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愛し子な女子高生(リメイク中)  作者: 沽雨ぴえろ
第3章  王宮編
33/45

バレるの怖いけど狼さんがイケメンだから気にしない

朝帰り(・∀・)



 四つの国に囲まれた大きな森。そこには様々な魔獣が住み着いている。たとえ森に足を踏み入れようとも手を出さなければ彼らは襲いかかってはこない。人間もそれを理解している。がしかし、襲いかかってこなくとも、凶暴な魔獣がめったに人前に出てこなくとも、人々はその森に進んで入ろうとはしない。

 理由は簡単だ、魔獣の王者たちが住んでいるからだ。魔獣が恐ろしいというのもあるが、王者たちにはある伝承が長い年月もの間、変わらずに引き継がれている。


【陸・空・海の王者たちは彼の象徴たちの友であり、影である。】


 人々は、その森を『神聖な場所』とみているのだ。

 人々はその森を「黒の森」と呼ぶ。見かける魔獣が闇色なこと、そして伝承の「影」にちなんでだ。 

 人々は神聖さゆえにけして踏み込もうとはしないのだ。









 木の葉の間からこぼれ落ちる朝露に少女は顔を濡らす。柔らかな黒に身を任せながら冷たさに身をよじる。

 少女の隣に横たわるのは「闇」。寝がえりを打つ少女の顔に鼻を押し付ける。



『……チナ………チナ!!』


「……んがっ?!」



 少女は頬に感じる違和感と優しい呼びかけに、奇妙な声を上げながら勢いよく上半身を起こす。

 闇――ノアはきょろきょろと左右を見回している少女・チナを見て、はぁ、と溜息をついた。


 おそらくこの森に何の躊躇ちゅうちょもせずに入り、寝泊まりできるのはチナだけだろうな……


 ノアはぼんやりとそんなことを思う。するとくいくいっと毛が引っ張られる感覚がして、そちらを向く。

 チナがノアの顔を覗き込み、不思議そうに尋ねた。



「なにかあったの?」


『いや……チナ、そろそろ帰らねば』



 チナは眠そうに眼をこすり、訝しげにノアを見やる。



「帰るって……どこに?」


『…お前は一昨日から魔調師になったのだろう?今帰らなければ、部屋にチナがいないことがばれてしまう』



ピタ


 チナはぴたりと動きを止める。しばらくしてギギギ、と首をノアに向ける。そして大きく口を開け――



「ノアっ!!早く急いで準備してっ!」



 ノアは口の端をやや上げ、苦笑気味になりながらものそりと立ち上がる。器用なことだ。

 ノアがかがむとすぐにその背に飛び乗り、ノアの頭をなでる。気持ち良さそうに目を細めるノア。



「行こっか。ノア」


『しっかり掴まっていろよ、チナ』



 チナが頷くのを見てからそっと地をけり、宙をける。上へ上へと行くにつれ、木々の間から見送りの声がチナの元に届く。

 チナはあたりを見回し、微笑みながら大きく手を振る。



「行ってきます!!」



キキィイイイッ

モフォォオオオ

ヴァオオオオオッ



 チナの声に反応し、鳴き声を森に響かせる。チナがそれを聞いて嬉しそうに笑うと、ノアはスピードを上げた。チナと魔獣たちのためにスピードを落としていたらしい。































 相変わらずノアの足は速い。あっという間に森が遠のき、赤の国の首都の明かりが見え始める。



「あーぁ。あと少しで宿舎に着いちゃうよ」


『?何が厭なのだ』


「だってさ、寝てる時しかノアと一緒にいれないのにさ!もうまたね~、だぞ?!」



 もっとノアと一緒にいたいよと駄々をこねるチナ。

 しかしノアは不思議そうにチナに尋ねた。



『別にいいだろう、それでも』


「、え」


『会えない分、会える時間を大切だと思うのだろう?』


「……うん」


『それで十分だろう?…それに、我はいつでもチナのそばに居る。呼べば、いつだって駆けつける』


「うん」



 ノアの言葉に嬉しそうに目を細め、ぎゅうと首筋に抱きつく。



「ありがとう、ノア。会える時間を、もっと大切にするよ」


『…チナ、大切に思うということは、とても尊いことだと我は思う。その考えを忘れるな、チナ』



 それから…とノアは恥ずかしそうに続ける。いつの間にか首都に入っていたらしい、チナはあと少しで着いてしまう、と思いながらしっかりとノアの言葉に耳を傾ける。



『チナがそう思ってくれていることが、我は嬉しい』



 はにかんだ雰囲気でチナに言うノア。


 で、デレた!ノアがデレたぞー!!ノアかっわえ。まじかわいいよあんた!!


 チナがノアの毛にしがみつきながら身悶えしていると、いきなり物凄い衝撃がチナに襲ってきた。



「ぅぉおっ!!!」



 あれこれ昨日もあったやつ?!と心の中で叫でいると、ノアが大きく舌打ちしたのでおそらくあっているのだろう。

 ノアが小さくテリアを口汚くののしると、チナが見たときと同じように鼻を防壁に押し当て、巨大な穴をあけた。するりと中に入り込むとあとは速かった。

 ノアの早い足であっという間にチナに割り当てられた部屋に辿り着く。防壁の時同様にするりと中に入り込む。

 チナは名残惜しそうにしながらノアの背から滑り降り、ノアの正面に回り込み、鼻をなでまわす。



『チナ、あの男に気をつけろよ』


「分かってるって。…ちゃんと呼ぶよ、ヤバくなったらさ」



 ノアはチナの返事に満足したのか、ふん、と鼻を鳴らして、チナの頬に頭を擦りつけた。



『では、我は行く』


「ん、おっけ。また夜に、ノア」



 闇に溶けていくように帰ってゆくノアを見送った後、チナはにんまりと笑った。















 ノアまじイケメン!!本気で惚れるよあれは。嬉しいだって!うっふっふっふっふ……バレるかな、バレるかな?!だがそれがどーしたあああ!!今日から頑張れるぜノアアアアアアアア!!!







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