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おまけ 3Dモデラーたちの憂鬱

 国民、いや全世界を魅了するVTuber。


 VTuberを構成するのは中の人だけではない、3Dモデルも極めて重要な要素だ。そんな3Dモデルを作るのが3Dモデラーと呼ばれる職業の人達である。この話では、そんな3Dモデラーがどのようにしてデザインを作成したのかを紹介しよう。


 アイカの場合


 依頼人、藍の父。


 「というわけで、あの伝説のVTuber、アイをモデルにしたVTuberをデザインして欲しいんだ」


 「なるほど・・・・・・」


 「ちなみに、名前はアイカだ」


 私は女性3Dモデラー、可愛い系のイラストならお得意だ。アイをモチーフにするなら、カチューシャをつけて、髪もロングにして・・・・・・。


 実際にサラサラとイメージを描いてみてみせる。


 「こんな感じでどうでしょう? 少しファンシーな感じで、妖精チックな」


 「いや、違うんだよなぁ。服はアイと同じでセーラーっぽい感じにしてほしい」


 服も同じとなると、アイとの差別化が難しい。じゃあ、シルエットを考えてアイのカチューシャを別のものに置き換えてみようかな、そうだ、大きめのリボン。うん、いい感じだ。


 今度はセーラー服をそのまま着せて、大きなリボンをつけてみた。


 「どうでしょう?」


 「すごくいい感じです! そうだな、後は藍のキュートな感じにするために、目を大きくして、ハートのアクセサリーなんてどうでしょう!」


 「でしたら・・・・・・」


 今度はハートのついたヘアピンを加える。そして、目を大きめにして・・・・・・。


 「どうでしょう?」


 「完璧です! それじゃあ、また清書のほうよろしくおねがいします!!」


 「よかったです、それじゃあ清書と3Dモデルの作成をしておきますね」


 アイカ納品




 ハルハルの場合


 「へぇ、電波キャラね」


 よしきた、昔懐かしの萌系イラストならお任せだ。


 「あぁ、背は低め」


 「ロリか、いいねー」


 「ロリって、なんか嫌だな・・・・・・」


 とりあえず、中の人が男なのを考えると、髪はショートか、それからボーイッシュと萌え要素を両立できる最強のだるだるパーカーを着せる!


 そして、リボン! たなごっち! ちょうちょに、雷の髪留め!


 「お、おぉ・・・・・・どんどん要素が増えてるな」


 「萌えは足し算ですよ! 特にショートヘアならこういうところでかさ増ししても全くごちゃごちゃしませんからね! よし、スカートと、白ニーソの絶対領域! 靴は茶色で全体的にポップな感じでーーー!!」


 「お、おぉ・・・・・・。ここはプロに任せるとするか・・・・・・」


 「電波系ジト目ロリさいこー!!!」


 ハルハル納品




 ホリィの場合


 「・・・・・・てな感じのキャラをイメージしてるんだけど」


 「なるほど、ならセクシーお姉さんキャラですね!」


 「そ、そうなの? よくわからないけど、全部任せるわ・・・・・・」


 ふふ、サキュバス的な感じかなぁ。でも、サキュバスだと直接的すぎるし、ここは悪魔っぽい感じにしよう。八重歯は欠かせないよねー、あと胸も大きくして、ふとももの肉感が伝わるように輪っかを付けて・・・・・・。


 あと、ロザリオみたいなのもあると雰囲気が伝わるかな・・・・・・。そうだ!


 そして、タブレットにオスとメスの性別記号を描く。そして、その◯の部分同士をつなげる。


 これだ! いい感じに性的な感じを匂わせるアクセサリー、完璧だ!


 ホリィ納品




 山田の場合


 「動物系の感じにしたいのですよー!」


 動物系か、ざっくりすぎて分からないなぁ・・・・・・。


 「やっぱり、私に似合う動物といえばライオンですよー! こう、肉食的な感じが」


 「たぬき」


 「え?」


 「たぬきっぽい、さっきから話してて小動物っぽい感じがするし、なんかどんぐりとか食べてそう」


 「たぬきですかー! 忍者みたいでかっこいいかもです!」


 「だったら、その方向性で」


 たぬき×忍者。確かに、テーマとしては悪くない。


 さらさらと描いてみる。忍者がよく分からなかったから着物っぽいのを着せて、髪は上げて、それから眉はたぬきっぽい太眉で。


 「こんな感じかな?」


 「んー、少し芋っぽいのです! もっと、びしっとした感じで! 足をもっとみせるべきです! そうだ! はちまきつけてマフラーをもっと長くするです!」


 言われたとおりに描き直してみる。うーん、となると、身長を下げて・・・・・・。


 ・・・・・・うん。こんな感じかな、リクエストに答えつつ、スパッツを履かせて少し活動的で馬鹿っぽい感じに。あと、アホ毛も立たせて・・・・・・。うん、結構イメージどおりでいい感じ。


 「どう?」


 「おおー!! すっごくいいかんじなのです!それから、忍者みたいに鉤爪をつけて、腕にリングがほしいのです!」


 そんなこんなで、山田納品




 ミリコの場合


 「そうですね・・・・・・あまり飾らない感じの方向性でお願いしたいです」


 「飾らない感じかぁ」


 とりあえずリクエストどおりにしてみた。ウォンバットがマイブームらしいので耳を付けた、あと大人しさと活動的な感じを出したいっていうリクエストだったのでメガネを付けてホットパンツに。


 「どう? だいぶ要素は少なめにしたけど」


 「ええ、いい感じですね。そうですね、でも少し目がキリッとしすぎてる気もします。もう少しぼけーっとしてるくらいでいいかもですね、それから腕が寂しいので手錠を付けてみましょう」


 「て、手錠ですか・・・・・・」


 ミリコ納品




 アンダーソンの場合


 「もうちょっとおおきいかんじにしてほしいのれす!」


 依頼人はまさかの幼稚園児、せっかくならと幼稚園児風にしたのだけれど、あまり好みではないらしい。


 「それから、もぉーっとおとなっぽくするためにろしゅつするれす! ろしゅつー!」


 こ、困ったな・・・・・・。


 ネットで子供服を検索して、それを元に袖を削除、スカート部分をなくしてレオタードのようにしてみる。これじゃ通らないか・・・・・・?


 「こうれす! これれす! さすがぷろれす!!」


 「い、いいんだ・・・・・・」


 「それから、ぺっとがほしいれす! ことりさんがいいのれすー!!」


 アンダーソン納品




 カペルの場合


 「元がかっこいいので・・・・・・あなたを参考につくればいいですかね・・・・・・」


 「そう言ってもらえると嬉しいよ。それじゃあ、その方向性で頼むよ」


 カペル納品




 白野ワールの場合


 すごいな最近の技術は。


 まだ体はないこの白野ワールというAI、まだ会話しかできてないけど、既にキャラが出来上がっている。


 「なんでこうなったのかなぁー。痛いのがごほうびなんだって」


 依頼人の白夜社長が付け加える。


 『とにかく、拘束具をたくさんつけて欲しいですぅ! あと目隠しも!』


 「目隠しして前が見えるんですか?」


 「うん、AITuberだからそのあたりは問題ないよー」


 「じゃ、じゃあとにかく手錠と目隠しと、犬の首輪を・・・・・・」


 「うっひゃー、これは過激だねー」


 『いい感じですー! もっと露出多めにしてください・・・・・・視姦も好きなのでぇ・・・・・・』


 う、これは世に出していいのだろうか・・・・・・。


 白野ワール納品




 黒部ランの場合


 『私の声はくろねこさんを元にしているらしいので、ネコっぽさはマストですよね!』


 「じゃあ耳をつけて・・・・・・」


 『私、褒められるのが好きです! なでられるように頭にアクセサリーは付けないでください!』


 「じゃあ、ロングにして・・・・・・」


 あと、黒部っていうくらいだし、黒を多めにしようか・・・・・・。白野ワールの隣に立った時に映えるように・・・・・・。


 黒部ラン納品




 泡沫りんすの場合


 「時代はギャルなのですわ! 気高く、優しく、素晴らしいのですわ!」


 「な、なるほど・・・・・・。私の専門的に、ギャルというか、女子高生っぽい感じになるかもですけど・・・・・・」


 ギャルってなんだろう・・・・・・。私は教室の隅っこで1人で絵を描くタイプだったから分からないや・・・・・・。


 とにかく、ギャルがやってそうな上着を腰に巻くやつと、ツインテール・・・・・・。


 目はキラキラにして、首元にリボン・・・・・・。これってギャルになるのかな?


 「すっばらしいですわ! さすがわたくしが見込んだ3Dモデラーさんなだけありますわ! そうですわね、後は花で華やかな感じにしていただきたいですわ!」


 髪にとにかく花を付けてみる。どうやって頭につけてるのかとかは気にしたらだめ、少女漫画の花のエフェクトみたいな感じで・・・・・・。


 「いいですわ~。さて、でもあとなにか一押しが欲しいですわね・・・・・・」


 私は会議の途中、ついつい手癖で隅の方にクマのイラストを描いていた。


 「それっ!」


 「ひぃぃっ!? すいません!」


 「そのクマですわ!」


 あ、ええと。これ?


 「そのクマにつけまつげをつけてあげて、スカートを履かせてほしいのですわ!」


 「は、はい・・・・・・」


 なんというか、ギャルが手を加えていたずらしたぬいぐるみみたいになった。


 「これを通学カバンにキーホルダーとして付けたら、完璧ですわっ!」


 「な、なるほど・・・・・・」


 しっかし、この人可愛いなぁ・・・・・・。私が描いたイラストよりも可愛い、2次元に勝つ顔の良さ・・・・・・、羨ましいくらいに。


 泡沫りんす納品




 締野うどんの場合


 「うーん、ボーイッシュなほうが良いと思うんだよ」


 「でも、斑鳩さんはちょっとキュートなイメージがありますわ」


 「えぇ? 僕に、ですか?」


 「なるほど・・・・・・。それじゃあ、目は大きめ、昔ながらの萌え目にして、眉をキリッとさせましょう」


 「おぉー、あっという間にいい感じに」


 「それから、髪型はポニーテール、ハルハルと被りますがパーカーを着せて」


 「そうですわっ! ホットパンツを下に履かせるんですの!」


 「なるほど、確かに活発な感じも出ますね」


 「うん、これなら僕もバ美肉出来そうだよ。そこまでぷりぷりしてないところがいい」


 そうして、今日の会議は終わった。依頼人の斑鳩さんが帰った後、すみれさんがこっそりと話しかけてきた。


 「少し難しいお願いですが、こちらのモデルを上書きする形で3Dモデルを作ってほしいのですわ」


 そう言うと、1つのモデルが共有された。


 「こ、これってアイ!?」


 「すいませんが、説明は省かせていただきますわ。この3Dモデルに上書きする形にすれば、トレンドVTuberにならなくてもバトルに参加できるはず」


 なんだか、すごいことに巻き込まれたような・・・・・・


 繰り替えすリテイクの後、無事締野うどん納品




 ツクヨミの場合


 「全部おまかせで」


 「は、はい・・・・・・」


 匿名希望の人からの依頼だった。金払いがよかったからとりあえず引き受けたけど・・・・・・大丈夫だろうか・・・・・・


 ツクヨミ納品




 ライムの場合


 「私はまだラップとかは出来ないけど・・・・・・憧れのラッパーにガワだけでもなれたら嬉しいよー。ガワ良い(カワイイ)ならカワイイよー」


 今回の依頼人は小さい子。


 「じゃあ、ラッパーみたいに首周りにファーを巻いて、ルーズなパーカー。あとパリピなサングラス」


 「おお! いい感じだよー!」


 つい手癖でパーカーの下をスパッツにしてしまった、山田の時といい、どうも私は首周りに何かを巻いたり、スパッツを履かせるのが好きらしい。


 「言う事なしだよー!」


 ライム納品




 クリスの場合


 「えっと・・・・・・。私、アイカが好きなので、少し寄せてください・・・・・・」


 「いいですよ」


 だから私に依頼してきたのか、アイカのデザイナーの私に。でも、アイカはアイをモチーフにしてるしで、どんどん二番煎じ感が出ないだろうか・・・・・・。


 「私、もしかすると人が苦しむのを見るのが好きかもです。なので、サディストっぽい感じで・・・・・・」


 杞憂だった。それだけでだいぶ印象が変わる。


 「とりあえずアイカと同じセーラー服を着せて、太ももに鞭を付けてみましょう」


 一気に印象が変わった。顔は可愛さの裏に棘があるような感じで、丸くてくりくりした目に加えて少し腹黒そうな感じを。


 「それから、月下美人を頭につけたいです・・・・・・」


 月下美人・・・・・・というと、花の名前か。検索してみると可愛らしい花の画像が出てくる。


 「月下美人の花言葉は儚い恋、強い意思、危険な快楽・・・・・・。私にぴったりの花ですよね・・・・・・」


 クリス納品




 九子の場合


 「えぇっ!? 実名でVTuberやるんですかぁっ!?」


 「はいっ! だって、子供に人気のVTuberになったら、幼女に抱きついてもらえるかも・・・・・・。「あー! ほんもののきゅー子だー! すごーい! だいすきー!」って! なので、見た目も今の私とおんなじ感じで! お願いします!!」


 「でも、まんまだとキャラとして弱いですよ・・・・・・」


 「いえ、弱くていいんです!」


 「・・・・・・じゃあ、せめて印象が変わるようにこの髪飾りを・・・・・・」


 頭を一周するように緑の飾りをつける。だいぶへんてこだけど、印象には残るだろう。


 「・・・・・・まだ足りないな」


 「うーん、イヤリングとかどうですかっ! 私の好きな雑誌からとって、LとOをつけた感じの」


 なるほど、ということでLとOを重ねたロゴのイヤリングを付け加える。


 待てよ、LとOって、確かロリコン向けの・・・・・・。ちょっと、変態チックになってきたな、華やかに花のエフェクトをつけよう。


 「これならどうです?」


 「はいっ! これくらいなら! 待っててねー! 私の愛しのアリスちゃんたちー!」


 九子納品




 ふれあの場合


 「えっとね! 前のアイカみたいにセーラー服でー。でも、成長したからちょっとお姉さんっぽくしてほしいの!」


 「セーラー服ですか・・・・・・今度はクリスさんと被るな・・・・・・」


 とはいっても依頼主のリクエストを断るわけにもいかず、セーラー服に。お姉さんっぽさが欲しいとのことなので目は同じだけど眉をきりっとさせる。また、髪は少し短めにしてツインテールに。ちょっと背伸びしたお姉さんをイメージ。


 「わー! かわいいー! うん! これで大丈夫ですっ!」


 ふれあ納品




 御園生みみの場合


 「ええと・・・・・・科学者っぽくしてほしいです・・・・・・」


 「あ、アバウトですね・・・・・・」


 というわけで、本人の小動物的な感じで少し猫背に、身長は低く、そして科学者っぽく眼鏡と白衣を。


 「こ、こんな可愛いのが・・・・・・私・・・・・・。ハードルがあがりますね・・・・・・」


 満足してもらえたようだ。


 御園生みみ納品




 サチウス


 「えっと、私、この子を作ってきました!」


 紙袋をかぶった不思議な女の子が発泡スチロールに目を描いた球体を渡してきた。


 「こ、これは?」


 「ガガりんです・・・・・・。VTuberは怖いですけど、誰かと一緒なら、頑張れるかと思いまして・・・・・・」


 へ、へんな人だ・・・・・・。


 「と、とりあえずパティシエとのことだったのでパティシエールのネクタイを付けてみました! 胸は大きく、前は開く感じで! いい感じでしょう!?」


 「わ、わわ・・・・・・。VTuberって、露出、多いものなんですか・・・・・・。や、やっぱり顔は出せないです・・・・・・っ!」


 「え? でも本人の顔が出るわけでもなし・・・・・・」


 「顔が絶対に引きつります・・・・・・っ! そうだ、今の私みたいに紙袋を被せてっ・・・・・・」


 「いや、紙袋じゃ映えない・・・・・・」


 その時だった、机の上に乗ったハニートーストに目がいった。この人が作った差し入れだけど・・・・・・。


 「そうだ、このハニートーストを頭にするのはどうです?」


 僕は更に乗ったハニートーストを依頼主の顔に重ねてみる。


 「完璧だ、偉業頭ジャンルでいこう!」


 「か、顔が隠せるのならなんでもいいです・・・・・・」


 サチウス納品




 リーフィの場合


 「さーて、お前はどんな体が欲しいんだー?」


 『そうね、クラゲが好きだわ。要望は以上』


 「・・・・・・はぁ」


 リーフィ納品




 COSMO;GARAXの場合


 「この子、話通じないんだ。とにかく頭がおかしい宇宙人的な感じで頼むよ」


 『ぶへらばーっ!!』


 「は、はい・・・・・・」


 あのAITuber4号機とやらの注文でアバウトなのも慣れた・・・・・・。


 COSMO;GARAX納品




 そして、VTuberとは違うが、夏芽たちの姿の元になったイラストを描いた夏樹の場合




 夏芽の場合


 うーん、次はどんなイラストがいいかなぁ。やっぱスク水だよなー! ロリの白スク、さいこー!! ツインテにして、髪飾りはクマにしてー! そして、八重歯! うん! 最高だっ!


 イラスト完成




 五百井の場合


 うーん、次のイラストのアイデアが思い浮かばない、いっそ誰かを参考にしてみる? ・・・・・・そうだ、確か夏芽の友達に大阪弁の子がいたな、大阪っぽい感じで描いてみよう。タコのマスコットを肩に乗せて、服は大阪にあるドラマーの人形を参考に。そして、メガネをつけておどおどした感じで・・・・・・。頭は思い切ってたこ焼きみたいに! 爪楊枝も刺す!


 イラスト完成



 おまけ1 3Dモデラーたちの憂鬱 -終-


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