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プロローグ
その少女は
慈愛に満ちた心と
"物語の記憶"を持っていました。
"悪役令嬢"として生を受けた彼女は
その運命に抗おうと
全てを愛し
全てを許し
全てに憎まれて
殺されました。
何もしていなくても
どれほど善良に生きようとも
何度やり直そうとも
全ては最初から決まっていた通り
何度も
何度も何度も
何度も何度も何度も何度も
焼かれ、刻まれ、吊られ、潰され、嬲られ、刺され、千切られ、引き裂かれ、沈められ、炙られ、
その命は、消えました。
そして、また、生まれるのです。
殺されるために。
この物語の、"ハッピーエンド"のために。
10000の死を超え、もう幾度目かも分からない死出の道に立った時。少女は思いました。
「何故、私だけが、死なないといけないのだろう」
「何故、死ぬために、生まれないといけないのだろう」
「何故、物語は、終わらないのだろう」
そして、気付きました。
「結末が、間違っているから、終わらない?」
「私が知っている物語の結末では、終わらない」
「ならば」
「私が殺され、ハッピーエンドで終わらないならば」
「私が、全てを、殺してしまえばいいのだ」
悪役令嬢には、強くあってほしいですね。




