1030 島の陰へ
確かにミタさんの言う通り、タケルの潜水艦は動いていた。
「機関は生きてんのか?」
潜水艦なので駆動音から生きてるかはわからないが、動いているってことは生きてるってことだろう。
クルーザーと潜水艦を結界で繋ぐ。
「ミタさん。中に入るぞ」
それで充分と、潜水艦に乗り込んだ。
前に搭乗員として登録したと言ってたので、構わず開いた穴から中へと入る──が、隔壁が閉じていて先に進めない。
しょうがないと一旦外に出て、艦橋へと向かった。
艦橋だった場所はビームで溶かされおり、中を覗くと誰もいなかった。
「でも、タケルたちに仕掛けた結界はこの下から感じるんだがな」
どう言うことだ?
「ベー様。もしかすると戦闘ブリッジにいるのではないのですか?」
戦闘ブリッジ? なんだいそれ?
「タケル様の船の構造はわかりませんが、造りからして通常航行時は見渡しのよい場所にあり、戦闘になれば装甲の厚い場所に移動させる場合があります」
このメイド、やっぱり生まれてくる時代間違えているだろう。ファンタジーの住人がなんで前世の記憶があるヤツより理解してんだよ! コールドスリープさせて千年後に目覚めさせたろか!
なんてこと思ったが、千年後の方々にご迷惑をかけないとも限らない。今この時に生まれたのなら今この時を生きてもらいましょう、だ。
「タケル! 開けれるんなら開けろ!」
と言って聞こえるかはわからんが、こんな未来的な構造、どうしてイイかわかんねーよ。
「ベー様。ドレミ様が先行したのだから中は大丈夫でしょう。それよりも、ここから離れたほうがよろしいかと思います。シーカイナーズの戦艦が一隻撃沈されました」
「死者は出てんのか?」
さすがに死ぬまで付き合う必要はねーぞ。
「一人も死んでません。カイナーズの兵士はカイナ様の御加護を得てますから」
まあ、カイナならやるか。実弾でサバゲーとかやっちゃうアホだから……。
「なるべくこの海域から抜けるべきです」
未来的戦艦とカイナーズの戦いを見る。
距離的に結構離れてはいるが、あのビームの威力ではまだ至近だ。せめて星の丸みに隠れなければ安心できないだろう。
「つーか、あのビーム、曲がったりしねーだろうな?」
ファンタジーの住人は余裕で曲げるから。
「わかりませんが、ミサイルは確実に届きます」
そうだな。大陸弾道弾とか持ってても不思議じゃなさそうだし。
「クルーザーで引っ張るか」
「それはさすがに無理があるのではありませんか?」
まあ、クルーザーは三十メートルに対して潜水艦は百メートル近くある。押すならまだしも引っ張るのは無理だと思うのは無理からぬこと。
だが、我が結界術にかかれば問題ナッシング。
「大丈夫。潜水艦の前にクルーザーをつけてくれ」
小さくする手もあるが、今は隙を未来的戦艦に見られたくない。小さくしている間に狙われたら阻止する自信はねー。攻撃力を半減させたとは言え、あのビームは脅威過ぎるからな。
「畏まりました。クルーザーを前に!」
船尾に移動し、クルーザーが潜水艦の前につくまで警戒する。
船はまだ激しく、ビームも乱舞している。ったく、どこまで無尽蔵なんだよ。
クルーザーが潜水艦の前につき、戦闘を見ながら結界で繋ぎ、クルーザーの両脇にスクリューを創り出す。
「オレは警戒するからクルーザーの操縦を任せる。島があったらその陰に隠れろ」
諸島と言うからには島はあるはずだ。せめてその陰に隠れないと安心できんわ。
「哨戒機より近くに島があると報告がありました。その島に向かいます」
「任せる」
クルーザーの船尾から潜水艦へと移動して警戒に当たった。




