緩かったのか?
土煙が止むと、崩れたところが空洞になっているのがわかった。
「鍾乳洞か? それとも海水に侵食されたのかな?」
これも珍しいことではないので、構わすテトラポットを創っていたら、なんか煉瓦っぽいものが出てきた。
「これは、怪物が出てくるパターンね」
そんなパターンをどこで覚えてきた! と突っ込みたいが、人工物なら怪物はないだろう。
毒を食らわば皿まで。もうなんでもこいと、空洞の中へと入った。




