1029 援軍到着
疲れたオレは、海面に漂いながら未来的戦艦と戦闘機群を眺めていた。
「前世だったら第三次世界大戦だな」
カイナが率いているかわからんが、転移結界門から現れた戦闘機は、約二百機。なんて名前か知らんけど、どれも同じ機種だった。
約二百機が四つに分かれ、下半身不随な未来的戦艦を攻撃をしている。
数の多さにやられるんじゃないかと心配したが、指揮官が優秀なのか、パイロットが優秀なのか、未来的戦艦からの攻撃を上手く避けながらミサイルをぶち込んでいた。
まあ、未来的戦艦の装甲が厚いようで、致命傷は与えてないようだが、苛立たせているのはわかった。
「上手くやってはいるが決定打に欠けてんな」
ビームを射っているところからして、攻撃差や技術差があるのはしょうがねーか。
巨大化させたアネムも鬱陶しい蚊のごとく未来的戦艦に銃弾をぶち込んではいるが、やはり効いている様子はない。まったく、どんだけだよ。
「しかし、未来的戦艦のミサイルおかしくね?」
オレが来てからでも何百発と射っている。それが今も止まらない。無限に湧き出る仕様なのか?
「あ、射ち落とされた」
下半身不随な状態ながらもミサイルを五十発近く一斉に発射させている。それだけ射ってれば当たるのが当然。今まで射ち落とされなかったのが奇跡だわな。
「……飛ばすのも上手ければ逃げるのも上手いこと……」
下手に避けないで、わざと当たるように仕向けて脱出してる感じだった。
それが作戦なのか、今度は故意に戦闘機がミサイルに当たって行った。どう言うことだ?
なんだろうと考えながら見てると、転移結界門からプリッシュ号改が現れた。
いや、遊覧船でなに来ちゃってんの! 的にしかならんでしょう! と思ったが、なにか動きが違った。
転移結界門を出たらすぐに降下し始め、海面ギリギリのところを飛んでいる。なんや?
と突然、真っ黒の戦艦が現れた。
唖然と見詰めていたらまた、真っ黒の戦艦が──三隻も。いや、駆逐艦っぽいのやら空母まで現れた。
「…………」
もう言葉も出てこねー。マジで第三次世界大戦が勃発したかのようである。
ファンタジーの海とは思えない海戦に、なんかもうどうでもよくなって来た。
未来的戦艦はカイナに丸投げ。オレはタケルのところに向かいますか。
空飛ぶ結界をタケルの潜水艦に向けて飛ばした。
途中、照明弾が上がり、そちらを向けばクルーザーがこちらに向かって来るのが見えた。
「ベー様!」
見事な着水を決めて、ピッタリとオレの横につける万能メイド。生きていてなによりだ。
「おう。ご苦労さんな」
クルーザーに上がり、轟牙を脱いで無限鞄へと仕舞った。
「ご無事でなよりです」
「ワリーな、危ないことさせてよ」
オレの専属とは言え、メイドにさせることではなかったな。いや、いろいろさせちゃってるけどさ。
「謝罪など不要です。あたしは、ベー様のお役に立つためにいるんですから」
メンドクセーとは思うが、いてくれて助かってんだから無用な言葉はミタさんを傷つけるだけ。
「ありがと。助かったよ」
と、感謝しておこう。それがミタさんに報いることだからな。
「はい!」
なんとも嬉しそうな顔をする。嬉しさのツボがよーわからん。
「タケルのところに頼むわ」
「はい。嵐山へ!」
と、誰かに指示を出した。
え、誰に? と思ったが、そう言や、ミタさんの他にメイドが三人いたことを思い出した。
「ミタさんや他のメイドには危険手当をつけておいてくれ。なんならカイナーズホームで買い物でもイイぞ。三百万まで許すからよ」
命の値段が三百万では安いかも知れんが、一千万とか出しても使い道がないだろう。逆に三百万をどう使うか興味があるわ。
「はい。ありがたくいただきます」
そうしてくれるとこちらも心が軽くなるよ。オレの都合で命を賭けさせたんだからよ。
操縦はメイドさんに任せ、オレは船首へと立つ。
「タケルの潜水艦、動いている様子がねーな?」
つーか、潜水艦なのに姿を現している時点でただ事ではねーか。
「いえ、微かに動いてます。戦場から離脱しようとしてるのでしょう」
万能メイドさんが言うのならそうなのだろうが、それでもただ事ではないのは変わりはねー。あの潜水艦、百キロほどスピード出せるし。
「このクルーザーのスピードってどのくらい?」
「最大三十五ノット、時速にしたら約五十五キロです」
万能メイドはノットまでわかるんだ。ミタさん、生まれて来る時代と場所を間違えたんじゃね? 世が世なら歴史に名前が刻まれてんぞ。
「五十五キロは遅いな。博士に百キロ出せる海上魔道船を造ってもらうか」
赤毛のねーちゃんにも用意しなくちゃならんしよ。
まあ、それは後で。今はタケルだ。
二十分くらいかけてやっとタケルの潜水艦に追いつき、その惨状がわかった。
「よく浮いてるもんだ」
左舷が完全になくなり、船体各所は穴だらけ。さすがアニメの産物。非常識なもんだわ……。




