表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛し子な女子高生(リメイク中)  作者: 沽雨ぴえろ
第2章  トリップ編
9/45

閑話*四人とちな

 ホルンが開いて、中からチナが出てき……落ちて……放り出されてきた。痛そうだな。ごづってしたぞ、ごづって!ま、大丈夫か。コイツ何気丈夫だし!

 ……そう言えば、今回は『遅かった』…いや、『早い』な…。




「──あ、きたきた。早かったね」


「……おい、そんなに乱暴に担ぐな」


「あ?大丈夫だろ。コイツ頭打っても大丈夫だったし」


「そーゆうことじゃないよっ!チナちゃんは女の子なんだよ?」



 ……おいおいおい、お前コイツのことそんなにデリケートに見えんの?………………………ない。絶対ない。確実にない!コイツはそんなにデリケートな分けがない!まあまあ適応能力高ぇし。適応能力が高いって……デリケートとは正反対だろ。

 ……うん、ねぇわやっぱ。



「おい、お前」



 てかほんとのほんとに、コイツなのか?アイツら間違えたんじゃね?やっぱり俺にはコイツが愛し子の素質があるとは思えない。

 ってか、アイツらの選ぶ基準ってなんだ?



「おい!!」


「おっほ!!」



 だ、誰だよおい!いきなり肩たたくなよ!びびんだろ!!

 って、おまえかよ?女のくせに力強ぇな。俺の肩外れんじゃね?!



「かせ。私がちな……チナを運ぶ。お前は手荒い」


「あ?良いじゃねえか。コイツそんなに弱くねぇだろ」



 そもそも俺は手荒くなんかねぇ。お前の方が手荒いだろ!知ってるぞ、お前、この前の愛し子のそばにいた人間の骨折っただろ。知ってんぞ!!



「……そう言えば」


「あ゛?」


「なんだ」


「なーに?」



「なんでちなさんを、『チナ』って呼ぶんだい?」



 しん……となったぞおい。てか、そんなの当たり前だろ。なに言ってんだよコイツ?





「…だってさ。もう違う世界に行くんだよ?」



 ちっちぇえ奴ってよ、庇護力を誘うってゆーけどよ、コイツには抱かねえな、うん。



「もう彼女は『華森ちな』ではない。この世界に『ちな』は存在しない」



 ……何気コイツらひでぇよな。まじないわ。『気に入った』って、本当はきっと、『新しい玩具』ってかんじなんだろーな。

 

 こえぇよなぁ、神様ってよ。


 ってかさ、それよりもよ、もっとあんだろ!

 何よりも──



「可哀想だろ」




 ぼそりと呟いたつもりだったんだけどなぁ…。聞こえたのかよ!!恥ずかしすぎるだろ、おい。

 ………あ?なにが、だと?これだから神様ってのは……。



「…この世界はチナの知り合いがいない。いつあいつらに会えるかもわからねぇ。なにを支えにする?」






 まぁ…これは俺の経験談だけどよ。誰も知り合いの居ないところで、まぁ当然話し相手も居ないわけで、信じられるのと支えにできるのは自分の記憶だけでよ。

 なぁんにもねんだ、この世界にくると。自分が培ってきたものもなくて、最初っからでよ。

 俺がやっと一人じゃなくなったのは、『奴ら』に会ったとき、それでもすっげぇ時間かかったしな。

 




 一人ってのは、寂しいもんなんだよ。





「……可哀想?」


「なんだ、それは」


「どこが可哀想なのさ?」



 ほらな。まぁコイツらが忘れちまってるのもあるかもしれねえけどよ。神サマってのはこんなもんなんだよ。……俺もこうなるのか?あー嫌だ嫌だ。気をつけよ。…コイツらほんとに分かってねぇみたいだし、肩すくめときゃいいか。



「それより、コイツの力はどうすんの?」


「む、そうだね。そんなことよりチナさんの力だ」


「チナにアレ持たせてみるか?」


「え?あ、あれ?うーん、まだ試作品だけど」


「…いいんじゃないかな。ちょうどどんなものか知りたかったし。持たせてみてもいいんじゃないかな?どう思う?」


「…私はどうでもいい。チナは面白い」



 …ん?どういう意味だおい?今の話と関係あんのか、面白いって!



「お、おい。どういう意味だよ」


「チナは面白い、その理由か。…聞くが、私たちに突っかかる奴が過去にいたか?冷静な奴がいたか?それをふまえて考えると、チナは特殊だ。私たちに突っかかるなど、面白いじゃないか」


「あー、確かにいないね。けど、それで面白いっていうのは分からないなー」


「ふん、私にとってはそれで十分な理由だ」



 これってもう、チナを玩具って言ってるようなものじゃねぇの?ま、いいけどよ。言うだけだしな。俺たちはチナを玩具に『できない』し。

 俺たちはチナの首に俺たちの力で作った石をかけて、ホルンを開いた。今度こそ、ここへと繋がるものではなく、チナの世界に繋がるものでもない、正真正銘異世界へと繋がるホルン。

 徐々に大きくなるホルン。俺はそれを見つめ、うっすらと笑いながらチナを見た。


 チナ、俺たちのお気に入りのチナ。俺たちはここから先はお前に干渉する事は『できない』。向こうでは、『お前に関しては俺たちはアイツらより干渉する事ができない』。助けてやれないってことだな。

 ホルンが大きくなって、チナ一人潜れるくらいになった。俺はその異世界へと繋がるホルンの中に、チナを放り投げた。




 チナ、俺たちはお前がなんでアイツらに選ばれたかが分からねぇ。アイツらの選ぶ基準もわからねぇ。だからよ、教えてくれよ。なぜお前が選ばれたかを。俺たちに証明して見せてくれよ。

 なあ、チナ。俺たちを、楽しませてくれよ。









 消えていくチナを見て、俺はすっげぇ思ったんだよ、このとき。顔を触っても、頬がほんのちょっとだけ上がっててよ。思ったんだよ、俺。




──俺も結局は神サマってことだ。  






ホルン

   ブラックホールみたいなもの。次元を移動できる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ