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【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】  作者: ステラ


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指輪ものがたり 5

賭けをしたというシグウェルさんの言葉にミアさんは頷いた。


「そうそう、ちゃんと思い出したようですわね?当時、あなたのお父様に頼まれてお見合いをした時のあのロマンチックな丘の上のレストラン、夜の星の輝きとランプの灯りも美しいバルコニーでの夕食の席のことを。」


ふふ、と楽しそうに笑うミラさんとは裏腹にシグウェルさんはまだ眉根を寄せている。


「シグウェル様は義務感でお見合いをしたのかもしれませんが、こちらにも事情がありましたから。より膨大な魔力を持つ伴侶を見つけて後継ぎを産み、領地を安定して支配するのが私の役目。シグウェル様ほどそれにぴったりなお相手はおりませんでした。しかも魔力に優れているだけでなくお顔もスタイルも良いし。」


ねぇ?とこちらにウインクされて同意を求められる。


「あの時、このまま二十歳を越えて結婚していなければどうするつもりかと聞いたら、あなたはどうするつもりもないと言われました。自分と同等かそれ以上の魔力の持ち主でなければ話にもならないし興味も持たないだろうから結婚などしているはずもないと。家は誰か自分の次に魔力の高い者が継げばいいとも言ってましたね、全く薄情なものです。」


見合いの席で目の前の見合い相手にそんな事を言うのすごいな。当たり障りのないお見合いをしていたのかと思ったらそれって思いっきり相手を断ってないかな?


そう思っていたらユリウスさんが、


「え?団長とそんな突っ込んだ話までしたんすか?すごい話が弾んだっすね・・・。やっぱりミア様が魔力の高い人だからかな?」


なんて言った。これで?これ、話がはずんでたって言うんだ。驚いていたら、


「そうなんです。シグウェル様は基本、自分の認めた相手としか会話をしません。ということは、私に正直な気持ちを話してくれたということは曲がりなりにも私の魔力の高さ、魔導士としての私を認めたということ。ならば賭けを持ちかけても興味を持ち、それに乗ってくると思ったのです。」


ミアさんが頷き、それを受けてシグウェルさんが


「だからあの時、賭けを持ちかけたのか。結婚適齢期の二十歳を過ぎた時に伴侶となる相手がいるかどうか。」


そう言った。


「だからそれ、どんな内容の賭けだったんすか?」


ユリウスさんが急かして、ミアさんがそれに楽しげに答える。


「簡単な事ですよ。二十歳を迎えた時、絶対に結婚なんかしないと言い切っていたシグウェル様に良い方が出来ていたら私の勝ち。まだ独身であればシグウェル様の勝ち。シグウェル様が勝ったら私の所有するクレイトス領の魔石鉱山を三つ渡し、私が勝った時は・・・まあその場合シグウェル様には既に良い方がいらっしゃるということですからね、私は第二夫人でもよいので結婚してもらう。」


そう説明したミアさんがちなみに、と付け足した。


「婚約の誓書はその賭けの担保です。万が一、気が変わって理不尽な理由で賭けを無効にされた時や賭けに負けたのに第二夫人でも私と結婚したくないという時には誓書が威力を発揮します。そうすればシグウェル様の膨大な魔力をいただけるので結婚していなくても父を納得させられそうでしたし。」


「いやだから、そもそも見合いの席で結婚する気はないって断られているようなもんなのによくそんな賭けを持ちかけたっすね⁉︎」


「私もクレイトス領の後継として優秀な後継者を残すのに必死でしたから。シグウェル様以上に条件の良い相手はいないので手に入れるためには何でもしますわ。」


それに加えて今の話からすると、当時のシグウェルさんは本気で結婚する気もなければそんな相手に出会うとも思っていなかったんだろう。


だからミアさんの持ちかけた賭けにも簡単に乗ったに違いない。


そんな事を思っていると


「団長にはユーリ様っていう、これ以上他に奥さんが必要ない位いい相手が見つかったからダメっす!」


なぜかユリウスさんが反論したけどあれ?これって本当は自分の旦那さんに突然横槍を入れられた私がするべきでは・・・?


どうしても賭けはなしにしたくて食い下がるユリウスさんに、ミアさんはにっこり笑いかける。


「本当に。前もって婚約を担保にした誓書を作っておいて良かったです。さすがに癒し子様がお相手では、召喚者が絡んだ賭けだなんて無礼過ぎると無効にされていたでしょうね。ですがこれは魔法の誓書。守らなければ対価は必然です。」


「うぐっ・・・!団長、団長の魔法でこの誓書を解呪して無効化出来ないんすか⁉︎」


自分に泣きついてきたユリウスさんをちらりと見やって、シグウェルさんは机上の誓書をとんと指でついた。


「無理だな。自分で作った誓約を自分の魔力では破れない。解呪するならそれを作った本人以上の魔力の持ち主でなければ。」


「じゃあユーリ様‼︎」


シグウェルさん以上の魔力の持ち主という言葉にユリウスさんが私に向き直ったけど・・・。


「ユリウスさん、忘れてませんか?私が使えるのは癒しの力と豊穣の力だけですよ?解呪なんか出来ないです。」


「グノーデル神様の力はどうっすか⁉︎あの雷でビリビリに破って燃やしちゃうっす‼︎」


その言葉にミアさんが愉快そうに声を上げて笑った。


「さっきからユリウス様の提案されていることはどれも誓書に無関係な第三者の介入や理不尽な破棄行為でペナルティの対象ですよ。そんな事をしたらシグウェル様の魔力をもらうことになりますわね。」


そしてひとしきり楽しそうに笑うと、まるでシグウェルさんのように目をすがめて私を見た。


「それにしてもユリウス様の今の言葉、もしかしてユーリ様はイリューディア神様のご加護があるだけでなくグノーデル神様のお力も使える?私が知りうる情報では、ルーシャ国のアドニスという町で行使された神の雷は一時的に顕現されたグノーデル神様ご本人が行使した力だと聞いておりましたが・・・」


おっと。そういえば、国外に対しては私が使えるのはイリューディアさんの力だけで、グノーデルさんの加護まで受けているのは伏せられている。


神様二人分の力が使えると対外的に知られれば、ヘイデス国のように私の力を求めて利用しようと接触してくる国もあるかもしれないからだ。


だからヨナスに意識を乗っ取られたエリス様に私が二度に渡って使ったグノーデルさんの力も、公式にはその場にいたグノーデルさんの加護が篤い勇者様の血を引く王族のリオン様が落とした雷ということになっている。


「アドニスの町の時は勇者様愛用の短剣と、その血をひくリオン様がいたから私がグノーデルさんを呼べただけです。イリューディアさんの力を使うだけでも大変なのにグノーデルさんの力まで使えませんよ!」


私の使える力はイリューディアさんのものだけでしかも癒しと豊穣の二つだけです、と無力アピールをしてみたら


「あら残念・・・。ユーリ様が現れてからルーシャ国ではイリューディア神様だけでなくグノーデル神様の加護の力も活発になっていると聞いておりましたのに。」


と本当に残念そうにされて、


「他領の人間のためになかなか許可が降りませんが、魔導士としてはグノーデル神様の雷が落ちた聖域の山があるというダーヴィゼルド領もいつか訪れて調査してみたいと思っておりますの。まあそれは正式にシグウェル様の妻になれば国内も自由に移動できるようになるでしょうし、その時を楽しみにしておりますが。」


とまで言われた。危ない、その山にはグノーデルさんの加護がついているだけでなく今はヨナスのしがらみから解放されたエリス様が住んでいる。


好奇心旺盛な魔導士が訪れてあれこれ調べられたらまた面倒が起きかねない。


ミアさんは内心ヒヤリとした私にはおかまいなく、他にもルーシャ国には私が加護を付けた地があるようだからそれらもあちこち訪れてみたいと願望を語っていた。


さすが魔導士、シグウェルさん並に魔法に関する知識を得ようと貪欲だ。


そんなミアさんにシグウェルさんは


「・・・話はよく分かった。とりあえず、今日のところはリオン殿下に頼んで迎賓館に部屋を用意してもらったのでユリウスに案内させよう。この先どうするかはまた明日以降話し合いだ。」


とため息をついた。まさか自分が軽い気持ちでした、婚約が担保の賭けのせいでこんな事態になるとは思ってもみなかったらしい。


ユリウスさんの案内で団長室を出ていくミアさんは一度振り返り、


「明日はぜひユーリ様が加護を付けられたという王宮の薔薇園を見学させて下さいね。イリヤ国王の戴冠式もユーリ様の結婚式も、クレイトスからは父が出席したため私はまだ見た事がないので楽しみですの。シグウェル様、婚約履行の段取りはゆっくり考えて結構ですよ?その間、私は王都見物とユーリ様の加護の軌跡巡りを楽しみますからね。」


そう言い残すと華やかな笑顔を浮かべてではまた明日、と後ろ手を振っていなくなった。


「・・・どうするんですかシグウェルさん。」


このまままだと魔力を渡すか婚約履行をするかの二つに一つだ。


するとシグウェルさんはしばし思案顔をすると私の頭をポンと撫でて


「嫉妬どころか心配させる結果になったな。予想外の展開になったが何とかするから時間をくれ。その間、君には悪いがミア嬢の相手を頼む。あの様子では俺に惚れているというよりも俺の魔力と君の力への興味の方が上回っているようだから、君を害することはないはずだ。」


と頼まれた。思わず、


「普通自分の奥さんに恋敵的な相手の世話を頼みます?」


と言ったら


「俺には君だけだ、ミア嬢は相手にもならない。恋敵ではなく魔法バカのお守りをすると思ってくれ。」


ふっ、とあの氷の溶けたように甘やかな微笑みを浮かべて言われた。


突然の殺し文句にその笑顔は不意打ちだ、ズルい。


赤くなってウッと言葉につまり、なんて返せばいいか分からなくなったのでただ頷いて帰ってきたけど、よく考えたら誤魔化されたような気がしないでもないのだった・・・。


















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