1021 アイアイサー
なんてことやってみたが、それ以上のイベントはなし。
プリッつあんも考えてないようで、ただニコニコするだけ。いや、仕切れよ!
「そんで、どうすんだ?」
「なにが?」
あ、うん、考えてないってことね。了解了解。
「ミタさん。決まった三十人を順番に乗船させてくれ。プリッつあん、居住区に上がらせるが構わんだろう?」
嫌だと言われたらキャプテン命令で乗船拒否にしてやるよ。そのときは、オレ関係ねーで逃げさせてもらいます。
「いいわよ。まだなにもしてないから」
あれ? クリエイト・レワロでなんかしてなかったっけ? 勘違いか?
「了解。ミタさん、よろしく」
まあ、オレも人任せですが、ちゃんと道筋は示してある。丸投げ道にも決まりがあるんです。
「畏まりました」
はい。お任せします。
「プリッつあん。プリッシュ号に機能を一つ追加するな」
「なにを追加するの!」
なんか嬉しそうにするプリッつあん。君の趣味嗜好がマジわかりません。
「ワープ機能だ」
「ワープ?」
首を傾げるプリッつあん。それは知らないんだ。君に情報を発信してるの誰よ?
「まあ、簡単に言えばシュンパネによる転移だよ」
ほれと、シュンパネが十枚入ったそれっぽいレバーを渡した。
「操舵輪を握ったまま転移できるように足で発動するようにしてあるからよ」
操舵輪を握り、どこが手頃(足なのにな)な場所を探る。
「ん~。やり難いな」
レバーにしたの失敗。ハイ、ボツ決~定~。
中のシュンパネを取り出してレバーはポイ。キャッチしたミタさんに処分を任せます。
う~ん。ギミックがダメならディスチャーか?
「どうなったの?」
プリッつあんの格好を見て、ふと思いついた。
「プリッつあん、その帽子貸せ」
疑問に首を傾げるも、素直に海賊帽子を取って渡して来た。
受け取り、海賊帽子をいろんな角度から見て、自分の感性のままシュンパネを二枚飾りつけた。
「どやろ?」
お洒落メルヘンに尋ねる。
「ベーにしてはいいんじゃない。シュンパネは地味だけど」
「結界で色つけたらイイさ。小さくしてイヤリングにすんのもイイんじゃね」
「そうなるとペンダントにするのもいいわね」
お洒落魂に火がついたようで、結界でペンダントを創り始めた。オレの能力、使えるの最近なのによくそこまで使えるものだ。器用なメルヘン。
「ベー様。人員が決まったので乗船させます」
「あいよ」
そっちを見ずに返事して、無限鞄から金塊と銀塊、鉄とガラスを出して錬金。羅針盤の様に形作り、右側に設置する。使い難いならまた位置を変えたらイイさ。
あとは結界を組み込めば完成です。
「ベー様。なにをなさってるんですか?」
その声に振り向けば、フミさん以下、沢山の男女が壁となっていた。キモいわ!
「ゴンドラは十人までだ! 残りは上に行け!」
広くは作ってるが、三十人は多いわ! 満員電車か!
「フミさん、十秒以内に十人決めろ! できなきゃ叩き出すぞ!」
「──はい! わかりました!」
フミさんの厳しい選択により七秒で十人が決まりました。
……もしかして、フミさんって怖いおねえさまなの……?
ま、まあ、おっかない想像はクルッと纏めて遠くへポイ。誰か適切な処分をお願いします。
「プリッつあん。発進準備だ!」
なんかクルクル舞ってるキャプテンプリッシュに声をかけた。なにやってんのよ?
「アイアイサー!」
だからそれは……まっ、イイか。本人が気に入ってんならよ。
「で、発進準備ってなにするの?」
うん。オレもノリで言ったからわかりませんわ。
「揺れはないと思うが、ゴンドラ部に乗る者はセーフティ……安全棒につかまれ。居住区にいるヤツもだ!」
居住区からゴンドラ部を覗くヤツらに指示を出した。
オレもプリッつあんの背後にあるセーフティバーをつかむ。
「キャプテンプリッシュ。発進準備完了。いつでもどうぞ」
やる気満々なプリッつあんに水をさすのもなんだと、そのやる気に乗ってやる。
「アイアイサー! プリッシュ号、抜錨!」
アンカーなどないけど、浮遊石を包んでいた結界が解かれ、プリッシュ号が浮かび上がった。
両脇の回転翼も回り出し、徐々に空へと上がっていく。
「視界オールクリア。発進どうぞ」
「アイアイサー。プリッシュ号、発進!」
ってなノリノリな感じでプリッシュ号が発進しましたとさ。やれやれ……。




