望まぬフルバーストなの……
あれからすぐに電話をしたけど、小鳥遊さんには繋がらなかった。
連絡が取れなければ、私ができることは……情報収集かな。
とはいっても、昼に聞いた噂以上のことは簡単には出てこないや。
その日は結局寝る落ちしてしまい、寝不足のまま学校へ向かう。
「おはよー」
「小町おはよ。今日はちょっと早いね」
「ちょっと寝不足で」
「あの課題でも苦戦したの?」
他愛のない会話も、ある人物が入ってきたことにより中断される。
「ねぇ」
「うん? 私?」
「そう」
「な、何かな……」
話しかけてきたのは、どこかでみたことのある女の子だった。
クラスにはいなかったはずだけど、最近どこかで見たような……。
「小鳥遊さんと、昨日何があったの?」
「……あっ!」
思い出した。
昨日小鳥遊さんの後ろにいた一人がこの子だ。
この子もプレイヤーって話だけど、ということは小鳥遊さんから連絡があったのかな?
「ねぇ、答えて」
「一緒にポテト食べて、連絡先交換しただけ」
「本当?」
「そうそう。だから、貴方にも同じ連絡が来たんじゃない?」
そう言って、彼女に昨日きた通知を見せる。
……何故か私が疑われているみたいだし、ここは証明しておかないとね。
「……そう。あなたも気をつけることね」
「ご忠告どーも」
クラスは違うみたいで、彼女はそのまま去っていった。
あの子も小鳥遊さんが心配なのかな?
その日、小鳥遊彩花は欠席だった。
「被害者は魂を抜かれているの!」
「それは君の考えすぎだね」
小鳥遊さんのことを相談できることは少ない。
ゲームにログインして、いつもいる暇人……んんっ、ギルドマスターに相談したら、私の思い過ごしだと言われた。
「だって、今まで休んだことないのに、学校にも来ないなんておかしいよ!」
「そもそも、学年が始まってまだ経ってないだろう? たかが一月でいままでというのも、実におかしいものだ」
「そ、それは……」
「初めて出来た友達が心配なのはわかるが、もう少し待ってみてはどうだい?」
「初めてじゃないもん!」
まるで「若いねー」とでもいうように、黒百合さんは興味なさげだ。
やっぱりこの人って、おばさ……。
「どれ、私も魂を抜けるかどうか試してみようか。ちょうどいい実験体もいることだ」
「な、何も考えていませんから! 何でもありません」
「それは自白と捉えていいのかね?」
「なんのことでしょー……」
さすが年の功ね……こちらの考えていることはお見通しってわけ。
冷たい視線を感じたけど、ギルマスはため息をつくと手に持っていた紅茶を口に運んだ。
「ま、ゲームに夢中な人ほどショックで寝込んでもおかしくはない。彼女の精神が回復するまで待つべきだ」
「せっかく仲良くなれたのに……」
「所詮リアルだけの仲だろう。フレンドでもないなら問題なかろう」
「ボッチな姫様にはわから……ちょっと走ってきますッ!」
思わず出た言葉だけど、黒百合さんから発せられるオーラが邪悪な何かに変わったことだけはわかった。
顔も合わせずに逃げ出したけど……今度会うときまでには落ち着いてくれているといいな。
少しアジトから離れたところで、久我に会った。
「おや、タカマチさんではないですか。今から決闘でも?」
「ただのレベリングよ! あっ、今からアジトへ行く?」
「そうですね。エースを探しているのですが、アジトにいました?」
さっきまでいたからわかる。
彼はいない。ついでにデス子ちゃんもいない。
ログインはしているみたいだから、多分どこか走り回っているのだろう。
「居たんじゃない?」
「わかりました。ではそのうち決闘でも」
「やらないわよ!」
「ハッハッハ!」
そういって久我はアジトへ向かっていく。
これで黒百合さんの相手でもしてくれると助かるんだけど……まあいいわ。
とにかくレベリングして、私もスキルを覚えなきゃ!
ちなみに今の私はこんな感じだ。
名前:タカマチ 職業:魔法少女
Lv:28
HP:460 MP:780
ATK:40(+90)
DEF:40(+30)
AGI:420(+120)
INT:160
MND:70(+30)
残 SP:180
スキル:
マジカル・フルバースト
ゴッドウィンド
もらえるSPは右肩下がりになるらしいし、いくらSPが自由だからってスキル無しで高難度は無謀すぎる。
だから序盤はSPを貯めて、スキル解放と共に取得するのが定石らしいけど……そんなんじゃ面白くないからね!
どの職でもレベル30で解放されるスキルが強いらしいから、少しは残してあるけど。
それでも、AGI特化は……特化には、なりたくないかなー。
そんなことを思いながらクエストをこなしていると、ギルドチャットが光る。
『流星はどこにいます?』
『ちょうどタカマチの後ろについたところだ』
『へー……ちょっと待って!』
すぐに周りを見渡すも、ここは空だ。
誰もいないし、空から見た地上には何も……いやいた!
なんか砂埃を巻き上げて走ってくる奴がいる!
「そんなスピードで大丈夫か?」
それだけ言い残し、地上から物凄い勢いで抜かされる。
どうして声がここまで聞こえてくるのよ!
「大丈夫じゃないわ! いきなり抜かさないでよ!」
「どうやらこの決闘も俺の勝ちみたいだ」
既に勝った気でいる流星との差は、どんどん開いていく。
ふふ。
ふふふふふ……上等じゃないの!
「もう一度言うけど……私って負けず嫌いなのよ!」
残りSP180……全てAGIに突っ込む!
「やるじゃないか」
「これで負けないんだから!」
決闘終了後、自分がした馬鹿な選択に落ち込みました。
残 SP:0
新スキルは取得できそうに、ないです。
私も寝落ちしてしまったので即興です。
シリアスどこにいったと思われるかもしれませんが。
タグに入っているのはギャグだけです、と一応。




