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村人転生~最強のスローライフ  作者: タカハシあん
十歳スタート

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1037/1852

1037 ラスボスな村人

 食いに食い、飲みに飲んだカーチェが眠りについた。


「ミタさん。運んでやって」


 カーチェを結界で包み込み、宙に浮かべる。


「クルーザーの部屋で構いませんか?」


「空いてるなら構わんよ」


 そうだな。酒臭いままタケルの側に置くのは顰蹙(ひんしゅく)ものか。そこでよろしこ。


 運ばれて行かれるカーチェを見送っていると、赤鬼のメイドさんが現れ、テーブルを片付けてくれた。


「あんがとさん」


「なにかお持ちしますか?」


 なにも食わなかったから訊いてきたのだろう。つーか、どっから見てるの!?


「いらない。あとは勝手にするから休んでイイよ」


 まあ、言ったところで守るとは思えんが、こちらから言わなければ出てくることもなかろう。


「はい。休ませていただきます」


 一礼して去って行った。


 出したテーブルと椅子を片付け、また炬燵や座椅子を出す。あと、向かい側に座椅子も用意する。


 炬燵に浸かり、潜水艦でなんかやってるフミさんたちを眺める。


「……直っている感じはしねーな……」


 タケルと潜水艦は繋がっている。それがどんなものかは知らないが、どちらも存在しているのならどちらも死んではいないってことだ。


 と言っても、今は供給ストップでもしてるのだろう。でなければ空腹で目覚めてるだろうからな。


 ぼんやりながめていたら、突然視界が遮られた。なによ?


 視界を広げると、パイロットスーツ姿のカイナがいた。


「ご苦労さん。終わったのかい?」


 無限鞄から各種酒やグラス、氷を出す。勝手に飲んでくれ。


「ううん。まだまだだよ。とてもじゃないけど、おれたちの手には負えない感じさ」


 グラスに氷を入れ、焼酎を選んで注いだ。


「まあ、タケルの潜水艦をああまでする未来的戦艦だからな」


「あれのこと知ってるの?」


「知らん。けど、間違いなく転生者がかかわっているのは確かだろうな。ただ、あの戦い方を見てると、戦い慣れた感じがしたな」


 どこがどうとは言えないが、すぐにオレを標的に変えた。なんの情報もなく、単体でくるオレにだ。


「アレを操ってたのは間違いなく勘が鋭く、状況判断もイイ。負けるとわかったら逃げることを躊躇わない。そんなことができる転生者はいな……なんだよ?」


 なにか呆れた顔をしてオレを指差すカイナ。意味わからんことすんな。


「あ、いや、ベーの言いたいことはわかるよ。おれも戦い慣れたヤツだなって思ったから。ただ、あれは反則。おれは戦いでは前世での武器だけと決めてるのに、思わず使っちゃうばかりか防がれた。あれ、おれの魔力に匹敵するものだ」


 それはまた、最悪だな。カイナみたいなのがいるとか人類滅亡へのカウントダウンか?


「……あまり、心配してない顔だね……」


「まあ、対抗できる力があるんだから、そう悲観する必要もなかろう」


 バイブラストのフュワール・レワロで知った天地崩壊とか、この世界はいろいろ危機的な状況に見舞われている。それを知れば今回のことなど局地的災害って感じだろうよ。


「ベーならどう戦うの?」


「陸に降りたところを後ろからぶん殴るな」


 あの未来的戦艦内で自給自足できようが、あれをやっていたのは人か、人の考えを持った者だ。なら、必ず外に出て来る。ならば、そのときに倒せばイイ。


「おれみたいのだったら?」


「人外五人組を唆して騙し討ちするかな?」


 そうするのは難しいだろうが、カイナを倒すのはそんなに難しいことじゃない。こいつが人の心を失わない限りはな。


「……ベーを敵にしないように気をつけるよ……」


「別に敵になっても構わんぜ。なんなら世界征服とかやっちゃえよ。オレは従順に、忠信に働くぜ」


 にっこり微笑んでやると、これってないくらいしかめっ面になるカイナ。


「ベー、お前もか! って油断したところを後ろから刺されちゃうんでしょう。やだよ、そんな終わり方。ベーが裏に回ったらなにされるかわかんないもの」


「しないしない。そんなことしないよ。ただ、世界平和のためにがんばってもらうだけさ」


 寝る間も惜しんで、オレのために世界を平和にしてください。一緒にがんばられる仲間はオレが用意してやるからさ。


「殺されるほうがまだマシだよ! 絶対、過労死させられる!」


 チッ。根性のねー魔王だ。そこは死ぬ気で権力維持に務めやがれ。


「ベーが最悪のラスボスだよ」


 失敬な。オレは日の下で堂々と、心晴れやかに生きる村人だわ。


「まあ、オレたちがどう生きようがオレたちの勝手。お互い、好きなように生きればイイさ。すべてはタケルが目を覚ましてからだ」


 これはタケルの問題であり、オレたちが勝手に決めてイイことではねー。どうするかはタケルが決めることだ。


「タケルは起きるの?」


「起きなきゃぶん殴って起こすまでさ」


 仲間を置いて死ぬなんてこと、オレが許さねーよ。


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