1023 衣替え
ゴンドラを下げ、着陸態勢に入る。
「ベー。どこに降りるの?」
「水輝館の前で構わんだろう」
オレらは今、小人サイズ。プリッシュ号もそれに合わせてあるから、車二台分の長さくらい。ロータリーな感じだから余裕で降りられるはずだ。
「ダメなら湖のほうに降ろせばイイさ」
ここの持ち主はオレ。オレがイイと言うのだからイイのである。キャプテンプリッシュ、降りちゃいなさい。
「アイアイサー!」
まだキャプテンゴッコに飽きないのか、それとも責任感があるのかはわからないが、キャプテンの設定を忘れず、ちゃんとプリッシュ号を水輝館の前に着陸させた。
「プリッシュ号、水輝館に無事到~着~!」
ご満悦なキャプテンプリッシュ。何事なくてオレもご満悦だよ。
下船イベントはこれと言ってなく、伸縮トンネルを潜ってプリッシュ号から降りた。
「お帰りなさいませ」
と、多分、水輝館を任せているメイドさんたちに迎えられた。
「ただいま。婦人いる?」
「いえ。お出かけしております。御用でしたらお呼びしますが」
「いや、呼び出す必要はねーよ」
会う必要があるならオレの出会い運が黙ってねーさ。
「ゼルフィング商会の者はいるのかい?」
「全員、領都に移りました。ここですと不便とのことで」
まあ、バイブラストといろいろ調整しなくちゃならん。不便どころか問題しかねーか。
「わかった。オレは湖にいるから、なんかあったら呼んで」
今日はゆっくりする。マンダ○タイムの続きだ。
自分のペースで過ごしているつもりでいたが、マ○ダムタイムをする時間もなかった。出会い運も働かないならゆったりまったりするまでだ。
「ベー。どこにもいかないのならちょっと空を飛んで来るね」
飽きないキャプテンだ。好きにしな。
片手を挙げて了承し、外から湖へと向かった。
「……これと言った変化はなしか……」
あ、いや、遠くの高い山に雪が積もっていた。
気温も前より下がっており、ちらほらある広葉樹が色づいている。まさに初秋。いや、冬が始まる、って感じか。いつまでも眺めていたい季節だな。
「衣替えするか」
何月から夏服、何月から冬服なんて決まりどころか衣替えなんて概念は……あるか。まあ、季節に合わせるのら当たり前のこと。秋になっても腕捲りしているオレが変なのである。
またうちに戻るのもメンドクセーし、前回のを使うか。
成長期なもんで毎年トアラに作ってもらっている。だから今年も作ってくれているとは思うが、なんかトアラの元に行っちゃいけないとオレの勘が言っている。
勘がそう言うのなら従うまで。オレは誰よりもオレを信じる男だ!
ってまあ、別に自慢したいわけでも主張したわけでもねーが、今、いっちゃいけないのなら前からあるのを使うまで。幸い、プリッつあんの能力があるし、結界コーティングしているから新品同様。オレが気にしなければ問題ナッシング、だ。
「ミタさん。空いてる部屋ある?」
「ベー様の寝室があります」
え、オレの部屋なんてあったの!? って、ないほうがおかしいか。いや、あると思ってなかったオレの頭がおかしかったですねっ!
ミタさんの案内でオレの寝室だと言う部屋に到着。って、どこのスイートルームだよ! オレは王さまか!
なんて今さらなこと言ってもしかたがないので、さっさと着替えることにする。
いつもの服を脱いでまっぱとなる。
ちなみに誰もいませんからね。さすがのオレもミタさんの前でまっぱになる勇気はありません。プリッつあんの前ではなれるけど。
無限鞄からカイナーズホームで買ったボクサーパンツに無地のTシャツ。厚手のズボンと厚手のシャツを今の体格に合わせて着る。
ベストの裏は秘密のポケット、なので着用。で、冬用のジャケットを羽織る。
「冬服への衣替え、完了!」
誰に宣言してんだよ! って突っ込みはノーサンキュー。たんに心も冬に向けて切り替えたまでさ。




