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弟が優秀すぎるから王国が滅ぶ  作者: 今井米 
テッテレー!!レベルが上がりました!
96/200

第20話 何言いたいのか分からん

・・・・僕には納得がいかない。このままで終わるなんてできやしない。




「どうして、、、」




「ん?」




「どうしてそんなに平気なんですか?」




そしてなにより。。。。。




「なんで!!そんな平静でいられるんですか!死者を弄んでいられるんですか!!」



二人が僕を見る。心底不思議そうな顔。


そんな僕はエナンチオマー侯爵が死んだときを思い出す。あの時も二人は、藻搔き苦しむ彼の命を弄びながらいつも通りに昼食を食べていた。




食事が喉が通らない僕。悲壮な顔で涙を抑える父上。拳を必死に抑えるツー姉上。そんな僕らに一切眼もくれず、あの時の二人は何事も無かったかのように食事をとっていた。




「人が、サーシャ様が殺されそうになったんですよ!」



幼い命が奪われるところだった。



「たった、今!ここで!サーシャ様が!殺されそうになったんです!それなのにペチャクチャと無駄口を叩いて!死体を蹴り遊んで!危機感が足りてないんじゃないですか!人としての倫理が欠けているんじゃないですか!!」




今までのやり取りから、姉上がサーシャ様を無下に思っているわけが無い。




…そんなわけがないのに、どうしてこんなに緊張感がない?真剣さが感じられない?なぜこんなにも空虚な会話でケタケタ笑っていられる?なぜ首を蹴り遊ぶなんてことができる??




「あんな風に人を殺して!サーシャ様の命の危機でもあって!それなのにその態度は何なんですか!貴方達は命をなんだと思っているんだ!」



なぜ笑っていられるのだ?

そして何故、死体を弄ぶような真似をするのだ?



「スリーもだ。お前はどうしてそんな簡単に人を傷つけるんだ!人の気持ちを考えたことがないのか!」




スリーは何も言わない。ただ、目を瞑って黙ったまま。それでもなお、やめないリフティング。


別に拷問を否定している訳でも、レッドマスクを殺したことに怒っているわけでは無い。それをしなければいけない必要性もあったのだろう。でも、あのふざけた態度は何なのだ。死者を弄んだ理由は何なんだ。あんなことがあったのに、この態度は何なんだ。サーシャ様の命が狙われていたのに、あの笑いは何なんだ。


まるでゲームをこなすかのように、冷淡に命を扱う。残酷に人の尊厳を軽視する。なんでそれが現実でもできるんだ?


この人達にとって、他人の命ってなんなんだ?


「ほれ、パス。」


ポン。


「どうも。そんなことより、手引きした人間がいる筈よね。ほい。」


ポン。



え?


まるで僕の話を聞いてないかのように、蹴球を続ける二人。


「ナイスパス。。。そうだねフォー。普通に考えて僕らの居場所をこんなピンポイントに当てて襲撃するなんて考え辛いよねぇ。態々窓がある場所から侵入してきたしね。」


ポン。


「よっと。この部屋を私達が使うってことを知ってないと出来ないことですよね。」


ボン。


「ワーン兄上に調べて貰うかい?」


ドン。


「それしたら兄上多分泣いちゃいますね」


ボボン。


「感涙で?」


ポン。


「悲涙でしょ。」


ポン。


雑談をするかのように気軽に言葉を交える姉上とスリー。未だに蹴鞠を辞めない。




「第一王妃様がスパルタすぎて日々の責務ですら手一杯ですものねー。」




「その上今はツー姉上と議廷でバトってんじゃん。そんな時に仕事頼んだら過労死しちゃうよ。」




「じゃあ兄上が調べてくれます?」




「任されたーぜ。でもフォーも頼むよ。裏付けとかして欲しいし。」




「おっけーです。」




もしかして。。。この二人は。始めから僕の話を一切聞いていなかった?




「僕の話なんて聞く価値もないってこと?」




「いや被害妄想かよ。ちゃんと始めから聞いていたから。要はあれでしょ?犯人に対して『ひどーい』『さいてーい』『なんてやつだー』『ゆるせなーい』みたいなことを言えってことでしょ。今度からはきちんとそう言うから。」




つい呟いた僕の声に、やっと蹴鞠を辞めて返事するスリー。それに続けてフォー姉上の返事。




「無視なんてしてないからねファイーブ。ただ今はそれどころじゃなかったし、その要望に応えたところでそんなことをする機会がなさそうだったから反応しなかっただけよ。」




「違う!」



帰ってきたのは、的外れな返答。


この人達は、何を言っているんだ?




僕の話を、ただのお願いだと思っていたのか?




「違うって何がよファイーブ。」




「僕が言っているのは人としての話だ!デリカシーを持って行動しろと言っているんだ!あんなふざけた態度をする必要があったのかという事だ!」




「…えと、つまり今回はサーシャ様が狙われたからサーシャ様に『大丈夫ー。辛かったねー。酷い相手だねー。許せないねー』てして、犯人に『ひっどーい。』て言えってことでしょ?今度からそうするって言ったじゃない。」




「そうじゃない!」




僕の言葉にフォー姉上とスリーは互いに目を合わせて首を傾げる。




「言っている意味が分かるフォー?」




「いや。。。。相手に同情して慰めるポーズをしろってことじゃないかとばかり。。。」




「俺もそうだと。。。」




そんな…




「僕が、どういう事を言っているのか、本当に理解していないのですか?」



まさか、本当に分からないのか?



「哲学的な話?」




「さぁ。。。。」




なぜ、なぜ何も分からない??



そんなにも僕は、的外れなことを言っているのか?

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