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本物を見つけた気分なの

 

 あれから2日が経った。

 私としては、次の日すぐにでもログインしたかったのだけど……。


「あら小町。今日は外食するわよ。支度しなさいな」

「えっ、でも」

「まさか、ゲームを優先させたいの?」

「…………違うよ」

「なら行くわよ」


 結局帰宅したのは22時過ぎだった。

 それからお風呂に入ったり宿題をしているとやる時間もなく……。

 例えゲーム内の図書館サーバーで宿題をやっても、現実の紙面は進まないから意味ないし。



 次の日は単純に宿題が終わらなかった。

 だって見たいドラマもあったし、嫌なことは後回しにしてゲームをやりたかったけど、お母さんの目もあるし。


「やってもいいけど、強制ログアウトさせるからね?」


 そんな脅しをされたら、プレイする気にもなれない。


 VRMMOをプレイするときはですね。

 誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃダメなのです。

 親にはそれがわからんとです。


 とにかく、今日は2日ぶりのプレイとなる。

 宿題も終わらせた。

 お母さんにも許可はもらった。

 あとは――。


「ログインするだけっ! ――アクセス!」



 ――確認します。

 ――おかえりなさいませ、タカマチ様。

 ――再びこの世界へようこそ。



 デス子ちゃんと買い物をした町についた。

 そういえば最後に寄った場所はここだっけ。

 ……にしても。


「アジトってどこよ」


 誘拐されたおかげで、アジトがどこにあるかわからないとは予想外だった。

 まあいいや。


『タカマチですけど、アジトの場所がわかりません』


 なんだかんだで、いまや私もギルドの一員。

 私がログインしたことは彼らにも伝わっているはずだ。

 ちょっと残念な人ばかりのギルドだけど、それでもメンバーは通知を見て迎えに来てくれるはず。

 というか、喜んで走ってきそうな気さえする。


『ようやく来たのね! 今どこ? もしかして防具を買った町?』

『そこです。誰か案内してくれません?』

『心配は要らない。近くに久我がいるはずだ』


「え?」


 思わず周りを見渡すも、それらしき人物はいない。

 久我も私のメッセを見ているはずだけど、もしかして無視されているの?

 けど、それなら流星はなんで、心配は要らないなんて――。


「おっ、そこにいましたか。メッセージが来てから町を隅々まで探索する勢いで駆けていたのですが、こんなにすぐに見つかってしまうとは拍子抜けですね」

「ふぇっ!」


 ひょい。

 後ろから誰かに持ち上げられ、そのまま男性の肩の上へと乗せられる。

 至近距離で見た顔には……すでに見慣れたサングラスがあった。


「では、このまま抱えていきましょう。時間は有限、そして資産でもあります。私に任せれば案内して道に迷う、また相手に合わせるといった無駄な作業を全て省略して見せましょう。そもそもあの場所は――」

「ちょ、まず降ろしなさいよ!」


 効率云々よりも、単純にこの格好は恥ずかしい。

 久我は気にしてないみたいだけど、これじゃ完全に子供扱いだ。

 散々抵抗するも、私が久我の話を無視するように久我も私の抵抗を無視した。




 人の話を聞かずマシンガントークを続ける久我と、その肩で暴れ続ける私。

 ようやく久我が走るのを止めたと思ったら、ゆっくりとその場に降ろされた。


「着きましたよ」

「え、もう? ……そんなことより、あんた人の話を聞きなさいよ!」

「あいにくですが、私の話を聞かない相手にはそれ相応の態度を取ることに決めていて――」


 長くなりそうだったので、彼を一人置いてアジトの中へと入る。


「こんちゃーっす」

「ふふ。2日ぶりね! 逃げずに来たことは褒めてあげるわ!」

「よく来たな。姫から話があるそうだ」

「姫?」


 よく見ると、前に見た場所と同じ位置に黒百合さんはいる。


「すまないね。悪いがこちらまで来てもらえないかな?」

「いいけど……」


 あの人は身体のどこかが悪いのかもしれない。

 でもそれって、VRMMOでも影響があったりするのかしら?


 こちらの疑問を知ってか知らずか、黒百合さんはまずこの前のレイドを褒めてくれた。


「さすが流星が見込んだだけはあるね。まさかここまでの逸材とは」

「た、たまたま活躍できただけよ!」

「いや、確かにあのターンは見事だった。いつしか俺も抜かれる時が来るかも知れない」

「まずはわたしが追いついてみせるんだから!」


 兄妹そろって後ろから言い寄られるも、デス子ちゃんはまず敗北した前提で話するのやめよ?

 それにあの戦闘を見て、流星を抜かせるとは思っていない。

 だって召喚すればするほど強くなるんだもの。


「で、どうだったかな? まだ1日だけだが、お試しを終えた感想は」

「あっ……」


 すっかりギルドに入った気でいたけど、そういえばお試し体験加入だっけ。

 よく思えば、レイド戦でもこちら側になっていたし、私って既にこのアジシャンズギルドの一員に見られている……?


 噂では、掲示板で私専用のスレが立ったとか立っていないとか。

 クラスの男子が言っていただけなので、信用はしていないけど……確かめるのはちょっと怖い。


 けど。

 レース中に感じたあの高揚感は本物だった。

 認めるのは癪だけど……あのときは楽しかったな。

 それに、ここでハイサヨナラというのはあまりにも酷い。

 なら、取る選択肢はひとつ!


「私も、正式に一員として加えてください!」

「ふふ。まさか2日目にして即落ちとはね。ようこそアジシャンズギルドへ。私達は君を歓迎するよ」


 ……なんか、黒百合さんの手のひらだったような気もするけど。

 こうして、私はアジシャンの一員となった。




感想を頂いたのですが、昨日返信しようとした際に誤って削除してしまったようです。

申し訳ございませんでした。


面白いと言ってもらえて嬉しかったので、アクセルするかの回答としては

デルタ、リミットオーバーを調整中とだけ書いておきます。

便利ですよね、調整中。

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