レイド観戦なの!
草の情報によると、アカバンの囚人は極寒の浜辺に出現したらしい。
ユニークレイドとは違って途中参加もリタイヤも自由。
ただ、リタイヤした者は強制ログアウトされる仕様なので、リベンジすることはほぼ不可能だ。
「ここ?」
「そうよ。ここが極寒の浜辺。まるで人がゴミのようだわ」
レイドバトル。
いくら20人で参加できるとはいえ、1体のボスに対して人が多すぎる。
戦闘中のプレイヤーは別としても、目の前には50人以上のプレイヤーが待機していた。
これ全部順番待ち?
とりあえずデス子ちゃんと一緒に最後尾へと並ぶ。
「ここの先着20名に参加ウィンドウが表示されるみたい」
「それって知らない人とパーティを組むってこと? 何だかワクワクするわね!」
現在戦っているプレイヤーは、近接職をメインとしたパーティだ。
ソードマスターと思われる前衛はヒットアンドアウェイを繰り返し、離れた一瞬のスキに後衛の魔法が炸裂する。
でも……何かがおかしい。
「あれって変じゃない?」
「そうね。剣士のプレイヤースキルがショボすぎて、フレンドリーファイアになっているわ」
「そうじゃなくて」
確かにソードマスター(笑)には被弾しているけど、おかしいのはアカバンの囚人のほうだ。
味方を巻き込む勢いの魔法攻撃も当たっているはずだけど、ダメージが入っていない。
だって、可視化されているHPゲージが減るよりも……回復する量が多いなんて!
「な、何だあのヤロウ! 魔法をくらってもHPゲージが全く減らねぇ! むしろ魔法を吸収している気さえしてきたぞ!」
「もしや奴は、あのスキルを持っているかもしれん!」
「知っているのかアイゼン!」
「ただの魔法無効化だね。ところで君が、俗に聞く死の風さんかい?」
私達も説明を聞こうと思っていたところ、前から歩いてきた男性が先に答えを言ってしまった。
解説をポッと出の男性に取られ、唖然とするアイゼンさん。
デス子ちゃんに知り合い? と目で尋ねると、首を横に振られた。
「失礼、初めまして。僕は『蒼の騎士団』で副ギルド長を任されているトライアだ。君たちもレイド戦に参加する気なら、是非とも僕らと協力してほしい」
「順番はいいの?」
「何。そんなもの……皆のもの! コイツに魔法攻撃は効かないらしい! 無駄に時間を消費したくなければ、僕らの戦闘……もとい、攻略法を見てから挑んでほしい!」
トライアが叫ぶ。
彼は上位ギルドの一員とかで、知名度もそれなりにあるみたい。
何でそんな人がデス子ちゃんを知っていたのか疑問は残るけど、彼の宣言もあってか並んでいたプレイヤーの8割は私達の後ろへと下がる。
しかし。
「無謀でも挑むのが男ってモンだぜ!」
「意地があんだよ、男の子にはなぁ!」
それでも、何人かは残る。
順番では彼らが先なので素直に譲り……今の戦いが終わるとわかると、すぐに飛び込んでいった。
ちなみにソードマスター(笑)さんはフレンドリーファイアで倒れ、後衛はすぐに撤退。
先程飛び込んでいった無謀な男子たちは、1分も持たずに敗北した。
「さて、今から挑むのは僕ら『蒼の騎士団』から8人。『徹夜明けの明星』から3人。『ラグナロック』から3人の14人だ。それに君たちを加え、計16人での参加となる」
参加といっても……。
いつぞやのレイド戦みたいに打ち合わせをする人々。
でも私達は作戦会議に呼ばれないし、何をやればいいのかしら。
「トライアさんは会議いいの?」
「僕はソロだ。全ては僕の軌跡通り自由自在さ」
何言っているのこの人。
うちの草といい勝負かもしれない。
「さあ! レイド戦の始まりだ! いくぞ!!」
「わたしが一番乗りね! みんな、おっそーい!」
いつの間にかデス子ちゃんがフィールドへ突っ込んでいた。
他のギルドの人々も後に続き、それぞれがアカバンの囚人に対しての攻撃を開始する。
そして。
「さすが死の風だ。さあ君も、共に青春の汗を流そうではないか! ついてきたまえ!」
「うるさい」
「ブフォオッ!!」
とりあえずトライアに一発ブチ込む。
思わずホウキでフルスイングしたけど、これもフレンドリーファイアのうちで流れ弾よね?
ブックマークありがとうございます。
レースに流星を出したくて出したくて。しかし、出番はまだのようです。




