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事後処理なの

 

 無事にレイド戦は終了した。

 最初にいたメンバーもHPがゼロになった時点で、最寄りの街まで強制退去されたみたい。

 だから今残っているのは、流星、デス子ちゃん、盗賊さん、久我、そして私だけだ。

 ……待って。久我?


「いやー、皆さんお疲れ様です。途中から相手も空気を読んでくれたおかげで実に良い絵が撮影できましたよ。ああっ! ヘレシーデーモンが現れるなら私も走るべきでした。そもそもあの時点で――」

「あんた居たの?」


 てっきり黒焦げになって転がっていたかと思ったけど、見た目はいつもどおりピンピンしている。

 いつものマシンガントークも健在だ。


「やだなー。最初から居たではないですか。実況の方に専念するため身代わりは置いていましたが、これでも存在感を薄くしてカメラワークを駆使して一番映える位置で――」

「戦闘する気がないのはよくわかったわ」


 久我の貢献度はゼロね。

 報酬は各々のアイテムボックスに保管されるらしく、誰が何位ということがメッセージによってわかるだけだ。


 デス子ちゃんに借りた額よりも多い報酬は嬉しいけど、私ってアレで3位なの?

 まあ、とりあえず。


「はい、デス子ちゃん。お金返すね」

「まだわたしたちの決闘レースは途中よ?」

「お金よりも、もっと良いもの賭けたくない?」


 私の言葉に、デス子ちゃんはニヤリと笑う。

 適当に言ってみただけなのに、意外と効果あったみたい?


「フフ。いくら貢献度で勝ったからって、次はそうはいかないんだから!」

「はいはい……え?」


 デス子ちゃんが4位。流星が1位なのは当然として、だとすると……。

 私の視線に盗賊さんも気づいたらしい。


「さすがエースですね。私の力が足元にも及びませんでした」

「いや、助かった。あんたが奴を誘導してくれなければ、こうも上手くいかなかった」

「シーフの中でも、私はタゲ集中回避型ですからね」


 どうやら気づかないうちにターゲット集中スキルを使ってくれていたみたい。

 いつの間に?

 それに、もしかするとターゲット集中させるためにスピードを合わせ、彼女もまた本気を出していなかった可能性が……。


 うん。

 貢献度は負けたけど、決闘レースには勝ったから良いかな。

 でも、気になることが一つ。


「そういや、最後に私を蹴ったのは何で? 痛かったのだけど!」

「? 私にはゴッドウィンドが使えませんので」

「………………」

「………………」

「……え、それだけの理由?」

「何かおかしいですか?」


 どうしよう。

 何から何までおかしいって言うのはダメなの?


 でも、そこは安定の久我さんだ。

 頼んでも無いのに長々と説明してくれた。

 そう、頼んでもないのに。


「私達に許されたスキルはゴッドウィンド。その名の通り特攻スキルですが、大きな特徴としてAGIがATKに加算されるという効果があります。これにより通常はノックバックくらいしか効果がない特攻が、威力を持つ攻撃へと早変わり! 使用者は反動ダメージ大を受けますが、そこは相手との速度差があればあるほど軽減されます。つまり、速さこそ全て! ジャスティス! ああ、神よ、運営よ! 我がギルドにこのスキルを授けてくださり、ありがとう! そしてありがとう!!」




 つまり、突撃はアジシャンズに許された力ってわけね。

 まだうるさい久我はほっといて、それでも一つ言いたい。


「蹴る必要はあったの?」

「推進力と、発破をかける勢いで。迷惑でしたか?」

「う……」


 たしかにホウキの穂の部分を蹴ってくれたり、おかげで加速できたりと配慮はされていた。

 けど、事前に一言あってもよかったんじゃないかしら!


 そう怒ろうと思ったけど、そもそもレースに巻き込んだ流星が悪いとも言える。

 うーん、微妙なところだ。


「い、いえ……助かったわ」

「そうですか。あなたのターン、見事でしたよ」


 彼女も抜かされるとは思っていなかったらしく、やれ計画が狂っただの、意外と足が痛かっただのと文句を言われた。

 しかし、そこはご愛嬌。


 向こうも本気で言っているわけじゃないのは伝わってきたので、雑談も交えてしばし会話を楽しむ。

 最後に盗賊さんともフレンド登録をし、流星や久我ともフレンド登録をした彼女はフッと消えてしまった。


「俺たちは姫に報告だ」

「あっそ。じゃあ私はログアウトするね」

「え、まだ時間あるじゃない」


 たしかに強制ログアウトまでの時間は残っている。

 けど、今日はいろいろありすぎて疲れたの。


 だって酒場で誘拐されて、ギルドに入って、決闘レースの途中でいきなりレイド戦が始まって……。

 それに、報告するために何人も要らないんじゃない?

 私のそんな考えが顔に出ていたらしい。

 流星も久我も納得してくれたけど、デス子ちゃんだけはまだ反対みたい。


「わたしとの決闘レースはどうなるのよ」

「あー……延期で」

「絶対よ! 絶対に次は負けないんだからね!」

「あ、うん」


 この子、自分で負けを認めちゃっているけど……。

 ならもう決闘レースしなくてもいいんじゃない?



 とりあえず、次にログインしたときはアジトに寄ること。

 またレイド戦で消費したアイテムはアジトで補充して良いことを聞き、この日はログアウト……しようとしたけど。


「デス子ちゃん、いつまで遊んでいるのよ?」

「うふふ。コタロウってばモフモフなのよ!」

「くぅーん」


 やっぱ犬……いや、たしかにモフモフは捨てがたいけど。

 捨てがたいけど!


 手を伸ばしたくなるのを我慢して、その手でログアウトボタンを選択する。




 最後にちらっと見たけど、流星と久我と、ワンワンに乗ったデス子ちゃんが走っていく姿は見えた。

 ラプターイーグルも功労者として空を飛んでいくみたい。


 長老は放置されていた。

 みんなアレ忘れていない? まあ、私も忘れていたけど……。



4時間残業のおかげで更新遅れました。

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