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プロローグ

 

 それ・・は唐突に現れた。


 レイド戦を終え、ソロでクエストをこなす一人のプレイヤー。


 その男性の目の前に、それ・・は現れた。


「よし、目標まであと3匹……何だアレ?」


 遠くから見れば、ただの他人。


 しかし、他のプレイヤーにしてはその見た目が、このVRMMOではありえないほどに異形だった。


「NPC? にしては、フィールドにいるわけないし、それにしても……」


 何で腕が6本あるんだ?


 その疑問が口に出ることはなかった。


 なぜなら、男の口は既に塞がれていたから。


「!!??」


 それ・・は一瞬で距離を詰めたらしい。


 しかし、男性が驚愕するのはまだ早かった。


 なにせ、それ・・の腕は残り5本もあるのだから。



 1本目。

 男性の口を塞ぎ。


 2本目。

 男性の首を掴み。


 3本目。

 4本目。

 男性の身動きを拘束し。


 5本目。

 空中で何か操作をし。


 6本目。

 男性の心臓の上から……何かを抜き取る。



 それ・・は6本目の腕で取った何かを吟味し、男性の目には満足げに頷いたように映った。


 そうして、蜃気楼のようにその場からフッと消え去る。


 いきなりのことに動けなくなっていた男性は、そこでようやく意識を取り戻した。


「……何だったんだ、今の」


 スキルを奪われても居ない。


 状態異常もデバフもかかっていない。


 そして所持金やアイテムなども無事だった。


「こえーな。何もなかったけど、今日はもうログアウトするか」


 もしかしたら新しいイベントかもしれない。


 男性は影響がなかったからか、その時は楽観的に考えていた。


 そうして、ログアウト後。




 その男性が、アヴァロン・トラジティに戻ってくることは、なかった。




序章なので、夜にもう1話更新します。

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